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第二章 迷宮へ挑む

第35話

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 そもそも、まず俺が竜人と魔人の子供という時点から違和感でしかないが、そこからまあ子供時代の事は置いて置くとして、両親は何故俺を魔力が正常になった後、あの村に置いて何処かに消えたのだろうか? それが先程から疑問に思っていた。

(ルドラちょっと出て来て)

 俺は先程、自分の従魔だと名乗った白竜族と聖竜族の元竜王であるルドラを呼び出した。

「はい、なんでございましょうか?」

「ルドラは、俺の両親の事は知ってるか?」

「勿論ですとも、炎竜王でありましたロイド様の父君とは古くから親交がありましたからね」

「あっ、やっぱり父さんは竜王なんだな……」

 ルドラの言葉にそう呟くと、ルドラは「はい! 歴代最強と言われております強くて民を大事にする最強で最高の竜王ですよ」と父を褒め称えていた。

「しかし、私もロイド様に呪いを掛けて記憶を操作してまで自分達の事を忘れされた理由は存じ上げません。お力になれず申し訳ございません」

「そっか、まあ取りあえずアリサ達と話して今後どうするか考えるよ」

 そう言ってルドラを異空間の中へと入れた俺は、腰を掛けていたベッドから立ち上がり部屋の外へと出た。そして、アリサ達の所へと移動して来た俺はミルスさんから聞いた内容を話すと「ロイド君ってそんな凄い家系の人だったんだ……」と驚かれた。

「ロイド様としては一度、ご両親にお会いしたいとお考えなんですか?」

「まあ、そうだね。何で俺をこの国のあの村に置いて記憶を消してまで俺の目の前から消えたのかを聞きたいからね」

 そう言うと、ミリアは「そうですか……それでしたら、次の目的地は竜人族が住む大陸になりますね」と普通に言いアリサ達も乗り気の様子だった。

「良いのか? 俺だけの目的のために皆、付いてくるのか?」

「勿論! だって、ロイド君は仲間でしょ? それに、ご両親にご挨拶もしたいしね」

「うん、やっぱりお付き合いを前提に交流している事はご両親にお伝えしておいた方が良いですからね」

 アリサ達は俺の両親に挨拶がしたいが為に竜人族が住む大陸についてくると言った。一応は別大陸だし危険だと止めようとしたのだが、アリサ達は俺の静止の言葉は聞き受けず絶対についてくると言った。

(まあ、何かあったらルドラを頼るか……)

 一応は元竜王という立場を持っていたので、竜人族が住む大陸に詳しそうだから、旅の最中は道案内を頼もうと頭の中で考えていると「はい! 安全にロイド様達をお連れします!」と元気よくルドラが返事をした。
 その後、アリサ達と今後の事について話し合いを行い、それぞれの部屋に戻りその日は色々と疲れたのでゆっくりと過ごし、翌日久しぶりに勇者と対面した。

「ふぅ~、ふぅ~……」

「……あれ、生きてるの?」

 城の地下奥深くに作られていた牢獄の中に重たそうな枷を付けられて汚い服を着た勇者が苦しそうな息遣いをしながら居た。

「ええ、まだ『ブレイバー』のスキル効果時間内なのかスキルの元々の効果なのか知らないけど致命傷を与える事が出来ないの」

 俺の問いかけにアリサがそう答えると、汚物を見るかのように勇者を見下ろした。まあ、こうなっているのも自業自得だし俺の中で助けてやろうという気持ちは一切ないのだが、このままずっと地下奥深くに幽閉しておくのもクロム王達が可哀そうだなと思っていると、ルドラの声が頭に届いた。

(主殿、そちらの男をどうにかしたいのでしたらロイド様の呪術でスキルを封印したらどうでしょうか? 呪術の基本的なやり方は主殿もお忘れではないですよね?)

 ルドラの言葉にそう言えば、母さんからの呪いでスキルも封印されていた事を思い出した俺は、それなら目の前に居る勇者のスキルを全て消した状態で始末すればいいだろうと思いつくと、そこで新たな声により待ったを掛けられた。

(ロイド様、すみませんがそちらの男お使いにならないのでしたら私が貰ってもよろしいでしょうか?)

(……えっと、君は?)

(あっ、すみません。そう言えば記憶の殆どが消えているんでしたね。私、ロイド様に使える悪魔の一人ディラロッテと申します)

 そう名乗って来た新しい声の主、俺はそこで悪魔も使役している事に気づかされた。名乗った悪魔、ディラロッテは以前も俺が倒した悪党を薬物の実験等に使っていたらしいのだが、長い事俺が補充しなかったせいで悪党も底をついたので新しい実験体が欲しいとディラロッテは言った。ディラロッテの提案、俺としては断る理由は無いのだが一応は同法であるアリサ達に勇者の処遇について、今の内容を伝えた。
 すると、アリサ達は「こいつでも役に達んなら、良いと思うよ」とアッサリと答え城の上層に戻って来てクロム王にも同じく尋ねると、人知れず処分が出来るのであればやってくれと頼まれたので、俺は勇者を異空間のディラロッテの所へと送った。
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