独裁者サマの攻略法

観月 珠莉

文字の大きさ
上 下
2 / 95
【01】 開戦

*002* 貧乏くじ

しおりを挟む
その後、名前が記載されているフォントの色を見て、暫定的に決められた各組に分かれるよう指示が成され、担当教官の周りに集まる。
詳細な人数には興味が無かったが、組毎に集まってみると『花』の部隊に十名居るようなので、今期入社出来た訓練生は五十名なのだろう。

「組毎に集まったところで、今後の流れについて説明する。まず、入社試験の時に聞いていると思うが、月に一度、本社で行われるスキルチェックで規定に満たない場合は、その場で即刻退社だ。」

破格のギャランティを貰えるこの仕事に就く為に、入社が決まった時点から個々にスキルアップをしてきているので、この無駄に美形な教官の辛辣な言葉に息を呑む。

「その年にもよるが、二年の研修終了時点で、十名…多くて十五名程度が最終チェックに進んでいる。酷い年だと、全滅する事もあるが、お前らは終了時に何人残っているんだろうなぁ?」

教官とは思えないような底意地の悪い笑い方で、訓練生を見回す。
ムカムカ指数は着々と上がっているが、今、目立つのは得策では無い悠李は、イライラを隠しながら黙って聞いていた。

「次に、部屋割りだが五名一室だ。」

一條は説明しながら、部屋割りのプリントを配る。
あちらこちらから、五名一室という驚愕の事実に不満の声が上がる。

「数か月後には、二人から三人部屋程度になっているから心配するな。」

また、サラリと驚愕の事実を言い放った。

「説明は以上。午後は、各自、部屋に移動して荷物の整理をしておけ。花村…悠李と石川 美里は、ここに残れ。解散。」

残された悠李と石川は、一條の下へ進む。

「花村 悠李。」
「……は…い。」

怪訝そうに見上げながら返事をすると、ファイルで容赦なくバコンと叩かれた。

「石川 美里。」
「はい。」

石川は、悠李の返事に容赦なく制裁を加えられた様子を見て、明らかに良い子の返事をした。

「次のスキルチェックまで、花村が組長。石川は副長な。しっかり纏めろよ。」

悠李は、随分と面倒臭い御鉢が回ってきたものだ…と心の中で悪態をつく。

「何故、私たちなんですか?」
「入社テストの順位だな。各組の組長と副長がその時のベストテンだと思え。」
「拒否権は無いんですか?」
「無いな。どうしても嫌だったら、次回のスキルチェックで手を抜けば良い。まぁ、手を抜いた時点で、即刻退社だろうがな。お前ら、この一か月間、しっかり纏めろよ。」

そう言うと、一條は悠李に、花組の名簿を手渡した。

「各組のトラブルは、全て組単位での連帯責任だ。心して掛かれよ。以上だ。」

言うだけ言って、一條はそのまま立ち去って行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

おもらしの想い出

吉野のりこ
大衆娯楽
高校生にもなって、おもらし、そんな想い出の連続です。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

My Doctor

west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生 病気系ですので、苦手な方は引き返してください。 初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです! 主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな) 妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ) 医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

処理中です...