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塩攻撃は二度、ビクッ!となる
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今日は一日、ひとり瞑想をしている。
スキルの成長が止まり、心穏やかならぬ日々を過ごしていたオレ。だがここに、ひとつの悟りを得た。そう、小五ロリと書いて…悟りだ。
ダンジョンは特殊な場所…。モンスターを倒すとその生命エナジーを奪え、人間の限界を超えて成長が出来てしまう。さらにはスキルなんて超常の力までもが手に入れられてしまう場所。
だが…そんな印象の強すぎたが故に忘れていた。それでも人には限界があるという事を…。
オレは蠅の女王との戦いを経て、一度その限界点に達していたのだ。そう、それは能力値500の壁…。『筋力・体力・知力・精神力・敏捷性』と、5つの能力値が全て500を上限としてカウントがストップした。
勿論これが限界ではなく、さらにその先があるという可能性も否定はできない。なぜだか『やるせなさ』だけが、無駄に500の壁を軽々と越えてたし…。
だがしかし、現状でそれを確認する術は無い。
そして今回、オレはスキルの成長も止まるという限界点にも達した。果たしてこれは、喜ぶべきか悲しむべきか…。普通に考えれば喜ぶべきことなのだろう。ゲームでも異世界モノの漫画や小説でも、スキルの数というモノには限度がある。それを限界まで取得できたとも考えられるのだから。
だからきっと、オレは神に出会ったりして無限にスキルを取得できてしまうような『主人公キャラ』ではないのだな…。
て、あれ…?あ、ごめん、神には会ってたわ。【塩】のスキルはちっさい塩の神さまに貰ったんだった。でも1個だし、夢の中でだし…。
ゴホン!ともかく…、人の成長には限界があることは確か。
人は生まれ成長し、やがて老いていく…。これを昔の人は朝は4本、昼は2本、夜は3本…といったそうな。というかこれはスフィンクスが出す謎かけで、答えられないと殺されてしまう命を賭けたデスゲーム。
で、その答えは『人間』だ。
生まれたばかりの赤ん坊はハイハイしかできない。これが4本。しかし身体が成長して大人になれば2本の足で立つことが出来る。だがさらに歳をとれば老いて足腰が弱まり、杖無しでは立てなくなる。杖も数えて3本という訳だ。つまりスフィンクスは、人間の生涯を一日に例えて問うている。
これは角を曲がったらスフィンクスとバッタリ、なんてことになった時の為にも是非しっかりと覚えておこう。
ああいや、まぁスフィンクスはともかく。今まで持っていた『ダンジョンの恩恵に因り限りなく強くなれたり、際限なくスキルが取得できてしまう』なんて考えは、間違いだったという訳だ。
草花が春に芽生えすくすくと成長し、秋には枯れて萎れてゆくように。人間もまた成長の限界を迎えた後は萎れてゆく。
だが、これは達観めいた諦めではない。
命の…自然の摂理なのだ。在るものを在るがままに受け止め、そのうえで精一杯生きる。それが人としての生き方ではなかろうか…。
そう考えていくと、今後の方針が視えてきた。成長の止まったオレは、人生でいえば円熟期を迎えたという事。
これは若い弟子を指導する老師匠に例えると、いいかもしれない。
老師匠は若い弟子より多くの面で優れている。優れている面が無ければ、若い弟子は付いてはこない。だがすでに老いているので、若い弟子に体力の面では敵わなくなってきている。ではその実力の差を埋めさせないモノは何かというと…技術と経験だ。
技術と経験の面で若い弟子より優っていれば、師匠としての面子は保たれる。
(そうだ、オレは技術を身に着けよう…!)
瑠羽や瀬来さん達は、『特待生』なんて能力値に成長補正のつくブッ飛んだジョブを持っている。故に同じだけ頑張ったとしても、彼女らの方がより早く成長してしまうのだ。
だが、これは何も悪い事ばかりではない。
彼女たちが成長し強くなるということは、ピンチの時にオレがそばにいてやれない時でも生き残る可能性が大きく増すという事。だから自身の見栄のために、これを妬むような真似をするのはよそう。
そしてオレは、自分には一番向いてないんじゃないかと常々思っている『教師』なんてジョブになぜか就いている。
ならば目指そうではないか!技術と経験豊富な老師匠を…ッ!!
