もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

文字の大きさ
上 下
127 / 155

夕飯の後に食べるもの

しおりを挟む

「....なにカフェでイチャついてんの?」 

笑いを堪えたような声に、俊也に寄り添い思わずうっとりと肩に頭を預けていた俺は、は、として見上げると涼太と豊の笑いを含んだ顔に見下ろされていた。

うわ....恥ずかしい。

「窓際だから外から見掛けてさ。邪魔したくなかったけど、学校の奴らに見られたらどーすんの?」 

2人とも吹き出しそうになってる....。

....た、確かに、だ、な。

慌てて、少し冷静になり座り直した。

「俺たちも一緒いい?喉乾いちゃった。歩き疲れたし暑くって」

涼太の笑顔が...思いがけず爽やかだ。

....豊に話して気が楽になった、のかな...?

目の前に涼太、俊也の前に豊が座る。

「豊はなんにする?」

「んー、アイスコーヒーにするかなあ」

「そっか。なんにしようかなあ...迷うなあ」 

....2人の雰囲気が違う、な....。

「....2人は何処行ってたの?ショッピング、て聞いたけど、俊也に」

そう普通に尋ねたら、目の前の涼太の顔は目を丸くし真っ赤になり、隣の豊は笑顔。

「塗り替えてきた。アロマグッズ買いに行ったあと」

「....塗り替え、て?」

涼太が軽く握った拳で口元を隠し、そっぽを向いた。

豊の方ではなく、窓側を。

...涼太、いつもならキレそうなのに。
照れてる、ような...。

「....もしかして...」

「想像に任せる」

あ、やっぱり....。

「え....ズルい」 

思わず指先で口元を抑えてついて出た....。

「俺たちは本屋行く約束じゃん?樹」

「...そうだけど、映画館でも我慢してたのに」

え。て顔でみんなが俺を見て、涼太と豊に至っては吹き出した。

「な、なに、映画館でするつもりだったの....?」

笑いを堪えて声を震わせながら涼太が言う。

隣の俊也、....きょとん、としちゃってるし....

「....涼太のバカ!そういうんじゃない、けど....多分」 

豊の肩が震えてる...く、く、て笑い堪えてる....。

「多分、て....」

「....どうだった?涼太」

父親からの虐待やレイプだとかを心配して、そう聞いたつもりだったんだけど...涼太、口開けて、は?て顔してる。

「....感想、言わなきゃなの?」

「あ、ううん、そ、そうじゃ....」

あ、でも...そうも捉えられる、か、確かに...。

「まあ、塗り替えられて良かったんじゃん?涼太」

俊也が笑顔でそう言うと、

「ま、まあ....」

「お前らも夕飯食べ終わったら行けば?ホテル」

....豊、いきなりなにを。あっけらかんと。

俊也をチラ、と見上げたら、また目が合った。

じ、と俺の瞳見つめてるだけ...。

「....行く?あとで」

....う、うわ...か、顔が熱い。

2人の前で....俊也。

「....意味、わかってる....?」

「まあ、....大体?」

さっきの涼太みたいに軽く握った拳で口元を抑えた。

....実は一応、抑制剤も、...飲んできたし、持ってきてたり、する、んだけど....。

「まあ、16だし?いいんじゃね?優しくこう愛撫してもらってさ、キスもたくさんしてさ」

....あ、涼太、照れくさそうにまたそっぽ向いた、けど、....拗ねたみたいに口尖らせてるだけだ。

....愛されてる、て感じのセックス...どんななんだろう....。

また、チラ、と俊也を盗み見みる。

「そうだな、俺もそろそろいいかな、て思ってたしな」

そ、そうなんだ....口元を押えたまま、豊に話す俊也の横顔を眺めた。

無表情とは違うけど、冷静な俊也....。

「本屋行って夕飯にしようか?なに食べたい?樹」

優しい笑顔で尋ねられた、けど....

俺、てば。

夕飯の後は....俺が俊也に...食べられる感じなの、かな、なんて...また小っ恥ずかしいこと考えてた....。

「どうした?嫌?」

思わず俯いてしまい、俊也に小首傾げて尋ねられた。

「う、ううん...な、なに食べよっか....」

視点が合わせられず、精一杯の返事に涼太も豊も見透かしたかのように笑ってた。

ああ....照れくさい、な。

少し...違うな...凄く。

俺も照れくささ隠すように口元に手を添えたまま、はにかんだ。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

元ベータ後天性オメガ

桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。 ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。 主人公(受) 17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。 ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。 藤宮春樹(ふじみやはるき) 友人兼ライバル(攻) 金髪イケメン身長182cm ベータを偽っているアルファ 名前決まりました(1月26日) 決まるまではナナシくん‥。 大上礼央(おおかみれお) 名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥ ⭐︎コメント受付中 前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。 宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

花婿候補は冴えないαでした

BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版)

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

処理中です...