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慰めにしかならない※

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 ぐったりと倒れ込んだ悠也を見やって、雪乃は顔を上げる。その目は誰もが身震いするほどに凍りついていた。

「義久ぁ!」
「ここに」
「あのクソ三男坊だ。ヤクの種類とルートを洗え」
「はい」

 悠也が呟いた名前のバーはとある組の縄張りにあり、それは以前雪乃にコテンパンに伸された男のいる組だった。
 今回の仕掛け人を特定した雪乃は、一般男性より小柄とは言いつつも、自身より背の高い悠也を軽々と担いでみせた。成人男性を担いでも危なげなく歩くその後ろを、ピアス顔の男が付き添う。

「…姐さん、俺が運びます」
「いらん。それより、頼みがある」
「はっ、なんでしょう?」
「ありったけのゴムをもってこい」

 男は驚いてその場に静止する。なぜ、まさか。そんな言葉が頭の中を駆け巡った。

 この世界にいると、こんな状態の人間を見るのはよくある話だった。悠也のように薬によって強制的に発情を促された奴は、オカズと共に早々に地下室へ放り込んでやるのが唯一の情けであり、水や食料を運びつつ、たまに生存確認のため中を覗いてやるのが自分たちにできることなのだ。
 しかし、カタギの世界で暮らす悠也が、何の策略にせよ薬によって体の奥を燻ぶらせているなら。悠也がこの邸に通うようになって、何かと縁あってこの組内じゃあ一番親しくしている自分が“手伝い”を買って出てやるのが己にしてやれることだと、ピアス顔の男は思っていた。
 なのに。

「ま、さか…姐さん手ずから…?」
「他に適任がいないだろ。こいつは私たちと違う」

 じっと鋭い眼光で目の前だけを見つめる雪乃に、ピアス顔の男はますます驚きを隠せなかった。誰かが手を貸すことになったとしても、それは雪乃でなければならない理由などどこにもないというのに。

「ひっ…うぅ…くぅ…ゆ、ゆきのひゃ」
「起きたか、田中」
「うっく…お、れぇ…おれぇ…!」
「よく頑張ったな、田中。大丈夫、今楽にしてやる」
「お、おれ…し、しぬの…?」
「死なないし、死なせない」

 その雪乃の声は、誰もが聞いたことのないほど優しさで満ちていて、それを聞いたピアス顔の男も、これ以上何も言うことなどなく、頼まれたものを用意すべく踵を返した。










 悠也が運ばれた先は雪乃の部屋だった。雪乃は悠也を自らのベッドに横たえて、先程舎弟から貰ったビニール袋をカサリと鳴らした。中を確認してから、水の入ったペットボトルだけを取り出す。
 一口、水を口に含んで、横たわる悠也の顎を掴む。薄く開いたソレにゆっくりと合わせると、悠也の喉がコクリと鳴った。それに気づいた悠也も、薄っすらと目を開ける。

「うぅっ…く、あ、あつい…」
「脱がせるぞ」

 ここへ来るまでに一度達したのか、ズボンはぐっちょりと濡れていた。雪乃はそれに構わず手をかける。下半身が外気に触れぶるりと震えた悠也は、そこでようやく自分の置かれた状況に気づいた。

「や、やだぁ!み、みないで…っやめてぇ!」
「でっか……お前、もしかしてハジメテか?」
「うぅあああ!っくぅ…はっ」
「まだ触ってもねぇのにデカくなんのか。いいもん持ってんなぁ」

 そう言った雪乃の指が、悠也のいきり立つ硬直に触れる。亀頭をすっとなぞると、濡れた先端がくちゅりと音を立てて、悠也はまた気をやってしまった。

「お前、自慰くらいしてんだろ?」
「ひゃっ…あ、うぅ…」
「その様子じゃ禄にしてないのか」

 勃ちあがったままの陰茎を握りこんで優しく擦られた悠也は、あられもない声をあげるしかなかった。雪乃の腕を跡がつくほどの強さで掴んで離そうとするも、雪乃は微動だにしない。

「私に委ねろ。楽になるから」
「いや、だ…ゆ、ゆきのさんっ!」
「…でっけーなぁ、義久のよりでかいんじゃね?」

 そう言って屹立し濡れそぼった先端に唇を寄せる雪乃を見て、悠也はいてもたってもいられずに震える腕で体を支え上半身を起こした。

「……なんだ」
「く、うぅ…や、やだあ!」
「悪いな、私が相手でよ」
「ち、ちがっ!……っよ、しひさ、さん…!」
「義久ぁ?」
「く、くらべ、ないでっ!ぁっ……お、おれだけに、して…!」
「…お前、何言って」
「ゆき、の…さんはっ…もう…っおれ、だけに…してぇ……!…っぅあああ!」

 剛直をぎゅっと捕まれると、どくりと白濁の液が飛び出した。体中を弛緩させ、息遣いの荒い悠也の頬を雪乃がそっと撫でる。汗で貼り付く前髪を拭い、そこにキスを落とした。


「ばかが。生意気言ってんな」


 その言葉はあまりにも優しくて、閉ざされた部屋に甘く響いた。

 雪乃は目の前の陰茎を上下に擦りながら、先端を口に含んで音を立てて吸い上げる。

「ハジメテはとっとけよ」

 その声は甘く蕩けそうで、悠也は涙を流しながらその行為を感受していった。

 雪乃は達しても勃ち上がり続ける男根に呆れもせず、優しく時に強く扱いて舐めて、その白濁を口で受け止め続けた。
柔らかな唇を悠也の額や頬の上を滑らせ、はだけた胸で体を擦り、全身をもってして悠也に快楽を叩きつけたのだった。

 悠也は夢うつつになりながらも「雪乃さんがほしい」と何度も叫んだが、雪乃は「これ以上やりようがないよ」と寂しそうに笑うだけだった。




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