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Ditch cleaning
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オレは今日もどぶさらいの仕事を行なっていた。なぜなら他にやるヤツがいないので、ほぼ独占であり金になるからだ。
なにかの物語ならば特異迷宮対策省ももっと冒険者ギルドっぽくなっていて、クエストやダンジョンで得たドロップを売り「ハイ今日はナンボのあがりです」なんてなるのだろうが、なかなかそう上手くいかない。なにせようやく市販され始めた回復薬ですら、一番低ランクで¥12000とかするのだ。
なので今ダンジョンに潜っているのは、そういった望む未来が来ることを夢見て頑張っている連中か、単純に自身を鍛え強くなりたいと頑張っている者達だろう。
ともあれ内容としては、だいたいが獣鼠の空けた穴や破損個所の報告。
ほかどんなモンスターがいたかなど生息状況の確認となる。それで修理計画が立てられれば、今後はその護衛なんかの依頼も出てくるだろう。ま、なんにせよ下水道なんかに潜る必要があるから、総じてどぶさらいと呼んでいる。
駆除に関しては、まぁ可能であればといった感じ。
そもそもが駆除依頼の仕事ではないので、みつけたモンスターを倒したところで金にはならない。なので時短の為、ピクシークィーンに頼んで進行方向へと生み出した酸刺激臭を吹きつけてもらえば、そのスッパイ臭いを嫌って獣鼠なんかはすぐに逃げて行く。
そう、賢明なオレは、不要な戦いは行わないのだ。
…。
こうして任務を終え排水口の梯子を登り終えると、酸粘液で全身を包みスーツの洗浄。
『(しゅおぉぉぉ…)』
完全密閉にボンベ装備だと、こういった真似も平気でできる。ま、この消毒法は、冷蔵庫ダンジョンでもいつもやってることだけど。
で、地上に戻ってきて時間を確認してみると、まだお昼前。冒険者アプリで依頼開始の連絡を入れたのが朝の9時ごろだったから、今日は3時間弱で15万のあがりだ。元は3人程度の特異迷宮能力者の編成でこなす仕事として設定された依頼金額なので、それをソロでこなしてるオレは丸儲けというわけ。
(しめしめ、今日も早く片付いたぞ)
そしてこのダンジョン能力者に登録の義務付けられている冒険者アプリは、GPSとリンクしている。なので特異迷宮対策省には自分の位置がバレバレであり、依頼を受けた際にはこうして現場から入りや出の連絡をいれられるのだ。
またそれらを管理するオペレーターも、このさき外部企業に委託し増員される予定だそうな。
ともあれさっさと報告を入れ仕事を完了すべく、適当な場所に腰かけると空間庫からアタッシュケースに入れたノートパソコンを召喚。
(え~、まず地図を表示して…それに該当する写真を張りつけて…、さらに説明と補足をチョチョイっと…。うむ、これで良し!)
うん、冒険者アプリにはPC版もある。
なので以前ドローンを飛ばすモニターとして使っていたノートパソコンを、現場で使っている。せっかく買ったプローブアロー号とプローブホーク号は地下10層の巨大蠅に撃墜され未帰還機となってしまったが、ノートパソコンの方はこうして今も役立ってくれているのだ。
『ピロン!』
(ん…あれ?なんだ、今日は智がダンジョンに潜ってるのか…??)
冒険者アプリにはそんな機能も。そして智も、モグリではなく免許を取得した。
また現在ダンジョンに潜る際には受付で免許証のICチップを読み取ってもらうか、そのダンジョンに設置されたコードを冒険者アプリで読み取るかのどちらかで入退の記録をつける仕組みとなっている。
まぁひとが大勢来るようなダンジョンはICチップの読み取りで、特異産業で管理の任されている植物ダンジョンなんかはコードの読み取りといった感じだ。チップの読み取り機も、揃えるとなるとけっこうかかるだろうしな。
なのでどのダンジョンに誰が入り、どういった仕事を受けているといった情報も、こうして冒険者アプリで閲覧できてしまうのだ。これには能力者を相互に監視させようという政府の狙いもあるだろう。
ともあれ友人登録機能もあるので、登録しておけばこのように『〇×さんが△ダンジョンに入りました』なんてメッセージが表示される。そういった点では、非常に便利であるといえよう。
「へぇ~、なんだ。この近くじゃないか。ならちょっと様子を見に行ってみるかな」
どうやら智が潜っているダンジョンは、月島にあるらしい。今日も現場が辰巳だったので、バイクであればすぐの距離だ。
前に会った時。
太ってしまった智には口がしょっぱく、いや口が酸っぱくなるほど説教し、生活習慣の改善を求めた。まず減量しないことには、鍛えようがないからだ。
