120 / 140
第二章
第120話 【学園からの頼み・1】
しおりを挟む長期休みが終わり、新学期を迎えた俺達は授業に慣れるよりも早くにテストが行われた。
事前に勉強会でテスト対策をしていた俺達は、特に問題に詰まる事は無く無事にテストを乗り越えた。
「長期休み明けのテストで、ここまで良い点数取れたのははじめて……勉強会をして本当に良かった」
「本当にね。毎回、休み明けのテストは嫌だったけど今回はそこまで嫌じゃなかったもん」
「休み明けでこんなに良い点数はじめて……」
テストから数日後、返却されたテストを各自見て点数がそれなりに高く、アリス達は物凄く喜んでいた。
そしてテストを頑張った俺達は、点数を確認した日にお疲れ様会として商業区にある食事屋に行く事にした。
事前にお疲れ様会に行こうと思っていると、エルドさんに言うとこのお店を紹介してもらった。
エルドさんの紹介で来たと言うと、本来は予約しないと食べられない希少な部位を使ったお肉料理を提供してもらう事になった。
「ルクリア商会って本当に凄いよね……このお店って王都でもかなりの人気店なのに、当日に来たっていうだけで入れて予約殺到してるお肉料理も食べられるなんて」
「それは俺もこの数ヵ月で本当に思うよ。もしかしたら、その辺の貴族以上権力がありそうだよね。陛下ともエルドさんは仲いいし」
「王子様とはアルフ君とクラリスちゃんが仲良いから、本当にルクリア商会を敵に回したらこの国では生きていけなさそうだよね」
そう俺達はルクリア商会について話をしていると、注文した料理が届いた。
希少部位を使われた予約制のお肉料理は、届いた瞬間から物凄い美味しい匂いを発していた。
店員さんからお肉料理の説明をされた俺達は、店員さんが出て行ってすぐにその料理を食べ始めた。
「「美味ッ!」」
「「美味しい~!」」
俺とレイン、アリスとリサはそれぞれ料理を食べて同じような反応をした。
口の中に入れた瞬間、お肉の美味しさが口全体に広がった。
「このお肉、肉自体も物凄く美味しい物が使われてるけど、調理した料理人さんの技術も高い気がする……」
「本当に凄いよね……これいっちゃうと、あれだけどアルフ君とアリスちゃんの友達になれて本当に良かった~」
リサがそう言うと、レインも「僕もそう思う」と言いながら美味しそうに料理を食べていた。
まあ、この料理を食べたら俺だってそう思うだろうなと思った。
その後、俺達は夢中で料理を食べ、気づけば皆は料理を完食していた。
「一瞬だったね……」
「もっと食べたかったけど、予約制の料理だし難しいもんね~」
レインとリサは、お肉料理を食べ終えると悲し気にそう呟いた。
それから俺達は、会計を済ませて店を出た。
今日はこの後、リサ達は親と約束があるらしいのでここで解散する事になり、俺とアリスは商会に戻って来た。
そして俺とアリスは食後の運動でもしようと、広場へと行き軽く体を動かす事にした。
「ねえ、アルフ君。さっき、お店でリサちゃん達が悲しんでる時に何か考えてる風に見えたけど、何を考えてたの?」
「アリスにはバレてたか……実はさっき、料理を食べる時にどんな肉を使ってるんだろうと思って肉に【鑑定】を使ったんだよ。それでどの肉かなって思ったら、俺も倒したの事あるボア種の【キングボア】って魔物だったんだよね」
「……禁止されてる訳では無いけど、お店の料理に【鑑定】とかってしていいのかな?」
「毒とか入ってたらいけないから、貴族はしてるみたいな事は聞いた事があるけど……まあ、やっちゃ駄目だったかも」
アリスからの指摘に俺は、お店に対しての罪悪感を感じた。
そうアリスと話していると、エリスさんが広場にやって来た。
「アルフ君、帰って来たのね。ちょっと今時間大丈夫かしら?」
「えっと、アリスと訓練してましたけど何かあったんですか?」
慌ててやって来たエリスさんに俺は、何かあったのかと思いそう尋ねた。
「エルド様がアルフ君が帰宅したら連れてきてほしいって頼まれたの」
「……えっ、もしかしてバレたのかな」
エルドさんから呼び出しに俺は、こんな早くにお店の料理を鑑定した事がバレたのかと思い心臓の鼓動が早くなった。
謝るなら早い方が良いと思い、エルドさんの部屋に向かった。
「エルドさん、本当にすみません!」
「んっ、どうして入って来て早々に謝罪をするんだ?」
エルドさんの部屋に到着した俺は、部屋に入って直ぐに頭を下げてエルドさんに対して謝罪をした。
すると、エルドさんは謝罪をした俺に困惑した。
「えっ? 紹介してもらったお店の料理を【鑑定】した事に対しての呼び出しじゃないんですか?」
「違うぞ? それに店の料理を鑑定する事は、上位の冒険者や貴族であればしてる事だし、別に咎める事でもないからそんな事で呼び出したりせんぞ」
エルドさんはそう言うと、俺はここに来るまでずっとやっちいけない事をしたと思い込んでいた。
その為、その言葉を聞いて安心して体の力が抜けて、その場に座り込んだ。
427
お気に入りに追加
2,194
あなたにおすすめの小説
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?
名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」
「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」
「それは貴様が無能だからだ!」
「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」
「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
家族に辺境追放された貴族少年、実は天職が《チート魔道具師》で内政無双をしていたら、有能な家臣領民が続々と移住してきて本家を超える国力に急成長
ハーーナ殿下
ファンタジー
貴族五男ライルは魔道具作りが好きな少年だったが、無理解な義理の家族に「攻撃魔法もろくに使えない無能者め!」と辺境に追放されてしまう。ライルは自分の力不足を嘆きつつ、魔物だらけの辺境の開拓に一人で着手する。
しかし家族の誰も知らなかった。実はライルが世界で一人だけの《チート魔道具師》の才能を持ち、規格外な魔道具で今まで領地を密かに繁栄させていたことを。彼の有能さを知る家臣領民は、ライルの領地に移住開始。人の良いライルは「やれやれ、仕方がないですね」と言いながらも内政無双で受け入れ、口コミで領民はどんどん増えて栄えていく。
これは魔道具作りが好きな少年が、亡国の王女やエルフ族長の娘、親を失った子どもたち、多くの困っている人を受け入れ助け、規格外の魔道具で大活躍。一方で追放した無能な本家は衰退していく物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる