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第二章
第124話 【大会に向けて・1】
しおりを挟む大会に向けて、一緒に訓練をする事になった俺達は学園が終わると、商会の広場で訓練をするという流れを数日続けた。
そして週末になり、事前にエルドさんや各家庭に通達をし、二日間泊まりで訓練をする事にした。
「ここの魔物はそこまで強くないけど、魔物は魔物だから気を引き締めて行こう」
泊まりで訓練をする事にした俺達は、商会の広場での訓練では無く実戦でのレベル上げを行う為に迷宮探索へと向かった。
いつも迷宮探索に来るときは俺と師匠の二人だけだが、今日はアリスやレオルド達も居て七人とかなりの大所帯だ。
「アルフは本当に戦いに参加しなくても良かったのか?」
迷宮探索が始まって一時間程が経った頃、皆を後ろから見守っていた俺は同じく皆を見守ってる師匠からそんな事を聞かれた。
今回の迷宮探索は、皆のレベル上げと実戦での訓練をしようと思い俺は戦いには参加しない事にした。
「俺が居たら、皆の実力を見る事は出来ませんからね。それにまだ皆はそこまでレベルが高くないので、俺と一緒に戦うより自分達で戦った方がレベルの上昇は早いと思います」
「まあ、確かにアリス達の中で一番レベルが高いのはレオルド王子だが、それでもレベル30未満だからな」
「アリス達のレベルを取り合えず20まで上がったら、その後はもう少し強い魔物が居る所に移動して、そこから俺も一緒に戦えば効率よくレベル上げが出来ると思ったんです」
「ふ~ん、俺の弟子は弟子としても優秀だが師としても優秀みたいだな」
師匠からそう言われた俺は、褒められた事に対して嬉しく感じた。
その後、一日迷宮で戦闘を続けたレオルド達はかなり疲れていたが、それ以上に楽しそうだった。
「それじゃ、皆は先にお風呂に入ってていいよ。その間に料理を作っておくから」
俺はそう言って、いつも迷宮で作っていた簡易的なお風呂場では無く、アリス達女性陣が居る為、かなり出来の良いお風呂を作った。
迷宮内でお風呂に入れると知ったアリスとリサは、物凄く嬉しそうな顔をして、二人専用のお風呂の方に入っていった。
「迷宮内でお風呂って、アルフって本当に変わってるね」
「いつでも清潔にいた方が良いでしょ? それとも、レオルドは入らないの?」
「いや、有難く使わせてもらうよ」
レオルドはそう言うと、デイルとレインと一緒に男風呂の方へと入りに行った。
「師匠も先にお風呂入ってても良いですよ?」
「弟子を一人残していくのは気が引けるし、後でゆっくり入りたいから今は見張りをしておくよ」
師匠は見張りをする為みたいな事を言ってるが、多分大人数で入るのが苦手なのかも知れないな。
いつも寮で風呂入る時も、人が多くなってくると直ぐに出てるから俺の予想は多分合ってると思う。
まあ、無理強いして入ってもらうものでもないなと考えた俺は、皆が上がってくる前に作り終える為に調理に集中した。
「凄く美味しそう……」
「いつもアルフ君のお弁当美味しそうだなってみてたけど、作りたてはもっと美味しそう……」
「王城で出て来るレベルの料理だな……」
アリス、リサ、レオルドは先にお風呂から上がって来て俺の作った料理を見てそう驚いていた。
そして少し遅れて、レインとデイルもお風呂から出て来て料理を見ると、アリス達と同じように驚いていた。
「アルフ君って本当になんでも出来るよね……この料理の腕だけでも、この先職には困らなさそう」
レインがそう言うと、アリス達は全員が頷いていた。
「まあ、そもそもルクリア商会から追い出されるまでは商会で働くつもりだから、職には困らないけどね」
「それは確かにな……ルクリア商会じゃなかったら、アルフを王城にスカウトしたかったのに」
「アルフを勧誘なんてエルドさんが許さんだろうな、アルフは拾って来た人材の中でも特に気に入ってるからな」
「そうですよね。アルフが家を追い出されて直ぐに、僕を頼ってくれていたならな~」
レオルドのその言葉に、確かにあの時にレオルドに頼っていたらまた違った道に行ってたかも知れないなと俺はふと考えた。
「まあ、でもエルドさんに拾われたのは良かったって思ってるよ。こうしてアリスやレイン達と出会えたし、こんなに凄い師匠も出来たからね」
そう俺が言うとアリス達は勿論、師匠も嬉しそうな笑みを浮かべていた。
その後、商会に来てからの話をしたりと、迷宮探索初日の夜は皆と楽しい時間を過ごした。
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