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第1章 伏龍
第47話 指導
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メイリンさんから出来たと紹介された調理用魔道具は、ミキサー(改)とロースター。おまけにピザ釜だった。
ミキサーは軽鉄と言われるジュラルミンみないな素材に変わり。
四角いミキシングする容器の中央四面にガラスがはめ込まれていて中が確認できるようになっていた。
俺の要望の通り分解洗浄が可能だ。
まぁ。メイリンさんというよりもガンソさんの工房が頑張ったって感じなんだろうけど。
値段が銀貨三枚と軽鉄分値上がりしてたね。
髭おっさんの紹介でメイリンさんの魔道具店に行ってるけど。
商売人としてはちょっと微妙だな。
なにせ見積り出せって言ってるのに商品出してくるからね。
年季の入ったレンガ作りの建物と重厚なドアなのに、風が吹けば揺れるほどのペラッペラの明るい色の木の看板。
看板だけ見れば可愛いらしく、踊るような文字で書かれていて素敵なカフェを思わせる。
常識を疑えでお馴染みの俺ですら、本当の意味でメイリンさんの常識を疑った。
あの看板を使いたいなら、どう考えても建物と扉に淡い色を塗りポップな仕上がりにした方がバランスが良い。
結果。何屋か分からない不思議なお店に仕上がっている。
あの店は俺とパオラさん以外に客を見た事もないし、そのおかげで魔道具の出来上がりが早いのかもな。
支払いをするときに、メイリンさんから今日もこれで生き延びられる的な悲壮感を一瞬感じるんだ。
嫌なら他の店に行けばって?
他の店に行くなんてもったいない。
メイリンさんには、らっしゃい! に始まり何か人生を生きてるって事を感じさせる愛玩性があるんだぜ。
俺の大好きなケンちゃんにも通じるものだな。
せっかくだし出来立ての魔道具も使ってみよう。
「クローエ。パン生地を作れるか? 材料はここに用意してある」
「はい。オーナー。パン生地なら作れます」色白のクローエが答える。
「アルバロとクレトはうどんを作ってくれ。はい。これがレシピだ。10ボーメの塩水を作って中力粉を量ってくれ」
塩水選種計と秤を渡し数字の見方を教える。
「おう! わかったぜ」
とは色黒こげ茶髪のアルバロ。
「うん。ノア君やってみる」
とは色白のっぽのクレトが答えてくれた。
「エステラは出汁を作ってくれこれがレシピだ」
「分かった。……師匠」
そう答えるのは、そばかすのエステラ。
「ん? ――――師匠?」
「料理を教えてくれる人。――それは師匠」
肩くらいまでの短い金髪のエステラはそう言うと恥ずかしそうに視線を反らした。
白い肌の可愛らしいそばかすの頬が少し赤みを帯びている。
まぁ。好きに呼んでって言ったのは俺だし良いか。
「ビビアナはミートソースを作ってほしい」
そう言ってレシピを渡す。
「はーい。ん-? でもノアちゃん。その赤いの本当に食べられるの?」
赤髪のポニーテールを揺らしながら聞いてくる。
「もちろん食べられるよ。むしろ一度食べれば病みつきになるよ。ね! パオラさん?」
グルタミン酸は本能に働きかける味だ。
「初めはびっくりする色だけど。とっても美味しいから安心して」
そう言ってニッコリ笑うパオラさん。
エステラが聞いてくる。
「師匠。このカタクチイワシってなに?」
「――――これの事だよ」
俺はその食材を指差す。
「っ! ……? それはニーナじゃ?」
訝し気な顔をするエステラ。
知らん! 現地の食材名まで覚えられるか!
