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スキルトーナメント
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瀬来さんの武器が豚足になった。
まぁ超巨大猪の骨なので、厳密には猪足なんだけど。ともあれなんだかんだで気に入ったらしい。ま、使い勝手はカツオくんバットと同じだからね。慣れた感覚だったから、扱いやすかったのだろう。
しかし見た目は、ほんとにデカい骨。
武器のカテゴリーとしてはハンマーのようでもあるし、メイスやクラブとも思える。ま、そこまで細かい事を言わなければ、要するに鈍器という話。
ただこれで殴られて死んだ敵は「俺、骨なんかで撲殺されたのかよ…」と、死後もなんか納得いかない感じでモヤモヤと浮かばれないことだろう。
まぁそれはさておき、家に戻り楽しい夕食タイム。しかし囲炉裏を囲み、さぁいただきますというタイミングでオレの通信端末に着信音が。
「ん、なんだ?都内からだが知らない番号だぞ。でも、もしかしたら真田薬品さんかな…?」
ちょっと失礼して土間の方に移動すると、電話を受けてみる。
『どうも、わたくし特異迷宮対策省広報課の滝山と申します。江月さんのお電話でよろしかったでしょうか』
(は?特異迷宮対策省の広報課??)
「はい。江月は私ですが…」
なんの電話なのか不審に思いながらも応じてみる。そんな様子に、仁菜さん瀬来さんもこちらを向いて聞き耳をたてている。
『おめでとうございます!江月さん、あなたは特異迷宮能力者のイベント。スキルトーナメントの選考に選ばれました!』
「スキルトーナメント?は、はぁ…」
すると内容を聞いていた瀬来さんが近くまでやってきて、もっとよく聞こうと顔を寄せてくる。仁菜さんは通信端末を取り出し、耳にした情報をもとにネットで調べてくれているようだ。
『つきましては近日中に面接の為、こちらに来ていただきたいのですがご都合のほどいかがですか?』
「あ、はあ。いや、ですが今は東京にいなくてですね。近日中というのは、いつまでの話です?」
『はい、明日とか明後日なんていかがでしょう?』
(いやいや、それはまた随分と急だな…)
「ん~、さすがにそれはムリそうなんで、今回は…エ?」
なんとなく面倒臭そうな話だったので断ろうとしたら、今度は仁菜さんがすごい勢いでくると通信端末に表示された画像を何度も指差す。
「え、なに賞金一千万??」
『はい!優勝賞金は一千万となっております!ですが、こちらで面接を受けられないと…』
困った。お金はあれば嬉しいしいけど、スキルトーナメントってなんだ?なんの情報もないのでは、判断がつかない。そんな悩むオレを挟んで、仁菜さんと瀬来さんが目顔で出ろ出ろと訴えかけてくる…。
う~む、これはどうすべきか。
『(あ、主任。え…この人?)もしかしてこの人がワニのひとなんですかッ!?』
(おや?電話口の様子がなにやらおかしいぞ??)
するとガサゴソいうと、電話口の相手が代わったようだ。
『もしもし?研究部の枝葉志です。江月さん聞こえますか?』
「え、枝葉志さんですか??」
『そうです、おひさしぶりですね』
「はぁ…まぁなんというか、鰐の件以来ですね」
『はい、鰐ぶりです。いやぁ、でもあの鰐は助かりましたよ。ですので江月さんは、面接なくてもオッケーです。資料もバッチリ揃ってますし、あとはこちらで巧いこと通しておきますから!』
「はぇ??」
『ああ、それと頼まれていたモノも、もう揃ってますから時間のある時にでも取りに来てくださいね。それでは活躍を期待しています!!』
「あ、ちょっと!」
だが枝葉志さんは自分の伝えたい内容だけを話すと、そのまま電話を切ってしまった。えぇ~~ッ!何よソレ!
「やったね江月さん!一千万だって!」
「面接もなしでエエやなんて、こら貰ろたもおんなじやねェ~!」
通信端末を手にしたまま困惑するオレをよそに、仁菜さん瀬来さんはもう勝確とばかりに盛り上がる。
「ああいや、ふたりともちょっと待って。どういうことなのか理解が及んでないのだけど」
すると仁菜さんは通信端末をタップし、特異迷宮対策省主催のスキルトーナメント公式ホームページなるものを改めて表示してくれる。
「なんやダンジョン能力者同士が、スキルで戦う大会みたいやね」
「ふふん、そんなの江月さんが出れば楽勝だよ!」
「あ~…アッ!もしかしてアレのことか!!」
そういえば特異迷宮入場免許証を取りに行った時に、催しがうんたらかんたらって感じの質問欄があったっけ。何も考えず〇してたわオレ。んでその確認の連絡がきた時にも、瀬来さんがポチッちゃったんだ。
「お~い、おまえら。いつまでもしゃべっとらんで、メシにするぞ??」
「「あ、は~い!」」
と、そこにいただきますがお預けになってしまったことに焦れたお爺さんから、催促が入る。それに応えてふたりが戻っていくが、オレはなんともいえない気分。
う~む、スキルトーナメントか。どうしよう。
まぁ超巨大猪の骨なので、厳密には猪足なんだけど。ともあれなんだかんだで気に入ったらしい。ま、使い勝手はカツオくんバットと同じだからね。慣れた感覚だったから、扱いやすかったのだろう。
しかし見た目は、ほんとにデカい骨。
武器のカテゴリーとしてはハンマーのようでもあるし、メイスやクラブとも思える。ま、そこまで細かい事を言わなければ、要するに鈍器という話。
ただこれで殴られて死んだ敵は「俺、骨なんかで撲殺されたのかよ…」と、死後もなんか納得いかない感じでモヤモヤと浮かばれないことだろう。
まぁそれはさておき、家に戻り楽しい夕食タイム。しかし囲炉裏を囲み、さぁいただきますというタイミングでオレの通信端末に着信音が。
「ん、なんだ?都内からだが知らない番号だぞ。でも、もしかしたら真田薬品さんかな…?」
ちょっと失礼して土間の方に移動すると、電話を受けてみる。
『どうも、わたくし特異迷宮対策省広報課の滝山と申します。江月さんのお電話でよろしかったでしょうか』
(は?特異迷宮対策省の広報課??)
