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2章 領地での暮らし
神子様、出発する
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『フェルディナンド様、ひとつ食べてもいいですか?』
エンは、ほこほこと湯気を上げるクッキーをジィっと見つめて、前足でクッキーを今すぐにもつまみそうな姿勢で、俺に許可を求めてきた。
「一つだけなら、いいよ。ジエイドも、スピネルも」
俺だって、一枚食べるしね。やっぱりこのちょい堅めのポリポリした感じが、癖になるクッキーだな。もう一枚食べたいけど、不公平だからやめたおこう。
『ものすっごくおいしいですの』
ジエイドは、目をキラキラさせながら絶賛してくれた。でも、頬にクッキーのカスがついてるよ。
『今まで食べたクッキーの中で、一番おいしいです』
普段は、あいまいな感情の読めないニコニコ笑顔を浮かべているスピネルも、にぱーって頬を緩めている。そこまでおいしい?このクッキー。
「喜んでくれてよかったよ。3人?ともそろそろ行こう」
歓迎会に、遅刻するって恥ずかしいしね。それに、できるだけあったかいうちに届けたい。
『そうでしたの!完全に、クッキーに意識がむいていましたの』
おい、何のためにクッキーを作ったんだ?
『そうでした!僕が報告したのに』
おい、報告者が何で忘れてるんだ。
『そうでした!歓迎会でした』
スピネルまで……。3人?とも忘れるとは予想外だった。
『世界樹の杖(転移)で、直行しますの』
あー、あのチートアイテム。俺も、アリス様の許可を取って、アリス様のところに直行できるアイテム作ろっかなぁ。
「お願い。だけど、場所が正確にわからないのに転移できるの?」
普通、転移アイテムって場所が正確にわかっていないと、使えないものだけど……。
『世界樹の杖だから、大丈夫ですの。細かい原理は忘れましたけれど、あいまいな場所でも確実に転移するみたいですの』
へぇー、さすがチートアイテム。それあったら、遅刻知らずで羨ましい。
「それじゃあよろしく」
精霊たちの歓迎会、楽しみ。
『わかりましたの。
世界樹の杖よ その力の一端をふるい 我が望む場所へと 時空をつなげ』
エンは、ほこほこと湯気を上げるクッキーをジィっと見つめて、前足でクッキーを今すぐにもつまみそうな姿勢で、俺に許可を求めてきた。
「一つだけなら、いいよ。ジエイドも、スピネルも」
俺だって、一枚食べるしね。やっぱりこのちょい堅めのポリポリした感じが、癖になるクッキーだな。もう一枚食べたいけど、不公平だからやめたおこう。
『ものすっごくおいしいですの』
ジエイドは、目をキラキラさせながら絶賛してくれた。でも、頬にクッキーのカスがついてるよ。
『今まで食べたクッキーの中で、一番おいしいです』
普段は、あいまいな感情の読めないニコニコ笑顔を浮かべているスピネルも、にぱーって頬を緩めている。そこまでおいしい?このクッキー。
「喜んでくれてよかったよ。3人?ともそろそろ行こう」
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『そうでしたの!完全に、クッキーに意識がむいていましたの』
おい、何のためにクッキーを作ったんだ?
『そうでした!僕が報告したのに』
おい、報告者が何で忘れてるんだ。
『そうでした!歓迎会でした』
スピネルまで……。3人?とも忘れるとは予想外だった。
『世界樹の杖(転移)で、直行しますの』
あー、あのチートアイテム。俺も、アリス様の許可を取って、アリス様のところに直行できるアイテム作ろっかなぁ。
「お願い。だけど、場所が正確にわからないのに転移できるの?」
普通、転移アイテムって場所が正確にわかっていないと、使えないものだけど……。
『世界樹の杖だから、大丈夫ですの。細かい原理は忘れましたけれど、あいまいな場所でも確実に転移するみたいですの』
へぇー、さすがチートアイテム。それあったら、遅刻知らずで羨ましい。
「それじゃあよろしく」
精霊たちの歓迎会、楽しみ。
『わかりましたの。
世界樹の杖よ その力の一端をふるい 我が望む場所へと 時空をつなげ』
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