86 / 155
バーベキュー
しおりを挟む昼前に目が覚めると、間近にある俊也の寝顔に驚いてしまった。
....そっか、昨夜、一緒に同じベッドで眠ったんだっけ。
金色の前髪がかかる、閉じた二重の瞼の長い睫毛も、通った鼻筋も、薄く開いた形のいい唇も綺麗だな、て思う。
....キス、したんだっけ。
唇を見て、鼓動が早くなる。
ぱち、と音がするんじゃないか、て感じで、俊也の瞼が開き、見つめていた俺を捉えた。
「お、おはよ。俊也」
「おはよ。樹」
優しい笑顔が愛おしい...。
起きたら、昼前だった。
互いにシャワーを浴びて、歯を磨いたりしてたら、豊が起きてきた。
「おはよ。昨夜、母さんに連絡しといた。心配してたからさ。流星群、見に来てる、て」
豊も顔を洗い、歯を磨きながら、話し出した。
「夏休み前なのに、夏休みに入ってから行けばいいのに、て最初言われたんだけど。初めて流星群、見たけど、凄かった、てつい早口になってさ、母さんも羨ましがりだして。彰人には話すんじゃないわよ、行きたい、て駄々こねるから、てさ」
そうして、口に溜まった歯磨き粉を吐き出し、水ですすぎ出した。
「豊のお母さんも虜にさせちゃう、てある意味、凄いね、流星群」
「彰人、て、豊の弟?小6だっけ」
「そう。あいつも見たかったろうなー。ま、あいつもいつか見れるだろ。タイミングさえ合えば」
「てか、涼太、まだ寝てるのかな」
「かもな、ったく、眠り姫かっての。起こしてくるわ」
「うん、お願いするね、豊。その間にバーベキューの準備、しとこうよ、俊也」
「ああ」
俺と俊也はバーベキューの用意。
豊は涼太を起こしに行った。
しばらくすると、
「....おはよう」
寝ぼけ眼を擦る涼太が起きてきた。
「シャワー浴びてきたら?涼太。目が覚めるかも」
「ん....そうする」
よたよたと覚束無い足取りで涼太はシャワールームに向かってる。
「眠れなかったのかな、涼太」
そんな涼太の後ろ姿を眺め、俊也が冷蔵庫から食材を取り出しながら言う。
「寝起き悪いから、涼太」
俺と野菜を切り分けながら、豊も涼太を見つめてそう言った。
2
お気に入りに追加
663
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる