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New Research Lab 1
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オレは対策省からの仕事をセーブする一方、その分を漁に参加するといったカタチで過ごしていた。
漁に参加することでオレは海での水中活動経験が積め、漁師さんはオレの護衛で安全に漁ができ、そのお礼にと新鮮な魚をたくさん分けてもらえた。参加する範囲も田丸水産関係から港に所属する船へと徐々に広がり、色々と面白い経験もできた。
「ホラ、どうだい大将?房総からの産地直送だ。鮮度が違うよ」
「あらま!良いのが入ってるじゃないのよぉ。やるわね、江月ちゃん」
「こんにちは、江月です。房総の方に行ってきたんで、魚を持ってきました」
「あらあら鳴人さん、こんにちは。お魚もってきてくださったの?まぁこんなに?助かるわぁ」
そうして貰った魚は特異産業の寮で暮らすジェロームたちにあげたり、居酒屋ムラサキに卸したり瑠羽のお母さんにおすそ分けしたりと、大活躍。物価高のうえ魚も手に入り難い今日この頃だったので、新鮮なお魚たちはたいへんに喜んでもらえた。
そんな今日、漁から戻ると特異迷宮対策省の研究スタッフである豊波チーフから『新しい研究所が出来たからよければ遊びにおいで』という、とてもありがたいお誘いのメッセージを頂いた。そこで早速『これから新鮮な魚を土産に伺います!』と、返事をかえす。
このところ漁に参加した際に発見駆除した房総沖モンスターの情報も対策省に送っていたので、もしかしたらそれが豊波チーフの目にもとまったのかも、と思ったからだ。
…。
そうして高速を使って房総の木更津から強い潮風に煽られながらも東京湾を渡り、夢の島までやってきた。夢の島にダンジョン関係の建物をまとめて建てていて、新しい研究所もここに出来たのだとか。うん、ドリームアイランド計画というヤツだな。
「お~、すごいな。もうほとんど完成じゃないか」
高速からも視えていた大きなピラミッドと小さなピラミッド。それが近付くと、今は見上げるほどに高くそびえている。ピラミッド型なのは、諸々の理由で頑丈な造りにしたいからだろう。
オレが地底湖から東京湾に出たときも工事がガンガンに行われていたが、ダンジョン能力者らしい建築作業員がクレーンで運ぶような鉄骨をモリモリ運んでいた。だから建築スピードとしては、だいぶ捗ったことだろう。
(ん~と、アレかな…?)
そんなピラミッド風建築物の脇を抜け海っペタといったような場所に、なんか風見鶏みたいなカタチをした変な建物が建っていた。その外観がなんとも、ロボアニメに出てくるなんちゃら研究所みたい。
その建物のゲートでも、この区画に入る際に提示したバーコードと暗証番号で許可のある人間がどうかがチェックされる。バーコードと暗証番号は今から行きますと返事を返した後で、豊波チーフから冒険者アプリに送られてきたモノ。その手続きののち車を停め建物に入ると警備員室があり、ここでもまた入館手続きとチェックが入る。
「そのクーラーボックスはなにかね?」
と、ここで持っていたクーラーボックスを警備員に見咎められた。
「これは豊波チーフへのお…ゴホン、これは房総沖で発生している特異生物による漁業への被害が、既存生物の魚類に対しどのような影響を及ぼしているかを調べてもらうためのサンプルです」
そう、もっともらしい理由をつけて説明すると、お魚満載のクーラーボックスを開けて見せる。
「ほぉ、これは新鮮で実に美味…ゴホン、豊波チーフならB区画の3号室においです。床と壁の案内に従って、ほかには寄らず真っ直ぐ進んでください」
「わかりました」
(なるほど、Bは黄色か)
床や壁には赤黄緑といったラインがひかれており、それにより分かりやすく迷わないようになっているらしい。
(ほ~ん、まぁいかにも研究所って感じだな…)
クーラーボックスを手に進んでいくと、部屋への扉はすべて電子錠つき。電子錠のないのは、建物の設備用かトイレくらいのもの。まぁ電子錠くらいはセキュリティのしっかりした企業ならどこも採用してるから、さほど珍しくはない。
それよりも研究所というくらいなのだから、ガスの出る穴とか銃のついたカメラがないのかと探してみたが、そんなゲームみたいな設備は特に見当たらなかった。
B区画3号室の前に到着しインターフォンを鳴らすと、職員の方が扉を開け豊波チーフを呼びに行ってくれる。その室内は真新しくて、まだほとんど手つかずの状態。するとデスクの列の向こうから、白衣姿に輝かしい頭皮の豊波チーフがにこやかに姿をみせた。
「やぁ、早かったね江月くん」
「どうもこんにちは、早速あそびに来ました」
そういって、手に持つクーラーボックスを軽く持ち上げてみせる。
「いや、それなんだが。我々も、一応公務員だからねェ。そういったモノは、ちょっと受け取れないんだよ…」
と、困り顔をしてみせる豊波チーフに、オレは先ほどと同じセリフでクーラーボックスを開けて見せる。
「いえ、これは房総沖で発生している特異生物による漁業への被害が、既存生物の魚類に対しどのような影響を及ぼしているかを調べてもらうためのサンプルですので。地元の漁師さんからもそう頼まれてますし、ぜひ調べて頂かないと」
「…ふぅむ、そうかい?なら十分吟味して、研究せねばなるまいなぁ。お~い、だれか。コレ、冷蔵庫に保管していてくれるかい」
「ああ、それと。警備の方も、コレのこと気にしてましたね」
「そうか、では食用に問題がないかをチェックする時には、彼らにも協力願おう。試行人数が多いほど、データはより正確になるからね」
