外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第一章

第49話 【学園生活の始まり・1】

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 数日後、俺は制服に着替え朝早くから商会の馬車で学園に向かった。
 昨日、学園から道具一式が届き、今日から俺は学園に通う。

「なんだか緊張するな……初等部に通ってないのにいきなり高等部から学園に行くって、こんな事になるとは思わなかった」

 自分が学園に行く事が実感が湧かない俺は、商会が用意してくれた馬車の中でそんな事を考えていた。
 今日から通う学園は、金が払えるなら貴族・平民関係なく通う事の出来る学園。
 初等部では主に基礎的な知識を三年間学び、高等部から自分の目指す目標に合わせて学ぶ科目が別れている。
 そんな中、俺はアリスと同じ〝商人科〟に入る事になった。

「はじめまして、君がアルフレッド君かな?」

 学園に到着し、馬車を降りると一人の男性に声を掛けられた。
 身長は170㎝程の藍色の髪を短髪に切り揃え、紺色のスーツを着ていた。

「はい。そうですけど……」

「おっと、警戒させてしまったかな? 安心してくれ、私は怪しい者ではないよ。私の名前は、リアン。君の通うクラスの担任だ」

「あっ、そうなんですね。疑ってすみません。これから、よろしくお願いします」

 怪しい人だと疑った事を頭を下げ慌てて謝罪をした。
 その後、リアン先生は俺が今後通う教室まで案内してくれた。

「中から呼ぶから、待っていてくれるかい?」

「分かりました」

 教室の外に到着すると、リアン先生からそう言われたので教室の外で待機した。
 そして一分程経ち、中から俺を呼ぶ声がしたので、俺は若干緊張しつつ扉を開けて中に入った。
 教室の中には数十名の同年代の男女が席に座っていて、入口から入って来た俺に視線を向けていた。

「初めまして、アルフレッドと言います。ルクリア商会所属の冒険者をしていて、今日から同じクラスに通う事になりました。これから、よろしくお願いします」

 考えていた挨拶を皆の前で言うと、俺の前で席に座っている人達は拍手をして出迎えてくれた。
 その後、リアン先生から空いてる席に座ってと言われた俺は、奥の方に空いてる席に座った。

「よろしくね。アリス」

 俺の席は窓際の一番後ろ、その隣にはアリスが座っていた。
 数日振りに会うアリスにそう挨拶をすると、周りが何故か少しだけザワついた。

「うん。これからよろしくね。アルフ君」

 そんな周りの反応が気になってないのか、アリスは嬉しそうな顔をして挨拶を返してくれた。
 そんなアリスとのやり取りを見ていた教室の人達とリアン先生は、驚き固まっていた。

「えっと、もしかして今喋っちゃ駄目だったのかな?」

「う~ん、そんな事は無いと思うけど?」

 そう俺とアリスが言うと、周りはバッと視線を前に戻し。
 リアン先生も咳払いをして、今日の日程について話し始めた。
 その後、リアン先生の話が終わると休憩時間になるらしく、生徒達はこの間に授業の準備をするみたいだ。

「アルフ君、教科書とかってもうあるの?」

「うん。エルドさんから、一通り買ってもらったから全部あるよ。本当は自分のお金で買うつもりだったんだけど、エルドさんから〝学園に通う事になったのは儂の頼みだから〟とか言って買わせてくれなかったんだよね……」

「お爺ちゃん、そういう所は頑固だからね」

 アリスはエルドさんから言われた事を教えると、笑いながらそう言った。
 そんな俺とアリスのやり取りを周りの人達は、チラチラと見ていて俺はそれが少しだけ気になった。
 だが今はアリスが楽しそうにしているから、その事は後で確認する事にした。

「一限目の授業は確か、算数の授業らしいけどアリスが苦手な教科って何か聞いても良いかな?」

「うっ……」

 それまで楽し気に話していたアリスは、授業の事を聞くと言葉が詰まり俯いた。
 そして、小声で苦手な事を一つずつ言って行ったのだが……。

「全部って事だね……」

「うう、だってわかんないんだもん……先生に聞こうにも緊張して……」

「うん。聞いてるから、無理に話さなくても大丈夫だよ」

 アリスが苦手だと言ったのは、授業全部だった。
 アリスは自分の苦手な事が多い事に対し、自分自身で悔しいのか少し涙目になり始めたので俺はそう言って落ち着かせた。

「取り合えず、エルドさん達からは先に算術を入念に教えてやって欲しいと言われてるから、授業中に分からない事があれば何でもいいから俺に聞いてね。学園側にも話は通してるから、無駄話じゃない限りは怒られたりしないから」

 そう俺が言うと、アリスは「分かった」と頷きながら言った。
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