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ハチャメチャ・ザ・ワールド2

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世界は知った。

ダンジョンスタンピードがただの一度では終わらずに、連続して起こるということを。そしてスタンピードが起きる度に、より強力なモンスターが地上へ姿を現わすということを…。

ダンジョンスタンピードの第二波。これにより世界はより混迷を深め、動乱に向かいつつあるといえた。

なかでも国土の広いアフリカ諸国やOZ国、R国、C国などは、人の住まない土地はほぼモンスターによって支配されてしまったとみていいだろう。特にアフリカ諸国の、モンスターにより住む土地を追われてしまった人達の難民問題がことのほか酷い様子。

そして原発がマズイことになってしまったC国はそれにより河川が汚染されたり、風に乗って流れた放射能がR国に流れ込んでしまい、両国の関係が急速に悪化している。それでも断固として佐渡島は手放さないようだ。

そんな世界情勢のなかで、またとんでもないことをやらかしてくれたのがB国。

ダンジョンスタンピード第二波の前に使用の交渉を行っていたI国発見の円運動抽出魔法陣。それをチョロっと改造したしただけのモノを、なんと国際特許として出願してしまったのだ。

ニュースの内容だと、どうも確認の為に見せてもらった魔法陣をそのままパクったらしい。するとこれにはさすがのI国首相も「またI国を食い物にするつもりか!」とブチ切れた。

そこでI国独自の計算法と宗教的図画から解析した円運動抽出魔法陣を、オープンソースとして全世界に公表したのだった。これには汚いやり口を行なうB国の目論見を潰すと共に、世界に貢献したI国への経済支援を、ぜひヨロシク!という強いメッセージが込められていた。

そしてその計算は見事にハマリ、各国からはI国グッジョブの嵐。I国の株は急上昇することとなったのである。

しかしその一方で回復薬の情報を小出しにしてより有利な立場を得ようと考えていた日本も、そのあおりを喰らって総スカン。「世界が大変な時になに利己に走ってんねん!」とB国ともどもに叩かれ、各国から輸入を絞られてしまった。

とまぁ、そんな世界情勢でござんす。

うん、まぁ空母とか航空戦力がダンジョンスタンピードの役に立つかっていうと微妙だから、いなくなってくれたおかげでアジア諸島や日本海沿岸の緊張が一時的にでも緩和したのは良かったのかもしれないけど。


「へぇ~、これが円運動抽出魔法陣か~」

で、早速ネットにもその図が出回っていたのでダウンロードしてみた。武器強化スクロールに書かれていた文字に似ているが、図形は全くの別物だ。

「コーチ、これってどう使うモノなんですか?」
「うん、説明によると魔法陣の上に対象物をセットし、相対する図柄を刻んだのち魔法陣のエネルギー供給部に魔石をセットすれば回転が始まるらしい」

「そうなんですか。回転させる対象にも、図柄を入れるんですね」
「そのようだね。これはギアの噛み合わせみたいなモノかもしれないな」

「どれくらい力が出るものなんでしょうね?」
「ん~I国の発表によると、コレを既存の火力発電所や水力発電所にあるタービンにセットすればそれだけでOKみたいに書かれてるけど、ホントに上手くいくのかな?」

「そうなら描かれる魔法陣の大きさによっても、出せる力の大きさがかなり違うのかもしれませんね」
「ふ~む、そういう考え方もあるか。そうだな、エンジンも大きくなればそれだけ排気量も変わるものな」

円運動抽出魔法陣。一見たいしたことのない発見に思えるが、そんな事は全くない。

それくらい円運動というのは、人間の生活に密接に結びついている。例えばこの魔法陣を車やバイクに用いることが可能ならば、エンジン無しの車やバイクだって作れることになる。それはいわば魔動バイクに魔動カー。そして魔動洗濯機に、魔動ドライヤーと可能性は無限大。

およそ発動機やモーターを使用している機械が、この魔法陣で代用出来てしまう事になる。

「う~む、そう考えていくと凄いな。魔石を動力源とするということは枯渇の恐れがある石油は一切使わず、またCO2も一切排出しないという事だもんな」
「はい、夢のクリーンエネルギーですね」

うん、なんか一昔前は原発もそんな風に言われてたような気がしないでもないが、気のせいかな?

ただまぁ魔力がこの世界にどういった影響を及ぼすのかもまったく不明な状況で、それに依存し過ぎてしまうのも問題あると思う。が、地球温暖化待ったなしの現状でCO2を全く排出しないというエネルギーは、非常に魅力的である。

「果たしてこの選択が吉と出るのか凶と出るのか…、まぁオレみたいな無学には解りようもないか」
「そんなことないです!コーチはとっても頭がいいと思います!」

お…うん、アリガトウ瑠羽。瑠羽にはいっつも慰められちゃうな。
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