はいはい。十分に吟味して、安全のため研究をおねがいします。
漁に参加することでオレは海での水中活動経験が積め、漁師さんはオレの護衛で安全に漁ができ、そのお礼にと新鮮な魚をたくさん分けてもらえた。参加する範囲も田丸水産関係から港に所属する船へと徐々に広がり、色々と面白い経験もできた。
「ホラ、どうだい大将?房総からの産地直送だ。鮮度が違うよ」
「あらま!良いのが入ってるじゃないのよぉ。やるわね、江月ちゃん」
「こんにちは、江月です。房総の方に行ってきたんで、魚を持ってきました」
「あらあら鳴人さん、こんにちは。お魚もってきてくださったの?まぁこんなに?助かるわぁ」
そうして貰った魚は特異産業の寮で暮らすジェロームたちにあげたり、居酒屋ムラサキに卸したり瑠羽のお母さんにおすそ分けしたりと、大活躍。物価高のうえ魚も手に入り難い今日この頃だったので、新鮮なお魚たちはたいへんに喜んでもらえた。
そんな今日、漁から戻ると特異迷宮対策省の研究スタッフである豊波チーフから『新しい研究所が出来たからよければ遊びにおいで』という、とてもありがたいお誘いのメッセージを頂いた。そこで早速『これから新鮮な魚を土産に伺います!』と、返事をかえす。
このところ漁に参加した際に発見駆除した房総沖モンスターの情報も対策省に送っていたので、もしかしたらそれが豊波チーフの目にもとまったのかも、と思ったからだ。
…。
そうして高速を使って房総の木更津から強い潮風に煽られながらも東京湾を渡り、夢の島までやってきた。夢の島にダンジョン関係の建物をまとめて建てていて、新しい研究所もここに出来たのだとか。うん、ドリームアイランド計画というヤツだな。
「お~、すごいな。もうほとんど完成じゃないか」
高速からも視えていた大きなピラミッドと小さなピラミッド。それが近付くと、今は見上げるほどに高くそびえている。ピラミッド型なのは、諸々の理由で頑丈な造りにしたいからだろう。
オレが地底湖から東京湾に出たときも工事がガンガンに行われていたが、ダンジョン能力者らしい建築作業員がクレーンで運ぶような鉄骨をモリモリ運んでいた。だから建築スピードとしては、だいぶ捗ったことだろう。
(ん~と、アレかな…?)
そんなピラミッド風建築物の脇を抜け海っペタといったような場所に、なんか風見鶏みたいなカタチをした変な建物が建っていた。その外観がなんとも、ロボアニメに出てくるなんちゃら研究所みたい。
その建物のゲートでも、この区画に入る際に提示したバーコードと暗証番号で許可のある人間がどうかがチェックされる。バーコードと暗証番号は今から行きますと返事を返した後で、豊波チーフから冒険者アプリに送られてきたモノ。その手続きののち車を停め建物に入ると警備員室があり、ここでもまた入館手続きとチェックが入る。
「そのクーラーボックスはなにかね?」
と、ここで持っていたクーラーボックスを警備員に見咎められた。
「これは豊波チーフへのお…ゴホン、これは房総沖で発生している特異生物による漁業への被害が、既存生物の魚類に対しどのような影響を及ぼしているかを調べてもらうためのサンプルです」
そう、もっともらしい理由をつけて説明すると、お魚満載のクーラーボックスを開けて見せる。
「ほぉ、これは新鮮で実に美味…ゴホン、豊波チーフならB区画の3号室においです。床と壁の案内に従って、ほかには寄らず真っ直ぐ進んでください」
「わかりました」
(なるほど、Bは黄色か)
床や壁には赤黄緑といったラインがひかれており、それにより分かりやすく迷わないようになっているらしい。
(ほ~ん、まぁいかにも研究所って感じだな…)
クーラーボックスを手に進んでいくと、部屋への扉はすべて電子錠つき。電子錠のないのは、建物の設備用かトイレくらいのもの。まぁ電子錠くらいはセキュリティのしっかりした企業ならどこも採用してるから、さほど珍しくはない。
それよりも研究所というくらいなのだから、ガスの出る穴とか銃のついたカメラがないのかと探してみたが、そんなゲームみたいな設備は特に見当たらなかった。
B区画3号室の前に到着しインターフォンを鳴らすと、職員の方が扉を開け豊波チーフを呼びに行ってくれる。その室内は真新しくて、まだほとんど手つかずの状態。するとデスクの列の向こうから、白衣姿に輝かしい頭皮の豊波チーフがにこやかに姿をみせた。
「やぁ、早かったね江月くん」
「どうもこんにちは、早速あそびに来ました」
そういって、手に持つクーラーボックスを軽く持ち上げてみせる。
「いや、それなんだが。我々も、一応公務員だからねェ。そういったモノは、ちょっと受け取れないんだよ…」
と、困り顔をしてみせる豊波チーフに、オレは先ほどと同じセリフでクーラーボックスを開けて見せる。
「いえ、これは房総沖で発生している特異生物による漁業への被害が、既存生物の魚類に対しどのような影響を及ぼしているかを調べてもらうためのサンプルですので。地元の漁師さんからもそう頼まれてますし、ぜひ調べて頂かないと」
「…ふぅむ、そうかい?なら十分吟味して、研究せねばなるまいなぁ。お~い、だれか。コレ、冷蔵庫に保管していてくれるかい」
「ああ、それと。警備の方も、コレのこと気にしてましたね」
「そうか、では食用に問題がないかをチェックする時には、彼らにも協力願おう。試行人数が多いほど、データはより正確になるからね」
はいはい。十分に吟味して、安全のため研究をおねがいします。
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