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第2章 それぞれの身体を満喫する

12.お久しぶり、しませんか

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12.お久しぶりしませんか

「いやぁ、ほんとにビックリしたんですから」

電話口の向こうからハルさんの笑い声が聞こえてくるが、本当に笑い事ではない。
運良く、鈴木君とファンクラブの皆さんのおかげで事なきを得たがーーというか、ものすごい勢いで不良くんたちをボコるファンクラブの方々が怖すぎたーーもし、1人だったらもう終わっていたのだ。絶対ボコボコにされていた。

「まぁでも私の体があれば何とかなるって」

いや、絶対何とかならないはず。
だって中身は俺だよ。何とかなるわけないじゃないか。体育の授業中もよく転ぶし、もともとの俺の体とそう運動神経は変わらない気がする。

「というか、ハルさんあの人が私に何したんですか!?」

俺は思わず叫んだ。不良君たちは「ここであったが100年目」とか、ものすごいハルさんを恨んでそうな発言をしていたのだ。
電話口からふふふと小さな笑い声が聞こえてきた。

「まぁ、喧嘩を売られたり、ナンパをしているときをボコったりしただけだよ」
「え……」

ハルさんって不良だったんですか?
そう聞いてみたいけど、本当に不良だった場合これから先会話するのが怖すぎる。
そう思って、思わず黙り込んでしまうと、ハルさんの声がなんだか笑っている。

「ユウ、私のことを不良だと思ったでしょ? 残念ながら、私は不良じゃないからね!? ほんとにたまたまファンクラブの子がからまれてたから助けたんだけど。それがきっかけで、不良に絡まれ絡まれるようになっちゃってさぁ……。だから私から自発的に絡んだ事はないってこと」

なるほど。
喧嘩をしたりってちょっと不良っぽい事はしているけれども、ハルさん的にもそれは不本意なことで、不良ではないって言う認識なんだな。
それならそこまで怖がることもないかな。

「そうだったんだ。ごめん、実を言うとハルさんて不良なのかなと思ってちょっと怖くなってました……」
「ユウぅ、信じてよー!」
「ふふ」

いつになく必死な様子の原さんに思わず笑ってしまう。
まぁ、この様子であれば心配はないかな。
この後少し提案をしようと思ってたんだ。

「あの、ハルさん。そろそろお互い記憶喪失の状態に慣れてきたし、新しい友人とかができても不自然じゃないと思うんだ。だから……」

一呼吸置いて。

「実際に会ってみませんか?」

入れ替わった自分の身体と対面するのは、俺だけだろうか。
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