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第二章

第122話 【学園からの頼み・3】

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 エルドさん経由で学園からの頼みを聞いた翌日、いつも通り学園で授業を受けていると、昼休みに学園長室に呼び出しをされた。
 昨日の事だろうなと直ぐに察した俺は、アリスに「お昼は別々だね」と言って学園長室に向かった。

「突然呼び出してごめんなさい、アルフレッド君」

「いえ、大丈夫ですよ。呼び出したのって、昨日の件についてですよね?」

「その通りよ。お昼休みではあるから、食事しながらお話しましょうか」

 エリナさんはそう言うと、二人分の食事が用意されたテーブルに俺を誘い、食事をしながら話し合いを始めた。

「まず今回、アルフレッド君に参加をお願いした理由なんだけど、それについてはエルド様から聞いたかしら?」

「はい。ですけど、俺一人だけが商人科から参加して、上位の成績を収めても関係性って変わるんですか?」

「少しは変わると思うわ。今現在は、商人科全体が他から見下された感じになってるのよ。本来はそういう上下関係は無いようにしていたんだけど、本当に難しいわ……」

 溜息を吐きながらエリナさんはそう言うと、具体的に俺はどれ程の成績を残せばよいのか聞いた。

「アルフレッド君の力について、エルド様から聞いたけど。アルフレッド君なら、学園の生徒を一人で相手しても勝つ事は出来ると思うわ」

「……えっ、それって上級生も合わせてですか?」

「勿論よ。真剣に授業に取り組んでる生徒だろうと、アルフレッド君は余裕で勝つと思うわ。だって、学生でレベル100を超えてる人なんてアルフレッド君だけよ」

 ……偶に自分の感覚で話す時があるけど、普通基準で話すとレベル100超えは確かに学園の生徒の常識だとおかしいか。

「それなら、俺は優勝を目指せばいいんですかね?」

「ええ、お願いできるかしら? それとただの優勝だと驚かないかもしれないから、圧倒的な力を見せつけて優勝して欲しいわ。見せつける力に関しては、エルド様達と話して決めていいわ」

「わかりました。エルドさんと話して、優勝は確実にするとしてどこまで力を出すか話し合って決めます」

 それから大会についての話が終わると、エリナさんが用意してくれた食事を食べ、お昼休みは学園長室で過ごした。
 その後、一日の授業が終わり商会に帰宅した俺は、受付でエルドさんと話したがしたいと聞くと、直ぐに部屋に通して貰えた。

「エルドさん、すみません仕事中なのに」

「気にしなくても大丈夫だ。儂の所に来るだろうと待っていたからな、それでエリナとどんな話をしたんだ?」

 エルドさんは俺の事を待っていたというと、学園での話し合いについて聞いて来た。
 俺はそんなエルドさんに対して、エリナさんから言われた事をエルドさんに伝えた。

「ふむ……全力を出しても良いなら、アルフの好きなだけ出しても良いと思うぞ。勿論、死者が出ない程度に抑える必要はあるがな」

「そこはちゃんと調整しますよ。生徒を殺したら、捕まりますからね。でも、良いんですか? 俺が力を出したりしたら、また騒ぎになるんじゃないんですか?」

「なるとは思うが、以前とは違い。アルフは王族と関係性があったり、ルクリア商会が大切にしている事は既に知られているから、そう手を出してくる者は居ないだろう。まあ、それでも手を出してきた場合は儂が商会の力と儂の人脈を使って相手をしてやるがな」

 エルドさんは笑みを浮かべながら、物凄く怖い事を言った。
 その後、大会に向けて準備する事は殆どない俺は、師匠達と話し合ってアリスの訓練を見る時間を増やす事にした。

「えっ、アルフ君は大会で優勝目指してるのに私の訓練時間を伸ばしても良いの?」

「うん。正直、今でも学生相手なら逆に力を抑えた方が良いレベルって言われたんだ。それなら、一緒に大会に出るアリスの訓練に付き合った方が良いかなと思って、アリスは嫌だった?」

「嫌じゃないよ! でも、私だけはちょっとアルフ君の時間を取ってるみたいで気が引けるから、明日からはリサちゃん達も呼ばない? 今日のお昼休みにリサちゃん達と大会について話をしたら、リサちゃん達も出場するって言ってたから」

「そうなの? 二人が参加するって知らなかったよ。それなら、明日二人に一緒に訓練しないか聞いてみようか」

 それから取り合えず今日の所は、アリスと少し遅れてクラリスが合流して、二人の訓練を俺は見る事にした。
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