その甲斐あって自身でも身体を鍛えようとしてくれているのなら、これはうれしい。なのでここはひとつ、そっと様子を見に行ってみようではないか。
なにかの物語ならば特異迷宮対策省ももっと冒険者ギルドっぽくなっていて、クエストやダンジョンで得たドロップを売り「ハイ今日はナンボのあがりです」なんてなるのだろうが、なかなかそう上手くいかない。なにせようやく市販され始めた回復薬ですら、一番低ランクで¥12000とかするのだ。
なので今ダンジョンに潜っているのは、そういった望む未来が来ることを夢見て頑張っている連中か、単純に自身を鍛え強くなりたいと頑張っている者達だろう。
ともあれ内容としては、だいたいが獣鼠の空けた穴や破損個所の報告。
ほかどんなモンスターがいたかなど生息状況の確認となる。それで修理計画が立てられれば、今後はその護衛なんかの依頼も出てくるだろう。ま、なんにせよ下水道なんかに潜る必要があるから、総じてどぶさらいと呼んでいる。
駆除に関しては、まぁ可能であればといった感じ。
そもそもが駆除依頼の仕事ではないので、みつけたモンスターを倒したところで金にはならない。なので時短の為、ピクシークィーンに頼んで進行方向へと生み出した酸刺激臭を吹きつけてもらえば、そのスッパイ臭いを嫌って獣鼠なんかはすぐに逃げて行く。
そう、賢明なオレは、不要な戦いは行わないのだ。
…。
こうして任務を終え排水口の梯子を登り終えると、酸粘液で全身を包みスーツの洗浄。
『(しゅおぉぉぉ…)』
完全密閉にボンベ装備だと、こういった真似も平気でできる。ま、この消毒法は、冷蔵庫ダンジョンでもいつもやってることだけど。
で、地上に戻ってきて時間を確認してみると、まだお昼前。冒険者アプリで依頼開始の連絡を入れたのが朝の9時ごろだったから、今日は3時間弱で15万のあがりだ。元は3人程度の特異迷宮能力者の編成でこなす仕事として設定された依頼金額なので、それをソロでこなしてるオレは丸儲けというわけ。
(しめしめ、今日も早く片付いたぞ)
そしてこのダンジョン能力者に登録の義務付けられている冒険者アプリは、GPSとリンクしている。なので特異迷宮対策省には自分の位置がバレバレであり、依頼を受けた際にはこうして現場から入りや出の連絡をいれられるのだ。
またそれらを管理するオペレーターも、このさき外部企業に委託し増員される予定だそうな。
ともあれさっさと報告を入れ仕事を完了すべく、適当な場所に腰かけると空間庫からアタッシュケースに入れたノートパソコンを召喚。
(え~、まず地図を表示して…それに該当する写真を張りつけて…、さらに説明と補足をチョチョイっと…。うむ、これで良し!)
うん、冒険者アプリにはPC版もある。
なので以前ドローンを飛ばすモニターとして使っていたノートパソコンを、現場で使っている。せっかく買ったプローブアロー号とプローブホーク号は地下10層の巨大蠅に撃墜され未帰還機となってしまったが、ノートパソコンの方はこうして今も役立ってくれているのだ。
『ピロン!』
(ん…あれ?なんだ、今日は智がダンジョンに潜ってるのか…??)
冒険者アプリにはそんな機能も。そして智も、モグリではなく免許を取得した。
また現在ダンジョンに潜る際には受付で免許証のICチップを読み取ってもらうか、そのダンジョンに設置されたコードを冒険者アプリで読み取るかのどちらかで入退の記録をつける仕組みとなっている。
まぁひとが大勢来るようなダンジョンはICチップの読み取りで、特異産業で管理の任されている植物ダンジョンなんかはコードの読み取りといった感じだ。チップの読み取り機も、揃えるとなるとけっこうかかるだろうしな。
なのでどのダンジョンに誰が入り、どういった仕事を受けているといった情報も、こうして冒険者アプリで閲覧できてしまうのだ。これには能力者を相互に監視させようという政府の狙いもあるだろう。
ともあれ友人登録機能もあるので、登録しておけばこのように『〇×さんが△ダンジョンに入りました』なんてメッセージが表示される。そういった点では、非常に便利であるといえよう。
「へぇ~、なんだ。この近くじゃないか。ならちょっと様子を見に行ってみるかな」
どうやら智が潜っているダンジョンは、月島にあるらしい。今日も現場が辰巳だったので、バイクであればすぐの距離だ。
前に会った時。
太ってしまった智には口がしょっぱく、いや口が酸っぱくなるほど説教し、生活習慣の改善を求めた。まず減量しないことには、鍛えようがないからだ。
その甲斐あって自身でも身体を鍛えようとしてくれているのなら、これはうれしい。なのでここはひとつ、そっと様子を見に行ってみようではないか。
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