「これが片口イワシ、これがウルメ、これがサバブシ、これがイリコ、これが昆布草、これが玉ねぎだ! レシピは書き換えても良いが、俺はその食材をそう呼び続ける!」
――――断固拒否だ。
トリップしてレシピを書く時に勝手に名前が宛がわれる。皆には悪いが俺に合わせて貰おう。
こうして料理人見習いとの開店準備が始まった。
いずれ巣立っていくことを期待して。
「アルバロ! 水回しは全体にくまなく回るようにして! クレト! もっと大胆に手を動かした方がいいぞ!」
「エステラ! レシピの出汁の時間は目安だ。時計を見るより鍋を見ろ! 出て来た色の変化を見逃すな!」
ミキサーは軽鉄と言われるジュラルミンみないな素材に変わり。
四角いミキシングする容器の中央四面にガラスがはめ込まれていて中が確認できるようになっていた。
俺の要望の通り分解洗浄が可能だ。
まぁ。メイリンさんというよりもガンソさんの工房が頑張ったって感じなんだろうけど。
値段が銀貨三枚と軽鉄分値上がりしてたね。
髭おっさんの紹介でメイリンさんの魔道具店に行ってるけど。
商売人としてはちょっと微妙だな。
なにせ見積り出せって言ってるのに商品出してくるからね。
年季の入ったレンガ作りの建物と重厚なドアなのに、風が吹けば揺れるほどのペラッペラの明るい色の木の看板。
看板だけ見れば可愛いらしく、踊るような文字で書かれていて素敵なカフェを思わせる。
常識を疑えでお馴染みの俺ですら、本当の意味でメイリンさんの常識を疑った。
あの看板を使いたいなら、どう考えても建物と扉に淡い色を塗りポップな仕上がりにした方がバランスが良い。
結果。何屋か分からない不思議なお店に仕上がっている。
あの店は俺とパオラさん以外に客を見た事もないし、そのおかげで魔道具の出来上がりが早いのかもな。
支払いをするときに、メイリンさんから今日もこれで生き延びられる的な悲壮感を一瞬感じるんだ。
嫌なら他の店に行けばって?
他の店に行くなんてもったいない。
メイリンさんには、らっしゃい! に始まり何か人生を生きてるって事を感じさせる愛玩性があるんだぜ。
俺の大好きなケンちゃんにも通じるものだな。
せっかくだし出来立ての魔道具も使ってみよう。
「クローエ。パン生地を作れるか? 材料はここに用意してある」
「はい。オーナー。パン生地なら作れます」色白のクローエが答える。
「アルバロとクレトはうどんを作ってくれ。はい。これがレシピだ。10ボーメの塩水を作って中力粉を量ってくれ」
塩水選種計と秤を渡し数字の見方を教える。
「おう! わかったぜ」
とは色黒こげ茶髪のアルバロ。
「うん。ノア君やってみる」
とは色白のっぽのクレトが答えてくれた。
「エステラは出汁を作ってくれこれがレシピだ」
「分かった。……師匠」
そう答えるのは、そばかすのエステラ。
「ん? ――――師匠?」
「料理を教えてくれる人。――それは師匠」
肩くらいまでの短い金髪のエステラはそう言うと恥ずかしそうに視線を反らした。
白い肌の可愛らしいそばかすの頬が少し赤みを帯びている。
まぁ。好きに呼んでって言ったのは俺だし良いか。
「ビビアナはミートソースを作ってほしい」
そう言ってレシピを渡す。
「はーい。ん-? でもノアちゃん。その赤いの本当に食べられるの?」
赤髪のポニーテールを揺らしながら聞いてくる。
「もちろん食べられるよ。むしろ一度食べれば病みつきになるよ。ね! パオラさん?」
グルタミン酸は本能に働きかける味だ。
「初めはびっくりする色だけど。とっても美味しいから安心して」
そう言ってニッコリ笑うパオラさん。
エステラが聞いてくる。
「師匠。このカタクチイワシってなに?」
「――――これの事だよ」
俺はその食材を指差す。
「っ! ……? それはニーナじゃ?」
訝し気な顔をするエステラ。
知らん! 現地の食材名まで覚えられるか!
「これが片口イワシ、これがウルメ、これがサバブシ、これがイリコ、これが昆布草、これが玉ねぎだ! レシピは書き換えても良いが、俺はその食材をそう呼び続ける!」
――――断固拒否だ。
トリップしてレシピを書く時に勝手に名前が宛がわれる。皆には悪いが俺に合わせて貰おう。
こうして料理人見習いとの開店準備が始まった。
いずれ巣立っていくことを期待して。
「アルバロ! 水回しは全体にくまなく回るようにして! クレト! もっと大胆に手を動かした方がいいぞ!」
「エステラ! レシピの出汁の時間は目安だ。時計を見るより鍋を見ろ! 出て来た色の変化を見逃すな!」
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