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【01】 開戦
*002* 貧乏くじ
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その後、名前が記載されているフォントの色を見て、暫定的に決められた各組に分かれるよう指示が成され、担当教官の周りに集まる。
詳細な人数には興味が無かったが、組毎に集まってみると『花』の部隊に十名居るようなので、今期入社出来た訓練生は五十名なのだろう。
「組毎に集まったところで、今後の流れについて説明する。まず、入社試験の時に聞いていると思うが、月に一度、本社で行われるスキルチェックで規定に満たない場合は、その場で即刻退社だ。」
破格のギャランティを貰えるこの仕事に就く為に、入社が決まった時点から個々にスキルアップをしてきているので、この無駄に美形な教官の辛辣な言葉に息を呑む。
「その年にもよるが、二年の研修終了時点で、十名…多くて十五名程度が最終チェックに進んでいる。酷い年だと、全滅する事もあるが、お前らは終了時に何人残っているんだろうなぁ?」
教官とは思えないような底意地の悪い笑い方で、訓練生を見回す。
ムカムカ指数は着々と上がっているが、今、目立つのは得策では無い悠李は、イライラを隠しながら黙って聞いていた。
「次に、部屋割りだが五名一室だ。」
一條は説明しながら、部屋割りのプリントを配る。
あちらこちらから、五名一室という驚愕の事実に不満の声が上がる。
「数か月後には、二人から三人部屋程度になっているから心配するな。」
また、サラリと驚愕の事実を言い放った。
「説明は以上。午後は、各自、部屋に移動して荷物の整理をしておけ。花村…悠李と石川 美里は、ここに残れ。解散。」
残された悠李と石川は、一條の下へ進む。
「花村 悠李。」
「……は…い。」
怪訝そうに見上げながら返事をすると、ファイルで容赦なくバコンと叩かれた。
「石川 美里。」
「はい。」
石川は、悠李の返事に容赦なく制裁を加えられた様子を見て、明らかに良い子の返事をした。
「次のスキルチェックまで、花村が組長。石川は副長な。しっかり纏めろよ。」
悠李は、随分と面倒臭い御鉢が回ってきたものだ…と心の中で悪態をつく。
「何故、私たちなんですか?」
「入社テストの順位だな。各組の組長と副長がその時のベストテンだと思え。」
「拒否権は無いんですか?」
「無いな。どうしても嫌だったら、次回のスキルチェックで手を抜けば良い。まぁ、手を抜いた時点で、即刻退社だろうがな。お前ら、この一か月間、しっかり纏めろよ。」
そう言うと、一條は悠李に、花組の名簿を手渡した。
「各組のトラブルは、全て組単位での連帯責任だ。心して掛かれよ。以上だ。」
言うだけ言って、一條はそのまま立ち去って行った。
詳細な人数には興味が無かったが、組毎に集まってみると『花』の部隊に十名居るようなので、今期入社出来た訓練生は五十名なのだろう。
「組毎に集まったところで、今後の流れについて説明する。まず、入社試験の時に聞いていると思うが、月に一度、本社で行われるスキルチェックで規定に満たない場合は、その場で即刻退社だ。」
破格のギャランティを貰えるこの仕事に就く為に、入社が決まった時点から個々にスキルアップをしてきているので、この無駄に美形な教官の辛辣な言葉に息を呑む。
「その年にもよるが、二年の研修終了時点で、十名…多くて十五名程度が最終チェックに進んでいる。酷い年だと、全滅する事もあるが、お前らは終了時に何人残っているんだろうなぁ?」
教官とは思えないような底意地の悪い笑い方で、訓練生を見回す。
ムカムカ指数は着々と上がっているが、今、目立つのは得策では無い悠李は、イライラを隠しながら黙って聞いていた。
「次に、部屋割りだが五名一室だ。」
一條は説明しながら、部屋割りのプリントを配る。
あちらこちらから、五名一室という驚愕の事実に不満の声が上がる。
「数か月後には、二人から三人部屋程度になっているから心配するな。」
また、サラリと驚愕の事実を言い放った。
「説明は以上。午後は、各自、部屋に移動して荷物の整理をしておけ。花村…悠李と石川 美里は、ここに残れ。解散。」
残された悠李と石川は、一條の下へ進む。
「花村 悠李。」
「……は…い。」
怪訝そうに見上げながら返事をすると、ファイルで容赦なくバコンと叩かれた。
「石川 美里。」
「はい。」
石川は、悠李の返事に容赦なく制裁を加えられた様子を見て、明らかに良い子の返事をした。
「次のスキルチェックまで、花村が組長。石川は副長な。しっかり纏めろよ。」
悠李は、随分と面倒臭い御鉢が回ってきたものだ…と心の中で悪態をつく。
「何故、私たちなんですか?」
「入社テストの順位だな。各組の組長と副長がその時のベストテンだと思え。」
「拒否権は無いんですか?」
「無いな。どうしても嫌だったら、次回のスキルチェックで手を抜けば良い。まぁ、手を抜いた時点で、即刻退社だろうがな。お前ら、この一か月間、しっかり纏めろよ。」
そう言うと、一條は悠李に、花組の名簿を手渡した。
「各組のトラブルは、全て組単位での連帯責任だ。心して掛かれよ。以上だ。」
言うだけ言って、一條はそのまま立ち去って行った。
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