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2、鬼ごっこの始まり
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目の前に現れたのは、同い年くらいの少女。制服はボロボロで、紙で顔が隠れており、異様な気配が漂っている。そして体中血まみれだ。
「私と・・遊びましょ?」
「・・・・」
何も言えない。逃げたいのに体が動かない。夏海はなんとか、
「・・・こっくりさん・・・?」
とだけ言った。少女は答えない。晴れていたはずの空が黒ずんできた。雰囲気が暗くなっていく。
「遊ぼ?・・ねえ・・遊ぼう」
誰も答えない。受け入れても、拒否してもどっちにしろ助からない。みんなそんな気がしていた。
「・・遊んでくれるんだね・・鬼ごっこ・・しよ?」
背筋が凍った気がした。異様な空気が教室中を包む。凛香は泣きそうになっているし、いつも笑顔の義人からは笑顔が消えている。
「私が・・鬼・・・10・・・・9・・・8・・・・」
体を無理やり動かす。全員で教室を飛び出した。校門に駆け込む。晴天だったはずの空は、黒ずんでいる。火事場の馬鹿力だろうか。全員無言で走り続ける。
5分くらい走った。一階の教室から飛び出したからもう校門につくはず。校門さえ見えない。皆も落ち着いてきたのか違和感に気が付く。最初に気づいたのは真翔だ。
「なっつー、なんかおかしくないか?」
「はぁ・・・何が?・・」
「もう・・・五分以上走ってる・・・ぞ。」
皆で立ち止まって後ろを向く。校舎がすぐ近くに見える。呆然と立ちすくむしかない。状況が把握できない。【こっくりさん】のことも忘れて教室に入る。
・・・恐怖がこの空間を支配した。壁中に血のようなもので【こっくりさん】の文字がびっしりと書かれている。黒板には
【私は誰でしょう?逃げたいのなら、私が何者なのかを探し出せ】
と書かれていた・・・。
*
冷静だった真翔の提案で一番情報がありそうな職員室に向かうことになった。鍵はなぜか開いている。職員室の資料を探す。1時間ぐらいたっただろうか。琉生が
「これじゃない?!」
と叫んだのと同時に、ドアがひとりでに開く。
「・・・みいつけた・・・!」
「逃げろーー!」
義人の一言でみんな火が付いたように逃げ出した。3階まで階段を駆け上って教室に飛び込み、息をひそめる。
「あれ・・・?・・・・いな・・い・・」
【こっくりさん】の声が廊下に響く。緊張感に包まれる。
・・・階段を下る足音が聞こえた。緊張感が緩和される。
琉生がそれらしきファイルを持ったまま逃げてきたので。そのファイルをみんなで確認した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【生徒怪死に関する資料(持ち出し・コピー厳禁)】
2013年6月17日 学校に忍び込み、こっくりさんを行った男女六人の
生徒が、怪死した。
保護者・メディアには事故死と説明。
死に方はバラバラでどれもむごいものであった。
対処:こっくりさんの校則による禁止。こっくりさんを行うことが
できないようにする環境づくり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なんだよ・・・これ・・」
真翔は呆然とする。当たり前の反応だ。私達とおんなじ状況だった人が、全員怪死しているのだから。その時誰かがすっと立ちあがった。成美だ。顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
「私は・・・一人で行動する。」
皆に動揺が走る。
「何言ってんだなる!一人の方が危ないだろ?!」
「大勢で動く方が見つかりやすい。それに・・・私は一人ででも生き残りたいの!このペースじゃみんな死ぬ!」
「ねえ・・落ち着いて。」
「落ち着けるわけないじゃん!とにかく私は一人で行動するから・・・ついてこないで。」
成美は一人で飛び出して行ってしまった。
「・・・追いかけないの?」
「全員で行動する必要があるわけじゃないし、言ってたことは間違ってるわけじゃない。考え方が違うだけ。」
「っていうか、もとはと言えばなっつーがしようって言ったのが悪いんだろ?偉そうに言ってんじゃねーよ!」
