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自覚前③
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――んで、雪ちゃんを膝枕している今に至るワケです。
「だからゆっくり飲んで下さいって言ったのに……」
「ぜーんぜんよってませーん!」
「酔っぱらいはみんなそう言うんです」
私の膝でゴロゴロしている雪ちゃんを見て、溜め息を吐いた。
「こーらっ!ためいきをつくと、しあわせがにげるわよ!」
めっ!と頬をつつかれた。
「はい、ごめんなさい」
こう言う場合は、何も言い返さずに素直に謝るのが一番。
「ん!よろしい!」
と、不意に手が伸びて来て、シュシュで縛っていた髪を解かれ、クシャクシャっと頭を撫でられた。
「わっ!」
「うふふ♡えなは、かみのけさらさらね」
そう言いながら、私の髪の毛を触る。
「ゆ、雪ちゃん……?」
「んー?」
生返事の雪ちゃんが、ウットリとした表情で私の髪を梳いている。
……な、なんだ?急に甘い雰囲気が漂い始めたぞ!?
暫く私の髪の毛を触っていた雪ちゃんが、急にガバッ!と起き上がり、振り向いた。
「ど、どうしました?」
「えな…どうしよう……」
目を潤ませ、四つん這いになりながらジリジリと私の方へ迫って来る。
な、なんだか、目が据わってる……?
「雪ちゃん?……わっ!」
後ずさった私は、絨毯の境目に引っ掛かりその場に倒れ込んだ。
「いたた……って、雪ちゃん!?」
雪ちゃんが、そのまま倒れ込んだ私の上にのし掛かって来る。
「ちょっ、雪ちゃん!!」
「えな……どうしよう。アタシ、ムラムラしてきちゃった」
「…………は?」
突然過ぎて、一瞬理解が出来なかった。
「ねぇ……キスしていい?」
一瞬、真顔で言われて、あ。かっこいい…なんて考えていたら、雪ちゃんの顔が迫って来たので「わーっ!」と叫びながら掌でそれを阻止する。
「なによ、だめなの?」
雪ちゃんがほっぺを膨らませて文句を言って来た。
「駄目ですよ!駄目に決まってるじゃないですか!何言ってるんですか!?」
私は首を力一杯振った。
「いいじゃない、ケチ~。へるもんじゃないんだからさぁ……」
「減ります!大体、雪ちゃんは男の人が好きなんでしょ!?私は女ですよ!」
そう!雪ちゃんが好きなのは男の人!私は女の人!!
「私としたって、何にも面白くないですよ!」
かなりパニクってるから、私も訳の分からない事を言う。
「おとことかおんなとかカンケーないの!えなとしたいんだから!」
雪ちゃんは、私の頬を両手で挟み込み、無理矢理正面を向けさせた。
「雪ちゃ……」
「んー♡」
そのまま雪ちゃんの顔が近付く。
(わーーーっ!!)
強めの力で抑えられた私は、身動きが取れずギュッと目を瞑った。
「んっ!!」
唇が重ねられる。
雪ちゃんの唇は、とても柔らかい。
私の心臓は、今にも破裂するんじゃないか?と言う位脈を打っている。
「んーっ!!」
(ちちちち、ちょっとーーーっ!!し、舌ぐぁぁぁぁっ!!!)
あろうことか、雪ちゃんはディープなキスを要求して来た。
お酒で火照っているせいか、雪ちゃんの舌はとても熱い。
「んんっ……ふっ……」
空気を求め、わずかに開いた隙間から私の声が漏れる。
それも儘ならない位深くなって行く口づけに、段々息苦しくなって来た私は雪ちゃんの胸の辺りをドンドンと叩いた。
「だからゆっくり飲んで下さいって言ったのに……」
「ぜーんぜんよってませーん!」
「酔っぱらいはみんなそう言うんです」
私の膝でゴロゴロしている雪ちゃんを見て、溜め息を吐いた。
「こーらっ!ためいきをつくと、しあわせがにげるわよ!」
めっ!と頬をつつかれた。
「はい、ごめんなさい」
こう言う場合は、何も言い返さずに素直に謝るのが一番。
「ん!よろしい!」
と、不意に手が伸びて来て、シュシュで縛っていた髪を解かれ、クシャクシャっと頭を撫でられた。
「わっ!」
「うふふ♡えなは、かみのけさらさらね」
そう言いながら、私の髪の毛を触る。
「ゆ、雪ちゃん……?」
「んー?」
生返事の雪ちゃんが、ウットリとした表情で私の髪を梳いている。
……な、なんだ?急に甘い雰囲気が漂い始めたぞ!?
暫く私の髪の毛を触っていた雪ちゃんが、急にガバッ!と起き上がり、振り向いた。
「ど、どうしました?」
「えな…どうしよう……」
目を潤ませ、四つん這いになりながらジリジリと私の方へ迫って来る。
な、なんだか、目が据わってる……?
「雪ちゃん?……わっ!」
後ずさった私は、絨毯の境目に引っ掛かりその場に倒れ込んだ。
「いたた……って、雪ちゃん!?」
雪ちゃんが、そのまま倒れ込んだ私の上にのし掛かって来る。
「ちょっ、雪ちゃん!!」
「えな……どうしよう。アタシ、ムラムラしてきちゃった」
「…………は?」
突然過ぎて、一瞬理解が出来なかった。
「ねぇ……キスしていい?」
一瞬、真顔で言われて、あ。かっこいい…なんて考えていたら、雪ちゃんの顔が迫って来たので「わーっ!」と叫びながら掌でそれを阻止する。
「なによ、だめなの?」
雪ちゃんがほっぺを膨らませて文句を言って来た。
「駄目ですよ!駄目に決まってるじゃないですか!何言ってるんですか!?」
私は首を力一杯振った。
「いいじゃない、ケチ~。へるもんじゃないんだからさぁ……」
「減ります!大体、雪ちゃんは男の人が好きなんでしょ!?私は女ですよ!」
そう!雪ちゃんが好きなのは男の人!私は女の人!!
「私としたって、何にも面白くないですよ!」
かなりパニクってるから、私も訳の分からない事を言う。
「おとことかおんなとかカンケーないの!えなとしたいんだから!」
雪ちゃんは、私の頬を両手で挟み込み、無理矢理正面を向けさせた。
「雪ちゃ……」
「んー♡」
そのまま雪ちゃんの顔が近付く。
(わーーーっ!!)
強めの力で抑えられた私は、身動きが取れずギュッと目を瞑った。
「んっ!!」
唇が重ねられる。
雪ちゃんの唇は、とても柔らかい。
私の心臓は、今にも破裂するんじゃないか?と言う位脈を打っている。
「んーっ!!」
(ちちちち、ちょっとーーーっ!!し、舌ぐぁぁぁぁっ!!!)
あろうことか、雪ちゃんはディープなキスを要求して来た。
お酒で火照っているせいか、雪ちゃんの舌はとても熱い。
「んんっ……ふっ……」
空気を求め、わずかに開いた隙間から私の声が漏れる。
それも儘ならない位深くなって行く口づけに、段々息苦しくなって来た私は雪ちゃんの胸の辺りをドンドンと叩いた。
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