上 下
54 / 403
第1章  伏龍

第53話  二連

しおりを挟む
 レオさんには俺チョイス! 


 ――仙台の名店ド定番! 一隆の牛タン焼定食八切だ。

 厚い牛タンが脂にまみれて匂い立っている。

 そして半透明の茶色のテールスープ。細切りのネギの隙間からゴロっとしたテールの塊が二つ。

 一隆よりでかい具のテールは見たことが無いんだぜ。

 最後に自分の分だ。

 今日は口が、既にがもうの揚げトッピングになってるからな。

 サクっと呼び出して着席する。

 全員が食前の祈りをささげて食べ始める。

 今回はちょっと見てよう。

 うどんはそんなに早く伸びないしな。

 司書長が出汁を飲んで前回との違いに気づいたみたいだ。

 がもうの揚げは甘く煮てあるから風味がちょっと変わるんだよね。

 パオラさんが一口サイズにナイフで切ったチキン南蛮を恐る恐る口に入れる。

 噛みしめて驚いたような顔をして直ぐごはんにいった。
 
 えぷろん亭のチキン南蛮は柔らかくてジュ-シーなんだぜ。

 とろっとしたタルタルでごはんが欲しくなる。

 良し!! これでジャンボちゃんは回避決定だな。

 レオさんは――なんか目をつぶって味わってる? 五感を遮断して味に集中してるの?

 まぁ。食べ方に口出しはしないけど。

 ……後でそれの技名だけは聞いておこう。クスクス。
 
 エルフの方々も問題なさそうだな。お揚げも食べてるみたいだし、そろそろ俺も食べ始めるか。

「いただきます」

 とんぶりを持ち上げ出汁を吸う。素うどんと違ってお揚げの匂いが混ざったいい香りだ。

 出汁の味も少し甘味と油が足されて変化している。
 
 そうそうこれこれ! がもうと言ったらこっちが王道!

 すかさずうどんをたくし上げる。ズビビビ。

 うどんを飲み込んだら、お揚げをガブリッ甘辛い汁で煮られたお揚げがたまらん!

 すぐにうどんにいきたくなる。

 ――あっという間に完食だ。

 お揚げ入れると出汁は全部飲みたくないな。ちょっと残った。

 最後に食べだしたけど、また最初に食べ終わった。

 パオラさんはナイフで一口サイズに切り分けたら、お箸に持ち替えて食べ始めた。

 でもそのペース配分だとごはんが先になくなりますよ。

 ……さては! パンと一緒に食べるつもりか。。。

「レオさん。久々の牛タンはどうですか?」

「見た目は似てるのに全然違うな。付け合わせの野菜からしても違うのが分かる。今日のスープの方が塩味を感じるが、どちらが優れているというのではなくどちらもとても旨い。やはり牛タンは完成された料理だ」

「目を瞑って食べてましたがどうかしましたか?」クスクス。

「あぁ。目を瞑ると歯ざわりと香り、味の輪郭が鮮明になる。これからは一枚目はそうして食べるつもりだ」 

 え? ――続けんの? じゃぁ。止めませんね。

 あっ! パオラさんが、パンに手を出し始めた。

 イーディセル師が食べ終わって話かけて来る。

「ノア殿。昨日のうどんも美味しかったが、今日のうどんも格別です。上にのっていた茶色のものが非常に美味しかった。あれは何ですか?」

「油揚げと言うものです。お口に合って何よりです」

 タンパク質は体が本能的に欲するというしエルフの口に合ってよかった。

現世ここでも食べられるようになりますか?」

「はい。いずれ昨日の料理人達が作れるようにしたいと思っています」

「それでは、それを楽しみにしています」

 そう言ってイ-ディセル師はにっこりと微笑んだ。

 さて、俺も準備をするか!

 今日は初の勉強会を記念してデザート付きだぜ! でもあんなに食ってパオラさんデザート食えるかな?

 こうなることなら事前に伝えておけばよかったか?

 このままだと、この間みたいに親の仇を打ちに行くことになるぞ。

 あっ! また新たなパンに!

 ――食べられなければ、後で渡そう……。じゃないと、きっと般若が現れる。。。

 今日は特別にちょっと大人贅沢な食べ比べを用意する予定だ。

 いくぜ! ――――いでよ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

オンラインゲームしてたらいつの間にやら勇者になってました(笑)

こばやん2号
ファンタジー
どこにでもいそうなごくごく平凡な男「小橋 大和(こばし やまと)」が 唯一の趣味と言っていいバーチャルオンラインゲームをプレイしている最中に 突然別の世界に飛ばされてしまう いきなりのことに戸惑う男だったが 異世界転生ものの小説やマンガ・アニメの知識と やりこんできたRPGゲームの経験を活かし その世界で奮闘する大和と その世界で出会った仲間たちとともに 冒険をしていくうちに 気付けば【勇者】として崇められ 魔王討伐に向かわなければならない始末 そんな大和の活躍を描いた ちょっぴり楽しくちょっぴりエッチでちょっぴり愉快な 異世界冒険活劇である

死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~

未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。 待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。 シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。 アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。 死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる
ファンタジー
 ハンターギルド最強の男ブラウンが突如の引退勧告を受け  あっさり辞めてしまう  最強の男を失ったギルドは?切欠を作った者は?  結末は?  

辺境伯令嬢に転生しました。

織田智子
ファンタジー
ある世界の管理者(神)を名乗る人(?)の願いを叶えるために転生しました。 アラフィフ?日本人女性が赤ちゃんからやり直し。 書き直したものですが、中身がどんどん変わっていってる状態です。

処理中です...