…・
老師匠を目指そうと心に誓ったその日から、オレはトレーニングメニューを大幅に変更した。筋トレに充てていた時間を減らし、その分瞑想やスキル操作の熟練に充てたのだ。
瞑想では、精神を高め魔力やオーラの素早い錬成を心掛ける。
そう、速さは力。先んずれば人を制しなどと言うまでもなく、西部劇のガンマンならば早撃ちが出来るかどうかで勝負の明暗が別れる。ダンジョン能力者ならば如何に早く魔力を練ってスキルを発動できるかが、勝利への鍵となるだろう。魔力やオーラの素早い錬成は、銃の早撃ちに相当するのだから。
だがいくら銃が早く抜けたからといって、弾が当たらなければ意味はない。そこでスキルの習熟訓練だ。
限界ギリギリまで伸ばした粘液の先でチョウチョ結びをしたり、同じく限界ギリギリの操作範囲で生み出した塩のカードで、トランプタワーを作るといった訓練を行う。
だがこれは驚くほどに精神的負荷の高く、数々のクソゲーすらやり込みクリアしてきたオレにとっても、非常に過酷で困難な訓練となった。
『(くしゃ…!)』
(ぁ…ッ!また失敗か…ッ!ぉぉ…イライラする…ッ!イライラするぅ~…ッ!!)
……。
つらい修行の合間には瞑想で気を静め、スキルについてもあれこれと考える。
【酸】は、強い攻撃スキル。それが【強酸】ともなれば、それはもう強力だ。このスキルのおかげで、地下5層まではたいした苦戦を強いられる事が無かったのだから。
だがその一方で、非常に大味ともいえる。
『なんちゃってレモン水』なんて使い方も出来るが、基本は攻撃にしか向かずその特性故に扱いもたいへん危険。ただ敵を攻撃するという一点にのみ着目するならば、とても優秀ではあるのだが。
しかして、スキル【粘液】はどうだろうか?
一見すると、ただ粘ついて敵を足止めしたり滑って転ばせたりという、ちょっとした事にしか使えないように思える。
が、使いようによってはその可能性は無限大。
実際スキル【粘液】を手にしてからは、戦闘の幅が大きく広がり実に戦いやすくなった。ただ粘ついて敵を足止めしたり、滑って転ばせたりというそのちょっとの間が、ソロで戦う者にとっては態勢を立て直すのにとても有難い時間になる。
それだけでなく、粘液は今まで持ち運んで設置していた簡易防御陣の代わりにもなるし、忍者のように壁や天井にもペタリと張り付いたりもできる。
さらに粘液ネットは蜘蛛の巣のようにして敵を捕えられるし、粘液ロープはターザンのように移動したりカエルの舌のように遠くに落ちているモノだって拾える。それに留まらず粘液で部屋全体や宝箱を包んでしまえば、大抵のトラップは無効化できるという優れもの…。
これが、スキル【粘液】を優先して習熟訓練を行っている理由。
これだけいくと、もはや『粘液を制する者はダンジョンを制す!』といっても過言ではないかもしれない。
…そして、それはスキル【塩】も同様。
ちっさい塩の神さまにこのスキルを貰った時、正直「え、なんで…?」と思った。まぁ貰える理由については解ったけどさ、「でもどうせならもっと凄いスキルをくれればいいのに!」と思った次第だ。
だが、それは間違いだった。
このスキル【塩】こそが、尊く素晴しいスキルだったのだ!そう気づいた今は、あのちっさい塩の神さまにめっさ感謝している。
なぜならばスキル【塩】で生み出された塩には、ナチュラルに聖属性が付与されていた。属性攻撃で、しかも聖!いうまでもなく『清めの塩』という訳だ。
コレを浴びたアンデッドは、それはもう塩をまぶされたナメクジみたいにホイホイと崩れて滅す。まだゾンビとレッサーゴーストくらいしか実例がないが、この調子ならもっと強いアンデットが現れたとしても塩の敵ではないだろう。
さらに塩は、ナチュラルに植物に対する強い毒性も有している。塩害というヤツだ。
だから塩の攻撃された植物系モンスターは、あっという間にヘロヘロ。それはもう化粧品や健康食品などの広告にあるビフォーアフターの写真をま逆にしたみたいに…。