「・・・・」
「何も言えねーのかよ。・・・るい、まな、一緒に行こうぜ。」
3人は無言で教室を出て行った。
「私と・・遊びましょ?」
「・・・・」
何も言えない。逃げたいのに体が動かない。夏海はなんとか、
「・・・こっくりさん・・・?」
とだけ言った。少女は答えない。晴れていたはずの空が黒ずんできた。雰囲気が暗くなっていく。
「遊ぼ?・・ねえ・・遊ぼう」
誰も答えない。受け入れても、拒否してもどっちにしろ助からない。みんなそんな気がしていた。
「・・遊んでくれるんだね・・鬼ごっこ・・しよ?」
背筋が凍った気がした。異様な空気が教室中を包む。凛香は泣きそうになっているし、いつも笑顔の義人からは笑顔が消えている。
「私が・・鬼・・・10・・・・9・・・8・・・・」
体を無理やり動かす。全員で教室を飛び出した。校門に駆け込む。晴天だったはずの空は、黒ずんでいる。火事場の馬鹿力だろうか。全員無言で走り続ける。
5分くらい走った。一階の教室から飛び出したからもう校門につくはず。校門さえ見えない。皆も落ち着いてきたのか違和感に気が付く。最初に気づいたのは真翔だ。
「なっつー、なんかおかしくないか?」
「はぁ・・・何が?・・」
「もう・・・五分以上走ってる・・・ぞ。」
皆で立ち止まって後ろを向く。校舎がすぐ近くに見える。呆然と立ちすくむしかない。状況が把握できない。【こっくりさん】のことも忘れて教室に入る。
・・・恐怖がこの空間を支配した。壁中に血のようなもので【こっくりさん】の文字がびっしりと書かれている。黒板には
【私は誰でしょう?逃げたいのなら、私が何者なのかを探し出せ】
と書かれていた・・・。
*
冷静だった真翔の提案で一番情報がありそうな職員室に向かうことになった。鍵はなぜか開いている。職員室の資料を探す。1時間ぐらいたっただろうか。琉生が
「これじゃない?!」
と叫んだのと同時に、ドアがひとりでに開く。
「・・・みいつけた・・・!」
「逃げろーー!」
義人の一言でみんな火が付いたように逃げ出した。3階まで階段を駆け上って教室に飛び込み、息をひそめる。
「あれ・・・?・・・・いな・・い・・」
【こっくりさん】の声が廊下に響く。緊張感に包まれる。
・・・階段を下る足音が聞こえた。緊張感が緩和される。
琉生がそれらしきファイルを持ったまま逃げてきたので。そのファイルをみんなで確認した。
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【生徒怪死に関する資料(持ち出し・コピー厳禁)】
2013年6月17日 学校に忍び込み、こっくりさんを行った男女六人の
生徒が、怪死した。
保護者・メディアには事故死と説明。
死に方はバラバラでどれもむごいものであった。
対処:こっくりさんの校則による禁止。こっくりさんを行うことが
できないようにする環境づくり
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「なんだよ・・・これ・・」
真翔は呆然とする。当たり前の反応だ。私達とおんなじ状況だった人が、全員怪死しているのだから。その時誰かがすっと立ちあがった。成美だ。顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
「私は・・・一人で行動する。」
皆に動揺が走る。
「何言ってんだなる!一人の方が危ないだろ?!」
「大勢で動く方が見つかりやすい。それに・・・私は一人ででも生き残りたいの!このペースじゃみんな死ぬ!」
「ねえ・・落ち着いて。」
「落ち着けるわけないじゃん!とにかく私は一人で行動するから・・・ついてこないで。」
成美は一人で飛び出して行ってしまった。
「・・・追いかけないの?」
「全員で行動する必要があるわけじゃないし、言ってたことは間違ってるわけじゃない。考え方が違うだけ。」
「っていうか、もとはと言えばなっつーがしようって言ったのが悪いんだろ?偉そうに言ってんじゃねーよ!」
「・・・・」
「何も言えねーのかよ。・・・るい、まな、一緒に行こうぜ。」
3人は無言で教室を出て行った。
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