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最終章
伝わる想い➁
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「みみみみ、三毛さん!?」
「なんですか?」
「ちち、近いですって!」
「近付かないとキスが出来ません」
「キッ!?いやいや!風邪が移っちゃいますって!」
「したいって言ったのは実森さんですよ?」
「そ、そうですけど!そうなんですけど!!」
「実森さん、うるさいです……」
「三毛さ――」
三毛さんは押さえていた私の手を引き剝がし、制止する私の話なんかまったく聞かず強引に唇を重ねて来た。
そして、ちゅーーーーーーーーーーーっと、吸われる。
「んんーーっ!!」
バタバタと暴れたけど、全然放してくれない。
いや、嬉しいよ?めっちゃ嬉しいんだよ?好きな人とキスが出来てそりゃ嬉しいんだけど、長くない!?
(く、苦しっ……!)
流石に苦しくなって来て、三毛さんの背中をバシバシ叩いた。
「……っぷは!!」
私のタップにようやく唇が離され、新鮮な空気を求めてゼイゼイと息をする。
「実森さん?大丈夫ですか?」
息を切らせている私とは対照的に余裕綽綽な顔をしている三毛さん。
(んにゃろ~~~~~っ!)
なんかパニックになっているのが私だけな事に腹が立って来て、私はふぅ、と息を整えて三毛さんの胸ぐらを掴んで勢いよく引き寄せた。
「ぅわっ――」
ぶちゅーーーーーーーっ!と、今度は私が熱烈なキスをお見舞いしてやる。
「んーーーっ!!」
さっきの私同様、三毛さんがバタバタ暴れてるけど、放してなんかやらない。こうなったら風邪が移るとか移らないとかどうでも良い。なんか分かんないけど意地だ。
流石にこれ以上は私も限界か?と言う所で三毛さんの胸を押して体を離した。
「み、実森さん……」
「お返しです」
「あ、あなたって人は……」
「先にしたの、三毛さんですからね。風邪が移っても知りませんから」
勝った!と、フンッと鼻から息を吐き、勝ち誇った顔をしてやった。
「……ふふっ」
突然、三毛さんが笑い出す。
「何笑ってるんですか」
「いえ。実森さんと一緒にいると、ずっと楽しいなって、幸せだなって思って。ふふふっ……」
笑っている三毛さんを見て、これは褒められているんだろうか?と思った。
「……ずっと幸せにしますよ」
そう呟いたら、ピタッと笑いが止まり、「……ありがとうございます」と三毛さんが微笑んだ。
「…………」
「…………」
私達は無言で見つめ合う。
引き寄せられる様に、顔と顔が近付く。
「ニャーン!」
あと数センチで唇が触れる、と言う所で、今までなんの気配もさせていなかったアールが突然、にゅっ!と私達の間から顔を覗かせた。
「わっ、アールいたの?」
驚いて、パッ!と離れる。
「ニャーン!」
『仲間はずれにしないでよっ!』と言わんばかりに、尻尾をプイッ!プイッ!と激しく振って猛抗議。
「……ヤキモチですかね?」
「かもしれませんね……」
私達は顔を見合わせて笑った。
「ごめんごめん、アール」
プリプリと怒っているアールの頭を撫でながら謝っている三毛さん。
頭を撫でられた事で機嫌が直ったのか、アールはゴロゴロと喉を鳴らして三毛さんの手にジャレている。
私はそれを穏やかな気持ちで見ていた。
(幸せだなぁ)
こんな時間が、ずっと続けばいい。
三毛さんがずっと笑っていられる様に、必ず幸せにしてあげるから。
だから――。
(結子さん、安心して下さいね)
心の中で、結子さんに語りかけた。
―『ありがとう』―
声が聞こえて振り向くと、綺麗に直された写真立ての中で、結子さんが優しく微笑んでいた。
「なんですか?」
「ちち、近いですって!」
「近付かないとキスが出来ません」
「キッ!?いやいや!風邪が移っちゃいますって!」
「したいって言ったのは実森さんですよ?」
「そ、そうですけど!そうなんですけど!!」
「実森さん、うるさいです……」
「三毛さ――」
三毛さんは押さえていた私の手を引き剝がし、制止する私の話なんかまったく聞かず強引に唇を重ねて来た。
そして、ちゅーーーーーーーーーーーっと、吸われる。
「んんーーっ!!」
バタバタと暴れたけど、全然放してくれない。
いや、嬉しいよ?めっちゃ嬉しいんだよ?好きな人とキスが出来てそりゃ嬉しいんだけど、長くない!?
(く、苦しっ……!)
流石に苦しくなって来て、三毛さんの背中をバシバシ叩いた。
「……っぷは!!」
私のタップにようやく唇が離され、新鮮な空気を求めてゼイゼイと息をする。
「実森さん?大丈夫ですか?」
息を切らせている私とは対照的に余裕綽綽な顔をしている三毛さん。
(んにゃろ~~~~~っ!)
なんかパニックになっているのが私だけな事に腹が立って来て、私はふぅ、と息を整えて三毛さんの胸ぐらを掴んで勢いよく引き寄せた。
「ぅわっ――」
ぶちゅーーーーーーーっ!と、今度は私が熱烈なキスをお見舞いしてやる。
「んーーーっ!!」
さっきの私同様、三毛さんがバタバタ暴れてるけど、放してなんかやらない。こうなったら風邪が移るとか移らないとかどうでも良い。なんか分かんないけど意地だ。
流石にこれ以上は私も限界か?と言う所で三毛さんの胸を押して体を離した。
「み、実森さん……」
「お返しです」
「あ、あなたって人は……」
「先にしたの、三毛さんですからね。風邪が移っても知りませんから」
勝った!と、フンッと鼻から息を吐き、勝ち誇った顔をしてやった。
「……ふふっ」
突然、三毛さんが笑い出す。
「何笑ってるんですか」
「いえ。実森さんと一緒にいると、ずっと楽しいなって、幸せだなって思って。ふふふっ……」
笑っている三毛さんを見て、これは褒められているんだろうか?と思った。
「……ずっと幸せにしますよ」
そう呟いたら、ピタッと笑いが止まり、「……ありがとうございます」と三毛さんが微笑んだ。
「…………」
「…………」
私達は無言で見つめ合う。
引き寄せられる様に、顔と顔が近付く。
「ニャーン!」
あと数センチで唇が触れる、と言う所で、今までなんの気配もさせていなかったアールが突然、にゅっ!と私達の間から顔を覗かせた。
「わっ、アールいたの?」
驚いて、パッ!と離れる。
「ニャーン!」
『仲間はずれにしないでよっ!』と言わんばかりに、尻尾をプイッ!プイッ!と激しく振って猛抗議。
「……ヤキモチですかね?」
「かもしれませんね……」
私達は顔を見合わせて笑った。
「ごめんごめん、アール」
プリプリと怒っているアールの頭を撫でながら謝っている三毛さん。
頭を撫でられた事で機嫌が直ったのか、アールはゴロゴロと喉を鳴らして三毛さんの手にジャレている。
私はそれを穏やかな気持ちで見ていた。
(幸せだなぁ)
こんな時間が、ずっと続けばいい。
三毛さんがずっと笑っていられる様に、必ず幸せにしてあげるから。
だから――。
(結子さん、安心して下さいね)
心の中で、結子さんに語りかけた。
―『ありがとう』―
声が聞こえて振り向くと、綺麗に直された写真立ての中で、結子さんが優しく微笑んでいた。
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