そう、塩とはかように毒性が強いモノ。
それは成人した人間だとて、200gの塩を摂取しただけで中毒死してしまう程の威力。例えほかの毒物が0.1gとかでも死んでしまう強力な毒性を持っていたとしても、塩も量を叩きこんでしまえば同じことなのである。
それに加え、塩攻撃は二度ビクッ!となる。大事なことなのでもう一度。塩攻撃は二度、ビクッ!となるのだ。
どういう事かというと、生物は攻撃を受けるとその衝撃や痛みで一瞬だが身体が硬直する。これはダンジョンのモンスターとて例外ではない。これが一度目のビクッ!だ。しかし塩の攻撃では塩分が傷口に滲み、あとからもう一度ビクッ!とくるのだ。
このタイミングがまた素晴しい。
攻撃を受けたモンスターは傷つけられた痛みに一瞬硬直はするものの、すぐに「やったなこのぉ!」と牙を剥く。だが丁度そのタイミングで、塩がうまいこと傷に滲みて二度目のビクッ!がくるのだ。
うむ、これは大いに敵の戦意を挫く。
やり返してやろうと思ったところで、傷に塩が滲みてさらに激しく痛むのだから。これが塩攻撃の恐ろしい面でもある。
そしてスキル【塩】も、【粘液】と同様に高い汎用性を秘めている。
調理にも使えて、武器や防具になるスキルなんて、他にあるだろうか。しかも美味しくて、武器や防具も硬くて丈夫ときている。そう、スキル【塩】ならば、武器防具の破損を気にせずに戦える。なにせ刃こぼれしようがどれだけ傷もうが、すぐにその場で直せるうえまたいくらでも生み出せる。
聖属性な上に植物に対する強い毒性を持ち、その毒性は若干ながら他の生物にも及ぶ。さらには武器や防具にもなるというのだから、【塩】もオールマイティースキルと呼んで過言ではない。
これらのスキルを駆使しその力を十全に発揮できうれば、瑠羽たちを守り、きっとダンジョンの深みにも挑戦ができるはずだ…。
スキルの成長が止まり、心穏やかならぬ日々を過ごしていたオレ。だがここに、ひとつの悟りを得た。そう、小五ロリと書いて…悟りだ。
ダンジョンは特殊な場所…。モンスターを倒すとその生命エナジーを奪え、人間の限界を超えて成長が出来てしまう。さらにはスキルなんて超常の力までもが手に入れられてしまう場所。
だが…そんな印象の強すぎたが故に忘れていた。それでも人には限界があるという事を…。
オレは蠅の女王との戦いを経て、一度その限界点に達していたのだ。そう、それは能力値500の壁…。『筋力・体力・知力・精神力・敏捷性』と、5つの能力値が全て500を上限としてカウントがストップした。
勿論これが限界ではなく、さらにその先があるという可能性も否定はできない。なぜだか『やるせなさ』だけが、無駄に500の壁を軽々と越えてたし…。
だがしかし、現状でそれを確認する術は無い。
そして今回、オレはスキルの成長も止まるという限界点にも達した。果たしてこれは、喜ぶべきか悲しむべきか…。普通に考えれば喜ぶべきことなのだろう。ゲームでも異世界モノの漫画や小説でも、スキルの数というモノには限度がある。それを限界まで取得できたとも考えられるのだから。
だからきっと、オレは神に出会ったりして無限にスキルを取得できてしまうような『主人公キャラ』ではないのだな…。
て、あれ…?あ、ごめん、神には会ってたわ。【塩】のスキルはちっさい塩の神さまに貰ったんだった。でも1個だし、夢の中でだし…。
ゴホン!ともかく…、人の成長には限界があることは確か。
人は生まれ成長し、やがて老いていく…。これを昔の人は朝は4本、昼は2本、夜は3本…といったそうな。というかこれはスフィンクスが出す謎かけで、答えられないと殺されてしまう命を賭けたデスゲーム。
で、その答えは『人間』だ。
