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暗躍
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12時から15時の当番になった者は昼食の時間を交代で取る必要がある。俺はおにぎりを持ってきているので割りとさっと食べることができる。外に出ても混んでいるだろうし、みんなが働いているのにゆっくりはしていられない。
朝からずっと列は途絶えず、やはり並んでいるのは男が多い。午前中はリナやユキ目当てで並んでいたのだろう。一緒に写真を撮りたがる人が多かった。男子ではタクミが女子から人気だった。モテるなぁ、アイツ。
午後に入ってからはアズサ目当ての男が多い。校内でも人気あるし、うちの高校の生徒が多く、さらに外部からの客も来ている。午前中に比べて女性客も増えているようだ。やはり、昼過ぎにはちょっと座って休憩したいということだろう。並んでまで入る必要はないと思うが。
アズサほどではないが、俺も意外と写真をせがまれることが多い。スマホだったらすぐに拡散していくが、この時代ではデジカメはあるものの、フィルムを使ったものも多い。そんなに拡散していくことはないので気にするほどでもないだろう。
接客を続けていると、ミナが客として来ていた。
「来てくれたんやな。」
「そりゃあ来るさ。告白をしてくれた相手だし?」
ここで体育祭でのことを持ち出してくるか。
「…ご注文は。」
「じゃあ、アッサムをミルクで。」
「かしこまりました。」
体育祭での公開告白のことは全校生徒が知るところで、かなり注目された。もちろん、付き合うことになったわけでもないので、俺がフラれたとみんなは思っている。そこにミナから会いに来たのでどうなってるんだとなるわけだ。
「お待たせいたしました。」
アッサムティーとミルクを配膳する。
「お嬢様とか言わないの?」
「そこまでやらんでええやろ。ややこしいし。」
「そう?喜ぶ子、多いと思うけどな。写真、いい?」
「…もちろんですよ。お嬢様。」
これぐらいはいいだろう。サービスだ。珍しく、ミナに効いているようで、赤くなっている。こういうのが好きなのか?ちなみにメイドのほうもご主人様呼びはさせていない。
「不意打ちだった。」
俺はニヤリと笑い、ミナと写真を撮った。たまにはこんなことがあってもいいだろう。
盛況なまま、俺達の出番は終了した。交代で自由時間だ。
結局見に行く暇もなかったが運営側は上手く回せていただろうか。やはりこういうイベントは運営側に回ってイベント成功の喜びをみんなと分かち合うのが楽しい。次は積極的に運営側に参加したい。
執事服から着替え終わって更衣室から出ると、アズサが着替えもせずに待ち構えていた。
「ケイタくん、一緒に回ろ。」
なんか他の女子からも断っちゃいけない圧力をかけられている。仕方ないか。
「わかった。とりあえず生徒会室行ってもいいか?」
「ちょっとだけならいいよ。」
そして2人で生徒会室に向かう。メイドを連れて歩くと目立つ。
「ね、これ、どう?」
「あぁ、似合ってるよ。アキバのメイドみたい。」
「アキバのメイド?ってなに?」
しまった。この時代、アキバは電気街としては成立しているが、メイドはまだいない。いるのかもしれないが、少なくとも有名にはなっていない。
「なんでもない。似合ってる。」
黒髪ストレートで美少女メイドって王道だよな。メイドカフェって行ったことないからなんか照れる。
「ふーん。こういうの好きなんや?」
最近表情が読まれまくる。
「そりゃ、可愛い子が可愛い衣装着てたら可愛いやろ。」
言っている間に生徒会室に着く。もう時刻は15時過ぎだ。忙しいピークは超えてるはず。生徒会室に入ると、生徒会全員が揃って雑談をしていた。
「お疲れ様です。今日の運営は大丈夫でしたか?」
松並がテンション高く答える。
「おぅ。多少トラブルはあったがなんとかなったぞ!人が増えると助かるのは助かるがマネジメントってのは大変だな。」
「急造組織をちゃんとコントロール出来てたじゃないですか。十分だと思いますよ。」
実際、ここまで大きくなった組織をちゃんと同じ方向に動かすのはなかなか大変だ。さすがのポテンシャルだと思う。
「何言ってんだ。お前も裏で動いてくれてたんやろ?知ってるぞ?」
確かに組織間でコミュニケーションが甘いところは少し補助したが。
「ほんの少しですよ。特に大きな問題がなかったなら良かったです。では、ちょっと気になっただけだったので。」
