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第四章 魔導書実装編
第六十一話 邪竜、強者たるゆえの憂い
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その後も僕達はファフニールに延々と攻撃し続けたが、ファフニールが痛みを覚えるような一撃を与える事は出来ずにいた。
ファフニールからしてみれば僕達の攻撃は、蚊でも身体に止まったのかという感覚程度かもしれない。それほどまでに力の差は歴然だった。
ファフニールの鱗は物理攻撃に対して耐性があるだけではなく、魔法攻撃に対しても耐性があった。それもちょっと耐性がある程度ではなく、ほぼ無効に等しいようなものだった。
そんな状況下においてなぜ僕達がまだ生きているのかと言うと、それはまだ一度もファフニールから攻撃されていないからだ。
だが、その猶予もそろそろ終わる時が近づいていた。
「所詮は虫か。もう飽きたな……潰すとしよう」
ファフニールはそう告げると身体をグルっと一周し尻尾を鞭のようにして薙ぎ払う。
サンはシノマツリが自分の背後に移動したのを確認した後、ツヴァイハンダーを地面に突き刺し防御態勢に入った。
ブウォーーーーンッ!!!!
僕と修羅刹は尻尾が当たる直前にジャンプして回避した。
ガガガガガガガガ!!!!
尻尾とツヴァイハンダーが激しく火花を散らしぶつかり合う。
サンは手に伝わる振動を必至に抑え尻尾が通り過ぎるのを耐え凌ぐ。
「こんなものぉ!!!!」
僕達は何とかファフニールの初撃を切り抜けた。
この一撃で沈むと思っていたファフニールは「ほぉ、我の一撃を耐えるか」と驚嘆の声を上げた。
だが、それはこれからもっとファフニールの攻撃が、苛烈になっていく証明でもあった。
それからは防戦一方となった。
僕達はファフニールの連撃を回避、防御、パリィとそれぞれ得意な方法でひたすら耐え続けた。
ファフニールはなかなか死なない僕達に苛立ちを覚える。
「虫が図に乗るな……もう遊びは終わりだ。これで塵になるが良い」
ファフニールはガバっと口を大きく開く。
それを見た修羅刹は「みんな、拙僧の後ろに!早くしなさい!!」と叫ぶ。
僕達はその切羽詰まった表情にすぐさま修羅刹の背後に移動した。
ファフニールは僕達の行動を両眼で興味深く見ていた。
「身を挺して他の虫を守ろうという事か?どこまで耐えれるか試してみると良い!」
ゴオォォォォオオオオオ!!!!
ファフニールの口から炎が吹き出す。その熱さ勢いはキマイラとは比較にならないものだった。キマイラの炎を余裕で耐えたサンですら、直撃したら無事ではすまないと直感で理解した。
修羅刹は右手を前に出しユニークスキルを発動した。
「灼熱を統べし獄炎の王」
掃除機にゴミが吸い込まれるように炎がドンドン籠手に吸収されていく。
僕は彼女の後ろでその光景をただ呆然と眺めていた。
修羅刹は前方を見つめたままシノマツリにあるお願いをした。
「マツリ、氷の魔法を拙僧の籠手めがけて唱えてくれる?」
「あのドラゴンじゃなくて籠手にです?」
シノマツリは修羅刹の左手を指差し尋ねた。
「うん、ちょっと面白い事を思いついちゃってね。それを試そうと思うの!」
「……分かったです。ふぅ、行くです!この世の理と刻は今……この刹那を以て凍結される……おやすみなさい」
左手に装着した籠手に氷の粒が現れる。
修羅刹はその発生タイミングに合わせ、もう一つのユニークスキルを発動した。
「氷雪を統べし極寒の女王」
シノマツリの魔法によって創り出された氷は出来る度に、籠手に吸収されていく。
先に氷を吸収し終えた修羅刹は「んじゃ、行ってくるわね!」と意気揚々に、迫り来る火炎をガン無視して前進する。
僕達は「行ってらっしゃい……」と言葉を返し見送った。
ファフニールは自分の炎で前方が見えずにいた。そのせいもあり修羅刹が近づいて来ている事に気づいていない。
勝利を確信していたファフニールは炎を吐き終え口を閉じた瞬間、自分の目を疑った。
目と鼻の先に虫がピンピンした状態で立っていた。
修羅刹はニコッと笑みを浮かべ、ファフニールの顔面めがけて掌底を繰り出した。
「これ利子付けてお返しするわね。氷炎舞双震掌底破!」
ドオオオオオオオオン!!!!