生まれたばかりの赤ん坊はハイハイしかできない。これが4本。しかし身体が成長して大人になれば2本の足で立つことが出来る。だがさらに歳をとれば老いて足腰が弱まり、杖無しでは立てなくなる。杖も数えて3本という訳だ。つまりスフィンクスは、人間の生涯を一日に例えて問うている。
これは角を曲がったらスフィンクスとバッタリ、なんてことになった時の為にも是非しっかりと覚えておこう。
ああいや、まぁスフィンクスはともかく。今まで持っていた『ダンジョンの恩恵に因り限りなく強くなれたり、際限なくスキルが取得できてしまう』なんて考えは、間違いだったという訳だ。
草花が春に芽生えすくすくと成長し、秋には枯れて萎れてゆくように。人間もまた成長の限界を迎えた後は萎れてゆく。
だが、これは達観めいた諦めではない。
命の…自然の摂理なのだ。在るものを在るがままに受け止め、そのうえで精一杯生きる。それが人としての生き方ではなかろうか…。
そう考えていくと、今後の方針が視えてきた。成長の止まったオレは、人生でいえば円熟期を迎えたという事。
これは若い弟子を指導する老師匠に例えると、いいかもしれない。
老師匠は若い弟子より多くの面で優れている。優れている面が無ければ、若い弟子は付いてはこない。だがすでに老いているので、若い弟子に体力の面では敵わなくなってきている。ではその実力の差を埋めさせないモノは何かというと…技術と経験だ。
技術と経験の面で若い弟子より優っていれば、師匠としての面子は保たれる。
(そうだ、オレは技術を身に着けよう…!)
瑠羽や瀬来さん達は、『特待生』なんて能力値に成長補正のつくブッ飛んだジョブを持っている。故に同じだけ頑張ったとしても、彼女らの方がより早く成長してしまうのだ。
だが、これは何も悪い事ばかりではない。
彼女たちが成長し強くなるということは、ピンチの時にオレがそばにいてやれない時でも生き残る可能性が大きく増すという事。だから自身の見栄のために、これを妬むような真似をするのはよそう。
そしてオレは、自分には一番向いてないんじゃないかと常々思っている『教師』なんてジョブになぜか就いている。
ならば目指そうではないか!技術と経験豊富な老師匠を…ッ!!
…・
老師匠を目指そうと心に誓ったその日から、オレはトレーニングメニューを大幅に変更した。筋トレに充てていた時間を減らし、その分瞑想やスキル操作の熟練に充てたのだ。
瞑想では、精神を高め魔力やオーラの素早い錬成を心掛ける。
そう、速さは力。先んずれば人を制しなどと言うまでもなく、西部劇のガンマンならば早撃ちが出来るかどうかで勝負の明暗が別れる。ダンジョン能力者ならば如何に早く魔力を練ってスキルを発動できるかが、勝利への鍵となるだろう。魔力やオーラの素早い錬成は、銃の早撃ちに相当するのだから。
だがいくら銃が早く抜けたからといって、弾が当たらなければ意味はない。そこでスキルの習熟訓練だ。
限界ギリギリまで伸ばした粘液の先でチョウチョ結びをしたり、同じく限界ギリギリの操作範囲で生み出した塩のカードで、トランプタワーを作るといった訓練を行う。
だがこれは驚くほどに精神的負荷の高く、数々のクソゲーすらやり込みクリアしてきたオレにとっても、非常に過酷で困難な訓練となった。
『(くしゃ…!)』
(ぁ…ッ!また失敗か…ッ!ぉぉ…イライラする…ッ!イライラするぅ~…ッ!!)
……。
つらい修行の合間には瞑想で気を静め、スキルについてもあれこれと考える。
【酸】は、強い攻撃スキル。それが【強酸】ともなれば、それはもう強力だ。このスキルのおかげで、地下5層まではたいした苦戦を強いられる事が無かったのだから。
だがその一方で、非常に大味ともいえる。
『なんちゃってレモン水』なんて使い方も出来るが、基本は攻撃にしか向かずその特性故に扱いもたいへん危険。ただ敵を攻撃するという一点にのみ着目するならば、とても優秀ではあるのだが。
しかして、スキル【粘液】はどうだろうか?
