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第四章 魔導書実装編
第五十九話 シークレットミッション後編
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少年は殴られた箇所をさすりながら自己紹介をはじめた。
「あいててて、キミは魔法だけじゃなくて力もあるようだね。ボクの名前はソロモン。ここの管理者をしている。まぁお話をする前にまずは座りなよ」
ソロモンはシノマツリにイスに座るように促す。
「分かったです」
シノマツリはそう返事すると渋々対面のイスに座った。
ソロモンはティーポットを手に取りカップに注ぐとシノマツリの前に置いた。
「あ、ありがとうです」
シノマツリはお礼だけ述べて湯気が立つカップを手に取る事はなかった。
「それでキミの名前は何て言うんだい?これからお話する相手をキミと呼び続けるのもどうかと思うんでね。差し支えなければ名前を教えてもらえると嬉しいのだけど?」
「マツリはシノマツリって言うです」
「よろしくね、シノマツリ。ようこそ、ボクの世界へ!」
ソロモンは大げさに両手を広げシノマツリを歓迎するのであった。
「ボクの世界?」
「そうだよ。ここはボクが創った世界。シノマツリはボクが定めたこの世界に入る条件を見事に達成したんだ。本当にすごいよ、キミは!」
「どういう事です?」
「あー、ボクとした事がついはしゃいでしまったようだ。順を追って説明するとしよう」
ソロモンはシノマツリにこの場所について説明し始めた。
「と……まぁこんな感じ。そしてその第一人者がキミだよ、シノマツリ」
説明を聞き終えたシノマツリは自分がいまシークレットミッションの真っ最中なのだと気が付いた。
ここに入るためには条件を二つ達成しないといけない。
まず一つ目がソロダンジョンの到達階層が10階層以下である事。これは古参プレイヤーの時点で達成不可能に等しい。
二つ目は10階層に上がる前に一人で魔法を使用して魔物を2,000体倒す事。
つまりこのシークレットミッションは今回の大型アップデートに合わせて用意されたもの。これを機に始めた新規プレイヤーで、しかも新武器である魔導書を選ばないと挑戦する事も出来ない
そして挑戦出来たとしてもクリア出来るかというとそれも難しい。なぜなら昨日今日はじめたプレイヤーがたった一人で2,000体もの魔物を倒さないといけないからだ。
シノマツリの圧倒的な火力でさえ魔物2,000体に止めは刺せていない。ただ後一撃で倒せるほどの致命傷を与えれば、カウントされるようだ。そのおかげでシノマツリは条件を達成していた。
「あー、そうそう。シノマツリがここに来るまでに倒した魔物の数はね、2,647体だよ」
最後にソロモンはニコニコしながらシノマツリに伝えていた。
「マツリがここに来れた理由は分かったです。それでこの次は何をするです?」
「シノマツリ、キミはせっかちな人だな。ここに来た時点でもうやる事は何もないよ」
「そうですか。それではマツリをさっさとダンジョンに帰すです」
「そう焦らないでくれ。キミと一緒にいたあの3人が10階層に着くのには、もう少し時間がかかるようだし、それまでボクとお話しようよ」
ソロモンの話を聞いたシノマツリはバンとテーブルを叩き立ち上がる。
「みんなが戦っているのにマツリだけこんな場所にいる訳にはいかないです」
「ボクの言い方が悪かったかな。あの3人が10階層に行くまでキミは戻れないよ。だからそれまで大人しく待っていようよ」
シノマツリは唇を噛みしめながら着席する。
それからソロモンとシノマツリは他愛もない会話を続けた。
「もうそろそろ時間だね。シノマツリ、最後に一つ聞いていいかい?」
「時間になったらすぐに帰すと約束するなら答えてあげてもいいです」
「アッハッハ!キミは最後まで変わらないね。まぁそれは最初から約束していた事だし勿論守るよ」
「ならいいです。さっさと話すです」
「大切な人が死に瀕しいて、それを救う手立てがキミの生命を差し出すしかないとなったらキミはどうする?つまり人を助ける代わりに自分が死ぬか、それとも見殺しにするかという話だよ」
シノマツリは一秒も考える事もなく即答える。
「見殺しにするです」
ソロモンはその回答が予想外だったのか目を見開き前のめりになる。
「ボクはてっきり身代わりになるかと思っていたんだけど、その理由を聞いてもいいかい?」
「マツリが死んだところで本当に生き返るのか信用できないです。もし本当に生き返ったとして、自分のせいでマツリが死んだと分かったら、あの人は一生後悔し心に消えない傷が出来るです。だから、マツリは生き残ってあの人を救う方法を探すです」
「ふーん、それほどキミに愛されている人は本当に幸運な人だね。なるほど……シノマツリ、キミの考えはよく分かった。合格だよ、これを授けよう」
ソロモンはそう言うとテーブルの中央を指差した瞬間、指差した場所に真っ白い本が現れた。
「シノマツリ、この本を肌身離さず持ち歩くんだよ。そしてボクに言ったあの言葉を忘れずにこれからも頑張りたまえよ」
「えっ……どういう事です?この本は何です?」
「じゃー、またね」
そしてシノマツリはまたあの魔法陣によってダンジョンに戻された。
「あいててて、キミは魔法だけじゃなくて力もあるようだね。ボクの名前はソロモン。ここの管理者をしている。まぁお話をする前にまずは座りなよ」
ソロモンはシノマツリにイスに座るように促す。
「分かったです」
シノマツリはそう返事すると渋々対面のイスに座った。
ソロモンはティーポットを手に取りカップに注ぐとシノマツリの前に置いた。
「あ、ありがとうです」
シノマツリはお礼だけ述べて湯気が立つカップを手に取る事はなかった。
「それでキミの名前は何て言うんだい?これからお話する相手をキミと呼び続けるのもどうかと思うんでね。差し支えなければ名前を教えてもらえると嬉しいのだけど?」
「マツリはシノマツリって言うです」
「よろしくね、シノマツリ。ようこそ、ボクの世界へ!」
ソロモンは大げさに両手を広げシノマツリを歓迎するのであった。
「ボクの世界?」
「そうだよ。ここはボクが創った世界。シノマツリはボクが定めたこの世界に入る条件を見事に達成したんだ。本当にすごいよ、キミは!」
「どういう事です?」
「あー、ボクとした事がついはしゃいでしまったようだ。順を追って説明するとしよう」
ソロモンはシノマツリにこの場所について説明し始めた。
「と……まぁこんな感じ。そしてその第一人者がキミだよ、シノマツリ」
説明を聞き終えたシノマツリは自分がいまシークレットミッションの真っ最中なのだと気が付いた。
ここに入るためには条件を二つ達成しないといけない。
まず一つ目がソロダンジョンの到達階層が10階層以下である事。これは古参プレイヤーの時点で達成不可能に等しい。
二つ目は10階層に上がる前に一人で魔法を使用して魔物を2,000体倒す事。
つまりこのシークレットミッションは今回の大型アップデートに合わせて用意されたもの。これを機に始めた新規プレイヤーで、しかも新武器である魔導書を選ばないと挑戦する事も出来ない
そして挑戦出来たとしてもクリア出来るかというとそれも難しい。なぜなら昨日今日はじめたプレイヤーがたった一人で2,000体もの魔物を倒さないといけないからだ。
シノマツリの圧倒的な火力でさえ魔物2,000体に止めは刺せていない。ただ後一撃で倒せるほどの致命傷を与えれば、カウントされるようだ。そのおかげでシノマツリは条件を達成していた。
「あー、そうそう。シノマツリがここに来るまでに倒した魔物の数はね、2,647体だよ」
最後にソロモンはニコニコしながらシノマツリに伝えていた。
「マツリがここに来れた理由は分かったです。それでこの次は何をするです?」
「シノマツリ、キミはせっかちな人だな。ここに来た時点でもうやる事は何もないよ」
「そうですか。それではマツリをさっさとダンジョンに帰すです」
「そう焦らないでくれ。キミと一緒にいたあの3人が10階層に着くのには、もう少し時間がかかるようだし、それまでボクとお話しようよ」
ソロモンの話を聞いたシノマツリはバンとテーブルを叩き立ち上がる。
「みんなが戦っているのにマツリだけこんな場所にいる訳にはいかないです」
「ボクの言い方が悪かったかな。あの3人が10階層に行くまでキミは戻れないよ。だからそれまで大人しく待っていようよ」
シノマツリは唇を噛みしめながら着席する。
それからソロモンとシノマツリは他愛もない会話を続けた。
「もうそろそろ時間だね。シノマツリ、最後に一つ聞いていいかい?」
「時間になったらすぐに帰すと約束するなら答えてあげてもいいです」
「アッハッハ!キミは最後まで変わらないね。まぁそれは最初から約束していた事だし勿論守るよ」
「ならいいです。さっさと話すです」
「大切な人が死に瀕しいて、それを救う手立てがキミの生命を差し出すしかないとなったらキミはどうする?つまり人を助ける代わりに自分が死ぬか、それとも見殺しにするかという話だよ」
シノマツリは一秒も考える事もなく即答える。
「見殺しにするです」
ソロモンはその回答が予想外だったのか目を見開き前のめりになる。
「ボクはてっきり身代わりになるかと思っていたんだけど、その理由を聞いてもいいかい?」
「マツリが死んだところで本当に生き返るのか信用できないです。もし本当に生き返ったとして、自分のせいでマツリが死んだと分かったら、あの人は一生後悔し心に消えない傷が出来るです。だから、マツリは生き残ってあの人を救う方法を探すです」
「ふーん、それほどキミに愛されている人は本当に幸運な人だね。なるほど……シノマツリ、キミの考えはよく分かった。合格だよ、これを授けよう」
ソロモンはそう言うとテーブルの中央を指差した瞬間、指差した場所に真っ白い本が現れた。
「シノマツリ、この本を肌身離さず持ち歩くんだよ。そしてボクに言ったあの言葉を忘れずにこれからも頑張りたまえよ」
「えっ……どういう事です?この本は何です?」
「じゃー、またね」
そしてシノマツリはまたあの魔法陣によってダンジョンに戻された。
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