27 / 78
第二十七話 決戦前
しおりを挟む
期末試験も終盤に差し掛かり、会場はいよいよ大詰めといった感じになっていた。
勝ち残った生徒はもちろん、途中で敗れた生徒も観戦や応援に回っているのは、誰が優勝するかに興味があるんだろうね。
「クソっ! オレ様の実力はこんなもんじゃねーんだ」
三回戦で負けてしまったすけたら君は、パソコンをバチバチと叩いて悔しさをにじみ出していた。来期の試験では見てろよ! と、口には出さないがモニターを睨む目つきは真剣そのものだ。
イルカさんも団子騎士君も善戦はしたものの、やはり序盤で敗れ去っている。
みんな前回の試験よりもパラメーターが上がっていたが、それは他の生徒たちも同じ。アクセス数を伸ばし、ブックマークを増やし、応援ポイントを加算し、パラメーターが四桁を超える生徒も少なくない。
安定したパラメーターを持つイルカさんは、バズリティーの強さがいまひとつだったせいで二回戦敗退。
バズリティーの活躍で三回戦まで勝ち上がった団子騎士君も、弱点だったATK(アクセス数)の低さが足を引っ張り、そこで敗退していた。
では、我らアダルト科のエース、仮面修子は……
「にししっ、これで次は決勝戦だな」
なんと、並みいる強敵をすべて秒殺……ならぬ秒剥きに仕留め、ついに決勝戦進出を決めてしまっていた。
「やっぱ仮面ちゃんはすごいんだな。ボキュとは変態レベルが違うんだな」
「こうなったら絶対優勝するのよ? ワタクシも応援してますから!」
「当たり前だ。アタシは一番になるんだからな」
根拠のない自信をぶちまける修子だが、それが本当になってしまいそうな気がしているのは僕らだけではないはずだ。修子のバトルを見ていた生徒たちも、
「こんな変態少女が学年トップになるのか?」
といった驚きの顔を浮かべていたり、
「あんな変態的なバズリティーに負けるなんて」
みたいな納得のいかない顔をしながらも、
「でも、アイツなら本当にトップを取るかも……」
と、おかしな期待を持ち始めているのが、みんなの目から伝わってくる。それだけ修子とノーパン仮面には、みんなの期待を集める個性がある。
「それまで!」
別の舞台で行なわれていた準決勝に決着がつく。別グループを勝ち抜いたのは、これは誰もが予想していたとおり、
「勝者、ドッグマスターあっくん」
もう一人の決勝進出者は一年生のトップブロガー、コンパニマル科のドッグマスターあっくんだった。
「やっぱりあっくんが来たか。さすがコンパニマル科の次期エースと呼ばれるだけあるぜ」
「しかもパラメーターは前回の試験よりも格段に上がっていましたわよ?」
「大丈夫なんだな。仮面ちゃんのバズリティーは最強なんだな」
僕らの視線の先には、悠々と準決勝を勝ち抜いたドッグマスターあっくん。バトルに決着がついてからもパソコンを開いたままで、データ収集に余念がない。
「アイツはああやって、バトルのデータを集めていくんだ。今まで対戦した相手の弱点はもちろん、優れた箇所も分析することで、自分のブログ作成に役立てているって話だぜ」
学年トップと言われるパラメーターとバズリティーを持ちながらも、常に上を目指していく貪欲な姿勢が誰の追随も許さない。だからこそ学園最大のカテゴリであるコンパニマル科の中でも次期エースと呼ばれているんだろう。
ブログにかける情熱が、群を抜いている。
カタタタ……とブラインドでキーを打ち終わったあっくんが見つめる先は――
エロに関しては誰の追随も許さない、ブログにかける変態度合いが群を抜いているアダルト科のエロフェッショナル、仮面修子。
「ま、ブログは数字じゃないんだけどな」
あっくんの視線に気付かぬ様子の修子は、決勝を前に腹ごしらえとイルカさんから貰ったプリンを頬張っていた。どこから持ってきたのかお皿の上にプリンをプッチンと落として、山形に削り取りながら食べている。
挙句の果てに、逆お椀型に削ったプリンの山頂だけにカラメルソースを残し、
「イツキ、見ろ」
スプーンでプルルンと揺らしてみせる。
「おっぱい」
「こんな時に何やってんの!?」
にししっと例の笑いを浮かべてカラメルソースに吸いついた。
決勝の相手、あっくんが見つめる視線もなんのその。まったく、優勝がかかった最後の試験なのに緊張感がまるでないんだから。
結局そこからはスプーンを使わずにおっぱいプリンをチュルチュルと吸い尽くした修子は、お腹も心も満たされた表情を浮かべ、「じゃあ、行ってくる」の代わりに、
「じゃあ、剥いてくる」
とエロい目つきで余裕の勝利宣言をすると、舞台へ上がっていった。
勝ち残った生徒はもちろん、途中で敗れた生徒も観戦や応援に回っているのは、誰が優勝するかに興味があるんだろうね。
「クソっ! オレ様の実力はこんなもんじゃねーんだ」
三回戦で負けてしまったすけたら君は、パソコンをバチバチと叩いて悔しさをにじみ出していた。来期の試験では見てろよ! と、口には出さないがモニターを睨む目つきは真剣そのものだ。