一見すると、ただ粘ついて敵を足止めしたり滑って転ばせたりという、ちょっとした事にしか使えないように思える。
が、使いようによってはその可能性は無限大。
実際スキル【粘液】を手にしてからは、戦闘の幅が大きく広がり実に戦いやすくなった。ただ粘ついて敵を足止めしたり、滑って転ばせたりというそのちょっとの間が、ソロで戦う者にとっては態勢を立て直すのにとても有難い時間になる。
それだけでなく、粘液は今まで持ち運んで設置していた簡易防御陣の代わりにもなるし、忍者のように壁や天井にもペタリと張り付いたりもできる。
さらに粘液ネットは蜘蛛の巣のようにして敵を捕えられるし、粘液ロープはターザンのように移動したりカエルの舌のように遠くに落ちているモノだって拾える。それに留まらず粘液で部屋全体や宝箱を包んでしまえば、大抵のトラップは無効化できるという優れもの…。
これが、スキル【粘液】を優先して習熟訓練を行っている理由。
これだけいくと、もはや『粘液を制する者はダンジョンを制す!』といっても過言ではないかもしれない。
…そして、それはスキル【塩】も同様。
ちっさい塩の神さまにこのスキルを貰った時、正直「え、なんで…?」と思った。まぁ貰える理由については解ったけどさ、「でもどうせならもっと凄いスキルをくれればいいのに!」と思った次第だ。
だが、それは間違いだった。
このスキル【塩】こそが、尊く素晴しいスキルだったのだ!そう気づいた今は、あのちっさい塩の神さまにめっさ感謝している。
なぜならばスキル【塩】で生み出された塩には、ナチュラルに聖属性が付与されていた。属性攻撃で、しかも聖!いうまでもなく『清めの塩』という訳だ。
コレを浴びたアンデッドは、それはもう塩をまぶされたナメクジみたいにホイホイと崩れて滅す。まだゾンビとレッサーゴーストくらいしか実例がないが、この調子ならもっと強いアンデットが現れたとしても塩の敵ではないだろう。
さらに塩は、ナチュラルに植物に対する強い毒性も有している。塩害というヤツだ。
だから塩の攻撃された植物系モンスターは、あっという間にヘロヘロ。それはもう化粧品や健康食品などの広告にあるビフォーアフターの写真をま逆にしたみたいに…。
そう、塩とはかように毒性が強いモノ。
それは成人した人間だとて、200gの塩を摂取しただけで中毒死してしまう程の威力。例えほかの毒物が0.1gとかでも死んでしまう強力な毒性を持っていたとしても、塩も量を叩きこんでしまえば同じことなのである。
それに加え、塩攻撃は二度ビクッ!となる。大事なことなのでもう一度。塩攻撃は二度、ビクッ!となるのだ。
どういう事かというと、生物は攻撃を受けるとその衝撃や痛みで一瞬だが身体が硬直する。これはダンジョンのモンスターとて例外ではない。これが一度目のビクッ!だ。しかし塩の攻撃では塩分が傷口に滲み、あとからもう一度ビクッ!とくるのだ。
このタイミングがまた素晴しい。
攻撃を受けたモンスターは傷つけられた痛みに一瞬硬直はするものの、すぐに「やったなこのぉ!」と牙を剥く。だが丁度そのタイミングで、塩がうまいこと傷に滲みて二度目のビクッ!がくるのだ。
うむ、これは大いに敵の戦意を挫く。
やり返してやろうと思ったところで、傷に塩が滲みてさらに激しく痛むのだから。これが塩攻撃の恐ろしい面でもある。
そしてスキル【塩】も、【粘液】と同様に高い汎用性を秘めている。
調理にも使えて、武器や防具になるスキルなんて、他にあるだろうか。しかも美味しくて、武器や防具も硬くて丈夫ときている。そう、スキル【塩】ならば、武器防具の破損を気にせずに戦える。なにせ刃こぼれしようがどれだけ傷もうが、すぐにその場で直せるうえまたいくらでも生み出せる。
聖属性な上に植物に対する強い毒性を持ち、その毒性は若干ながら他の生物にも及ぶ。さらには武器や防具にもなるというのだから、【塩】もオールマイティースキルと呼んで過言ではない。
これらのスキルを駆使しその力を十全に発揮できうれば、瑠羽たちを守り、きっとダンジョンの深みにも挑戦ができるはずだ…。
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