「はい。江月は私ですが…」
なんの電話なのか不審に思いながらも応じてみる。そんな様子に、仁菜さん瀬来さんもこちらを向いて聞き耳をたてている。
『おめでとうございます!江月さん、あなたは特異迷宮能力者のイベント。スキルトーナメントの選考に選ばれました!』
「スキルトーナメント?は、はぁ…」
すると内容を聞いていた瀬来さんが近くまでやってきて、もっとよく聞こうと顔を寄せてくる。仁菜さんは通信端末を取り出し、耳にした情報をもとにネットで調べてくれているようだ。
『つきましては近日中に面接の為、こちらに来ていただきたいのですがご都合のほどいかがですか?』
「あ、はあ。いや、ですが今は東京にいなくてですね。近日中というのは、いつまでの話です?」
『はい、明日とか明後日なんていかがでしょう?』
(いやいや、それはまた随分と急だな…)
「ん~、さすがにそれはムリそうなんで、今回は…エ?」
なんとなく面倒臭そうな話だったので断ろうとしたら、今度は仁菜さんがすごい勢いでくると通信端末に表示された画像を何度も指差す。
「え、なに賞金一千万??」
『はい!優勝賞金は一千万となっております!ですが、こちらで面接を受けられないと…』
困った。お金はあれば嬉しいしいけど、スキルトーナメントってなんだ?なんの情報もないのでは、判断がつかない。そんな悩むオレを挟んで、仁菜さんと瀬来さんが目顔で出ろ出ろと訴えかけてくる…。
う~む、これはどうすべきか。
『(あ、主任。え…この人?)もしかしてこの人がワニのひとなんですかッ!?』
(おや?電話口の様子がなにやらおかしいぞ??)
するとガサゴソいうと、電話口の相手が代わったようだ。
『もしもし?研究部の枝葉志です。江月さん聞こえますか?』
「え、枝葉志さんですか??」
『そうです、おひさしぶりですね』
「はぁ…まぁなんというか、鰐の件以来ですね」
『はい、鰐ぶりです。いやぁ、でもあの鰐は助かりましたよ。ですので江月さんは、面接なくてもオッケーです。資料もバッチリ揃ってますし、あとはこちらで巧いこと通しておきますから!』
「はぇ??」
『ああ、それと頼まれていたモノも、もう揃ってますから時間のある時にでも取りに来てくださいね。それでは活躍を期待しています!!』
「あ、ちょっと!」
だが枝葉志さんは自分の伝えたい内容だけを話すと、そのまま電話を切ってしまった。えぇ~~ッ!何よソレ!
「やったね江月さん!一千万だって!」
「面接もなしでエエやなんて、こら貰ろたもおんなじやねェ~!」
通信端末を手にしたまま困惑するオレをよそに、仁菜さん瀬来さんはもう勝確とばかりに盛り上がる。
「ああいや、ふたりともちょっと待って。どういうことなのか理解が及んでないのだけど」
すると仁菜さんは通信端末をタップし、特異迷宮対策省主催のスキルトーナメント公式ホームページなるものを改めて表示してくれる。
「なんやダンジョン能力者同士が、スキルで戦う大会みたいやね」
「ふふん、そんなの江月さんが出れば楽勝だよ!」
「あ~…アッ!もしかしてアレのことか!!」
そういえば特異迷宮入場免許証を取りに行った時に、催しがうんたらかんたらって感じの質問欄があったっけ。何も考えず〇してたわオレ。んでその確認の連絡がきた時にも、瀬来さんがポチッちゃったんだ。
「お~い、おまえら。いつまでもしゃべっとらんで、メシにするぞ??」
「「あ、は~い!」」
と、そこにいただきますがお預けになってしまったことに焦れたお爺さんから、催促が入る。それに応えてふたりが戻っていくが、オレはなんともいえない気分。
う~む、スキルトーナメントか。どうしよう。
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