イルカさんも団子騎士君も善戦はしたものの、やはり序盤で敗れ去っている。
みんな前回の試験よりもパラメーターが上がっていたが、それは他の生徒たちも同じ。アクセス数を伸ばし、ブックマークを増やし、応援ポイントを加算し、パラメーターが四桁を超える生徒も少なくない。
安定したパラメーターを持つイルカさんは、バズリティーの強さがいまひとつだったせいで二回戦敗退。
バズリティーの活躍で三回戦まで勝ち上がった団子騎士君も、弱点だったATK(アクセス数)の低さが足を引っ張り、そこで敗退していた。
では、我らアダルト科のエース、仮面修子は……
「にししっ、これで次は決勝戦だな」
なんと、並みいる強敵をすべて秒殺……ならぬ秒剥きに仕留め、ついに決勝戦進出を決めてしまっていた。
「やっぱ仮面ちゃんはすごいんだな。ボキュとは変態レベルが違うんだな」
「こうなったら絶対優勝するのよ? ワタクシも応援してますから!」
「当たり前だ。アタシは一番になるんだからな」
根拠のない自信をぶちまける修子だが、それが本当になってしまいそうな気がしているのは僕らだけではないはずだ。修子のバトルを見ていた生徒たちも、
「こんな変態少女が学年トップになるのか?」
といった驚きの顔を浮かべていたり、
「あんな変態的なバズリティーに負けるなんて」
みたいな納得のいかない顔をしながらも、
「でも、アイツなら本当にトップを取るかも……」
と、おかしな期待を持ち始めているのが、みんなの目から伝わってくる。それだけ修子とノーパン仮面には、みんなの期待を集める個性がある。
「それまで!」
別の舞台で行なわれていた準決勝に決着がつく。別グループを勝ち抜いたのは、これは誰もが予想していたとおり、
「勝者、ドッグマスターあっくん」
もう一人の決勝進出者は一年生のトップブロガー、コンパニマル科のドッグマスターあっくんだった。
「やっぱりあっくんが来たか。さすがコンパニマル科の次期エースと呼ばれるだけあるぜ」
「しかもパラメーターは前回の試験よりも格段に上がっていましたわよ?」
「大丈夫なんだな。仮面ちゃんのバズリティーは最強なんだな」
僕らの視線の先には、悠々と準決勝を勝ち抜いたドッグマスターあっくん。バトルに決着がついてからもパソコンを開いたままで、データ収集に余念がない。
「アイツはああやって、バトルのデータを集めていくんだ。今まで対戦した相手の弱点はもちろん、優れた箇所も分析することで、自分のブログ作成に役立てているって話だぜ」
学年トップと言われるパラメーターとバズリティーを持ちながらも、常に上を目指していく貪欲な姿勢が誰の追随も許さない。だからこそ学園最大のカテゴリであるコンパニマル科の中でも次期エースと呼ばれているんだろう。
ブログにかける情熱が、群を抜いている。
カタタタ……とブラインドでキーを打ち終わったあっくんが見つめる先は――
エロに関しては誰の追随も許さない、ブログにかける変態度合いが群を抜いているアダルト科のエロフェッショナル、仮面修子。
「ま、ブログは数字じゃないんだけどな」
あっくんの視線に気付かぬ様子の修子は、決勝を前に腹ごしらえとイルカさんから貰ったプリンを頬張っていた。どこから持ってきたのかお皿の上にプリンをプッチンと落として、山形に削り取りながら食べている。
挙句の果てに、逆お椀型に削ったプリンの山頂だけにカラメルソースを残し、
「イツキ、見ろ」
スプーンでプルルンと揺らしてみせる。
「おっぱい」
「こんな時に何やってんの!?」
にししっと例の笑いを浮かべてカラメルソースに吸いついた。
決勝の相手、あっくんが見つめる視線もなんのその。まったく、優勝がかかった最後の試験なのに緊張感がまるでないんだから。
結局そこからはスプーンを使わずにおっぱいプリンをチュルチュルと吸い尽くした修子は、お腹も心も満たされた表情を浮かべ、「じゃあ、行ってくる」の代わりに、
「じゃあ、剥いてくる」
とエロい目つきで余裕の勝利宣言をすると、舞台へ上がっていった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした
仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」
夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。
結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。
それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。
結婚式は、お互いの親戚のみ。
なぜならお互い再婚だから。
そして、結婚式が終わり、新居へ……?
一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる