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第一章
第67話 【迷宮探索・3】
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ウィルが何故こんな所に居るのか、それは先も言った通り俺の事を探していたからみたいだ。
「話は一年前に戻ります。元々、ノルゼニア家はアルフ達を外に連れ出す事はあまりしない為、僕自身アルフが姿を見せなくなって半年が過ぎた頃、ようやくアルフが表舞台から姿を消した事に気が付いたんです」
「元々、外に出る事が珍しいアルフは家の者達以外から、謹慎させられてる事実が知られていなかったのか」
「はい。それにノルゼニア家に子供が居る事実は知られていても、その姿を確認できる場が年に数回しかなく、殆どの者達がアルフ達の姿を覚えていなかったんです」
「ノルゼニア家の事は商会でも調べていたが、同じ貴族でもアルフの事を知らない奴の方が多いのか?」
師匠は当然の疑問をウィルに尋ねると、ウィルは師匠の言葉に頷きながら自身の調べた内容を話し始めた。
「知らないというより、知られないようにされていたと言った方が正しいかと思います」
「マジかよ。だから、アルフが一年間見られなくなっても騒ぎどころか噂にもなってなかったのか……」
「そういった事実もあり、アルフが消えたのを半年後に知った僕は、まず一番怪しいノルゼニア家を調べる事にしたんです」
「家が怪しいって他国の貴族から思われてる時点で、ノルゼニア家は相当ヤバいな……」
「そこに関しては、国は関係なくこの国でもノルゼニア家の教育方針に疑問を抱く方は沢山いますね」
「えっ、他の家からもそんな風に思われてたの?」
ウィルの言葉に聞く事に徹していた俺がそう聞くと。
「流石に行き過ぎた教育方針だからね」
「俺もアルフから聞いた話だけでもそう思うな、ヤバい家だなって」
ウィルと師匠は、呆れた様子でそんな風に言った。
それからウィルはノルゼニア家を調べる為、まず最初にクラリスに接触したと言った。
「クラリスちゃんは昔からアルフの事を大事な家族と思っていたから、何か知ってると思ってね。そしたら、アルフが謹慎させられてる事とか家の事情を話してくれたんだ」
「クラリスはそんな事までしてくれてたのか……」
「アルフの妹は本当に兄想いみたいだな」
「はい。本当によく出来た妹です」
俺の知らない所でもクラリスが動いてくれていた事を知った俺は、心の底からクラリスに感謝をした。
「それでアルフの現状を知った僕は、直ぐにでも動きたかったけど他国の貴族が介入する事は難しくてね。アルフの事を見守る事しか出来なかったんだ。謹慎させられてる事を知りながら、何も出来なくて本当にごめん」
「ウィルが謝る事じゃないよ。悪いのは俺の家なんだから、だからそんな悲しそうな表情しないでよ」
謝罪をしたウィルに俺はそう言うと、話しの続きをしてくれた。
「それで少し前にアルフが家から追い出されて、ようやく接触できると思ったんだけど。接触する前にアルフがルクリア商会に連れていかれてしまって、また接触する機会が無かったんだ。ルクリア商会は最初からかなり、厳重にアルフの事を守っていて近づく隙が無かったんだよ」
「あれ、最初の時はそんなに厳重じゃなかったと思うけど?」
「……アルフは知らないと思うが。エルドさんはアルフを保護して直ぐに、アルフの事を守っていたぞ」
「隣国からきた僕なんて本当に警戒されてて、アルフに会わせて欲しいなんて言ったら関係してる店にすら入れない可能性すらある程だったんだよ? だから僕はずっと、アルフの警備が薄くなるのを待っていたんだ」
それでその警備が薄くなるタイミングが、今回の迷宮探索でウィルはようやく俺と再会出来たと話してくれた。
「成程な、他国の友人の為にかなり時間を掛けたんだな」
「はい。アルフは僕にとってかけがえのない友人ですので」
ウィルは真顔で師匠にそう言って、俺はウィルがそこまで俺の事を想ってくれてるなんて知らなかった。
「それで、まあ事情は分かったが。こいつが居る理由は?」
師匠はウィルがここに来た理由は納得したが、一緒に来たダラムスさんに対して何故居るんだ? という目でそう言った。
「ダラムスさんは昔から、ルザーナ家と親交のある冒険者でして父に話した所、ダラムスさんに連れて行ってもらえと言われて一緒に来たんです」
