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第一章
第25話 【冒険者登録・1】
しおりを挟むこの街の冒険者ギルドは王都よりも広く、また中に居る冒険者の感じも大分違う。
王都の冒険者ギルドは一度しか目にしてないが、中にいる冒険者は雰囲気から嫌な感じを出してる冒険者の人も居た。
しかし、この街の冒険者ギルドはそんな雰囲気を出す人は居らず、冒険者同士で楽しそうに雑談なんかしている。
「あれ? アレンさんじゃないですか? 最近、見なかったですけどどうしてたんですか?」
その内の冒険者の一人が師匠を見ると、そう言って声を掛けて来た。
「クリス。久しぶりだな、実はエルドさんから頼まれて弟子を取る事になってな。俺の弟子のアルフだ」
「は、初めましてアルフレッドです」
「……えっ? アレンさんに弟子!? それ、本当ですか?」
クリスと呼ばれた青年は、師匠と俺の顔を今後に見て驚いた顔をしてそう言った。
その声に周りで聞き耳を立てていた冒険者達は、師匠と俺を見て驚いていた。
「まあ、その話はまた今度だ。今日はその弟子の用事で来たから時間が無いんだ」
「あっ、そうなんですね。分かりました」
そう言ってクリスさんは離れて行き、他の冒険者に「今は無理そうだ」と伝えてくれていた。
そしてそんなクリスさんと別れ、俺と師匠は受付所の方へと向かった。
「丁度、良かった。アンナ。相談室貸してもらえるか? さっきの話で騒がしいから、落ち着いたところで登録を済ませたいんだが」
「はい。大丈夫ですよ」
師匠は受付所に居た女性の係の人に話しかけると、受付所から女性は出て来て二階へと移動して相談室と書かれてる部屋に入った。
「アレン様。先程の話、聞こえていたんですけど本当にお弟子さんを取られたんですか?」
「ああ、エルドさんから頼まれたからってのもあるが。アルフの才能は凄まじいからな、こんな奴を育てられるならって弟子に取る事にしたんだ」
「そうなんですね。自己紹介がまだでしたね。私は、ウィストの街支部の冒険者ギルドで受付係を担当しております。アンナ・ヴィレットです。よろしくお願いします」
そう女性から自己紹介をされた俺は、自分の名前を伝え互いに軽い自己紹介を行った。
それから自己紹介を終えた俺は、アンナさんから登録用の用紙を受け取り記入を始めた。
「あの、スキルの数とかは聞かないんですか?」
「えっ、聞く必要は無いですよ? あっ、もしかして態々ウィストの冒険者ギルドに来たという事は、王都の冒険者ギルドで既にいざこざがあったんですか?」
俺の言葉にアンナさんがそう聞いてくると、師匠は「そうだ」とアンナさんの言葉にそう返事をした。
「既にアルフは一度、王都の冒険者ギルドから追い出されてるんだ。だから、エルドさんと話をしてこっちの街に登録に来たんだ」
「アレン様に弟子になるように言ったって事は、アルフレッド君の事をエルド様も気に入ってる感じですよね? 王都の冒険者ギルドは大丈夫なんですか?」
アンナさんは俺が師匠の弟子になってる事から、エルドさんから気に入られていると推察してそう師匠に尋ねた。
「詳しい事はまだ言えないが……その内、騒動が起きる事は確実だな」
「……王都も馬鹿ですね。エルド様達から忠告されていたのに、聞く耳を持たず自由にやっていた罰ですね」
アンナさんは少し怒った顔でそう言うと、ハッと気付いた顔をして笑みを浮かべ直した。
「もしかして、アンナさんも王都の冒険者ギルドが嫌いなんですか?」
「……嫌いとまではいきませんが、あの人達のせいで冒険者の質が下がってるのは確かですね。それに王都で調子にのった冒険者がこちらの街に来て、問題を起こすなんて事もありますので迷惑はしてますね」
「アルフも気づいたと思うが、この街の冒険者はギルドの育成方針もちゃんとしっかりとしてるから真面な奴が多いが。逆に王都の冒険者ギルドは、そこの所が全くなってなくて馬鹿な冒険者が多いんだ」
アンナさんと師匠は、王都の冒険者ギルドと王都の冒険者に対してそう言い、俺はそこまで酷い場所なのかと驚いた。
それから俺は、アンナさんから渡されていた用紙の記入が終わり。
アンナさんに用紙を渡すと、確認の為に用紙を見たアンナさんは「全属性の適性持ち!?」と驚き叫んだ。
「そうだよ。アルフは全属性の適性があって、今はもう四属性の魔法を使えるんだ」
「……待ってください。それでしたら、何でその能力で王都の冒険者ギルドを追い出されたんですか?」
「それはアルフの能力に秘密があるんだ。これから先、アンナには世話になると思うし、アルフの能力について少し話しても良いか?」
「はい。師匠が信頼をしている方ですから、大丈夫ですよ」
師匠の言葉に俺はそう返事をすると、師匠はアンナさんに王都の冒険者であった事と【経験値固定】について話をした。
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