「グオォォォォォォーーーーーーー!!」
はじめてファフニールは痛みによる咆哮を上げた。
修羅刹の一撃はファフニールの片角を砕き、片目を潰す事に成功していた。
ファフニールはたかが虫だと矮小な存在だと認識していた。だが、そんな虫に自分の目を潰され竜の最も大切な角まで破壊された。
プライドをズタズタにされたはずのファフニールは高揚していた。
怒りよりもやっと全力で戦える相手に巡り合えた事に感謝していた。
「素晴らしい!素晴らしい!虫と呼んだ事を詫びよう。我はそなたらを強者と認める。これより先、全力でお相手しよう!」
どうやら士気を下げるどころか最大まで上げてしまったようだ。
ファフニールからしてみれば僕達の攻撃は、蚊でも身体に止まったのかという感覚程度かもしれない。それほどまでに力の差は歴然だった。
ファフニールの鱗は物理攻撃に対して耐性があるだけではなく、魔法攻撃に対しても耐性があった。それもちょっと耐性がある程度ではなく、ほぼ無効に等しいようなものだった。
そんな状況下においてなぜ僕達がまだ生きているのかと言うと、それはまだ一度もファフニールから攻撃されていないからだ。
だが、その猶予もそろそろ終わる時が近づいていた。
「所詮は虫か。もう飽きたな……潰すとしよう」
ファフニールはそう告げると身体をグルっと一周し尻尾を鞭のようにして薙ぎ払う。
サンはシノマツリが自分の背後に移動したのを確認した後、ツヴァイハンダーを地面に突き刺し防御態勢に入った。
ブウォーーーーンッ!!!!
僕と修羅刹は尻尾が当たる直前にジャンプして回避した。
ガガガガガガガガ!!!!
尻尾とツヴァイハンダーが激しく火花を散らしぶつかり合う。
サンは手に伝わる振動を必至に抑え尻尾が通り過ぎるのを耐え凌ぐ。
「こんなものぉ!!!!」
僕達は何とかファフニールの初撃を切り抜けた。
この一撃で沈むと思っていたファフニールは「ほぉ、我の一撃を耐えるか」と驚嘆の声を上げた。
だが、それはこれからもっとファフニールの攻撃が、苛烈になっていく証明でもあった。
それからは防戦一方となった。
僕達はファフニールの連撃を回避、防御、パリィとそれぞれ得意な方法でひたすら耐え続けた。
ファフニールはなかなか死なない僕達に苛立ちを覚える。
「虫が図に乗るな……もう遊びは終わりだ。これで塵になるが良い」
ファフニールはガバっと口を大きく開く。
それを見た修羅刹は「みんな、拙僧の後ろに!早くしなさい!!」と叫ぶ。
僕達はその切羽詰まった表情にすぐさま修羅刹の背後に移動した。
ファフニールは僕達の行動を両眼で興味深く見ていた。
「身を挺して他の虫を守ろうという事か?どこまで耐えれるか試してみると良い!」
ゴオォォォォオオオオオ!!!!
ファフニールの口から炎が吹き出す。その熱さ勢いはキマイラとは比較にならないものだった。キマイラの炎を余裕で耐えたサンですら、直撃したら無事ではすまないと直感で理解した。
修羅刹は右手を前に出しユニークスキルを発動した。
「灼熱を統べし獄炎の王」
掃除機にゴミが吸い込まれるように炎がドンドン籠手に吸収されていく。
僕は彼女の後ろでその光景をただ呆然と眺めていた。
修羅刹は前方を見つめたままシノマツリにあるお願いをした。
「マツリ、氷の魔法を拙僧の籠手めがけて唱えてくれる?」
「あのドラゴンじゃなくて籠手にです?」
シノマツリは修羅刹の左手を指差し尋ねた。
「うん、ちょっと面白い事を思いついちゃってね。それを試そうと思うの!」
「……分かったです。ふぅ、行くです!この世の理と刻は今……この刹那を以て凍結される……おやすみなさい」
左手に装着した籠手に氷の粒が現れる。
修羅刹はその発生タイミングに合わせ、もう一つのユニークスキルを発動した。
「氷雪を統べし極寒の女王」
シノマツリの魔法によって創り出された氷は出来る度に、籠手に吸収されていく。
先に氷を吸収し終えた修羅刹は「んじゃ、行ってくるわね!」と意気揚々に、迫り来る火炎をガン無視して前進する。
僕達は「行ってらっしゃい……」と言葉を返し見送った。
ファフニールは自分の炎で前方が見えずにいた。そのせいもあり修羅刹が近づいて来ている事に気づいていない。
勝利を確信していたファフニールは炎を吐き終え口を閉じた瞬間、自分の目を疑った。
目と鼻の先に虫がピンピンした状態で立っていた。
修羅刹はニコッと笑みを浮かべ、ファフニールの顔面めがけて掌底を繰り出した。
「これ利子付けてお返しするわね。氷炎舞双震掌底破!」
ドオオオオオオオオン!!!!
「グオォォォォォォーーーーーーー!!」
はじめてファフニールは痛みによる咆哮を上げた。
修羅刹の一撃はファフニールの片角を砕き、片目を潰す事に成功していた。
ファフニールはたかが虫だと矮小な存在だと認識していた。だが、そんな虫に自分の目を潰され竜の最も大切な角まで破壊された。
プライドをズタズタにされたはずのファフニールは高揚していた。
怒りよりもやっと全力で戦える相手に巡り合えた事に感謝していた。
「素晴らしい!素晴らしい!虫と呼んだ事を詫びよう。我はそなたらを強者と認める。これより先、全力でお相手しよう!」
どうやら士気を下げるどころか最大まで上げてしまったようだ。
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