生徒会室を後にする。
「ね、後ろで動いてるのバレバレでしょ?じゃあ用も終わったからここから付き合ってね。」
一般解放は18時までだ。それまでは楽しもう。
朝からずっと列は途絶えず、やはり並んでいるのは男が多い。午前中はリナやユキ目当てで並んでいたのだろう。一緒に写真を撮りたがる人が多かった。男子ではタクミが女子から人気だった。モテるなぁ、アイツ。
午後に入ってからはアズサ目当ての男が多い。校内でも人気あるし、うちの高校の生徒が多く、さらに外部からの客も来ている。午前中に比べて女性客も増えているようだ。やはり、昼過ぎにはちょっと座って休憩したいということだろう。並んでまで入る必要はないと思うが。
アズサほどではないが、俺も意外と写真をせがまれることが多い。スマホだったらすぐに拡散していくが、この時代ではデジカメはあるものの、フィルムを使ったものも多い。そんなに拡散していくことはないので気にするほどでもないだろう。
接客を続けていると、ミナが客として来ていた。
「来てくれたんやな。」
「そりゃあ来るさ。告白をしてくれた相手だし?」
ここで体育祭でのことを持ち出してくるか。
「…ご注文は。」
「じゃあ、アッサムをミルクで。」
「かしこまりました。」
体育祭での公開告白のことは全校生徒が知るところで、かなり注目された。もちろん、付き合うことになったわけでもないので、俺がフラれたとみんなは思っている。そこにミナから会いに来たのでどうなってるんだとなるわけだ。
「お待たせいたしました。」
アッサムティーとミルクを配膳する。
「お嬢様とか言わないの?」
「そこまでやらんでええやろ。ややこしいし。」
「そう?喜ぶ子、多いと思うけどな。写真、いい?」
「…もちろんですよ。お嬢様。」
これぐらいはいいだろう。サービスだ。珍しく、ミナに効いているようで、赤くなっている。こういうのが好きなのか?ちなみにメイドのほうもご主人様呼びはさせていない。
「不意打ちだった。」
俺はニヤリと笑い、ミナと写真を撮った。たまにはこんなことがあってもいいだろう。
盛況なまま、俺達の出番は終了した。交代で自由時間だ。
結局見に行く暇もなかったが運営側は上手く回せていただろうか。やはりこういうイベントは運営側に回ってイベント成功の喜びをみんなと分かち合うのが楽しい。次は積極的に運営側に参加したい。
執事服から着替え終わって更衣室から出ると、アズサが着替えもせずに待ち構えていた。
「ケイタくん、一緒に回ろ。」
なんか他の女子からも断っちゃいけない圧力をかけられている。仕方ないか。
「わかった。とりあえず生徒会室行ってもいいか?」
「ちょっとだけならいいよ。」
そして2人で生徒会室に向かう。メイドを連れて歩くと目立つ。
「ね、これ、どう?」
「あぁ、似合ってるよ。アキバのメイドみたい。」
「アキバのメイド?ってなに?」
しまった。この時代、アキバは電気街としては成立しているが、メイドはまだいない。いるのかもしれないが、少なくとも有名にはなっていない。
「なんでもない。似合ってる。」
黒髪ストレートで美少女メイドって王道だよな。メイドカフェって行ったことないからなんか照れる。
「ふーん。こういうの好きなんや?」
最近表情が読まれまくる。
「そりゃ、可愛い子が可愛い衣装着てたら可愛いやろ。」
言っている間に生徒会室に着く。もう時刻は15時過ぎだ。忙しいピークは超えてるはず。生徒会室に入ると、生徒会全員が揃って雑談をしていた。
「お疲れ様です。今日の運営は大丈夫でしたか?」
松並がテンション高く答える。
「おぅ。多少トラブルはあったがなんとかなったぞ!人が増えると助かるのは助かるがマネジメントってのは大変だな。」
「急造組織をちゃんとコントロール出来てたじゃないですか。十分だと思いますよ。」
実際、ここまで大きくなった組織をちゃんと同じ方向に動かすのはなかなか大変だ。さすがのポテンシャルだと思う。
「何言ってんだ。お前も裏で動いてくれてたんやろ?知ってるぞ?」
確かに組織間でコミュニケーションが甘いところは少し補助したが。
「ほんの少しですよ。特に大きな問題がなかったなら良かったです。では、ちょっと気になっただけだったので。」
生徒会室を後にする。
「ね、後ろで動いてるのバレバレでしょ?じゃあ用も終わったからここから付き合ってね。」
一般解放は18時までだ。それまでは楽しもう。
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