「俺はアレンとは違って、貴族と一括りで嫌ったりしてないからな」
ニカッと笑いながら、ダラムスさんはそう言った。
「話は一年前に戻ります。元々、ノルゼニア家はアルフ達を外に連れ出す事はあまりしない為、僕自身アルフが姿を見せなくなって半年が過ぎた頃、ようやくアルフが表舞台から姿を消した事に気が付いたんです」
「元々、外に出る事が珍しいアルフは家の者達以外から、謹慎させられてる事実が知られていなかったのか」
「はい。それにノルゼニア家に子供が居る事実は知られていても、その姿を確認できる場が年に数回しかなく、殆どの者達がアルフ達の姿を覚えていなかったんです」
「ノルゼニア家の事は商会でも調べていたが、同じ貴族でもアルフの事を知らない奴の方が多いのか?」
師匠は当然の疑問をウィルに尋ねると、ウィルは師匠の言葉に頷きながら自身の調べた内容を話し始めた。
「知らないというより、知られないようにされていたと言った方が正しいかと思います」
「マジかよ。だから、アルフが一年間見られなくなっても騒ぎどころか噂にもなってなかったのか……」
「そういった事実もあり、アルフが消えたのを半年後に知った僕は、まず一番怪しいノルゼニア家を調べる事にしたんです」
「家が怪しいって他国の貴族から思われてる時点で、ノルゼニア家は相当ヤバいな……」
「そこに関しては、国は関係なくこの国でもノルゼニア家の教育方針に疑問を抱く方は沢山いますね」
「えっ、他の家からもそんな風に思われてたの?」
ウィルの言葉に聞く事に徹していた俺がそう聞くと。
「流石に行き過ぎた教育方針だからね」
「俺もアルフから聞いた話だけでもそう思うな、ヤバい家だなって」
ウィルと師匠は、呆れた様子でそんな風に言った。
それからウィルはノルゼニア家を調べる為、まず最初にクラリスに接触したと言った。
「クラリスちゃんは昔からアルフの事を大事な家族と思っていたから、何か知ってると思ってね。そしたら、アルフが謹慎させられてる事とか家の事情を話してくれたんだ」
「クラリスはそんな事までしてくれてたのか……」
「アルフの妹は本当に兄想いみたいだな」
「はい。本当によく出来た妹です」
俺の知らない所でもクラリスが動いてくれていた事を知った俺は、心の底からクラリスに感謝をした。
「それでアルフの現状を知った僕は、直ぐにでも動きたかったけど他国の貴族が介入する事は難しくてね。アルフの事を見守る事しか出来なかったんだ。謹慎させられてる事を知りながら、何も出来なくて本当にごめん」
「ウィルが謝る事じゃないよ。悪いのは俺の家なんだから、だからそんな悲しそうな表情しないでよ」
謝罪をしたウィルに俺はそう言うと、話しの続きをしてくれた。
「それで少し前にアルフが家から追い出されて、ようやく接触できると思ったんだけど。接触する前にアルフがルクリア商会に連れていかれてしまって、また接触する機会が無かったんだ。ルクリア商会は最初からかなり、厳重にアルフの事を守っていて近づく隙が無かったんだよ」
「あれ、最初の時はそんなに厳重じゃなかったと思うけど?」
「……アルフは知らないと思うが。エルドさんはアルフを保護して直ぐに、アルフの事を守っていたぞ」
「隣国からきた僕なんて本当に警戒されてて、アルフに会わせて欲しいなんて言ったら関係してる店にすら入れない可能性すらある程だったんだよ? だから僕はずっと、アルフの警備が薄くなるのを待っていたんだ」
それでその警備が薄くなるタイミングが、今回の迷宮探索でウィルはようやく俺と再会出来たと話してくれた。
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「はい。アルフは僕にとってかけがえのない友人ですので」
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「それで、まあ事情は分かったが。こいつが居る理由は?」
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「ダラムスさんは昔から、ルザーナ家と親交のある冒険者でして父に話した所、ダラムスさんに連れて行ってもらえと言われて一緒に来たんです」
「俺はアレンとは違って、貴族と一括りで嫌ったりしてないからな」
ニカッと笑いながら、ダラムスさんはそう言った。
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