もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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蘇る記憶

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そうだ。

俺....いつも涼太に謝ってた。

小2で豊が引越してきて、それで、豊と仲良くなって....。

「近くに?紹介して、樹」

「いいよ」

互いに笑い、涼太に豊を紹介し、会わせた。

豊の前では、明るくて、社交的で。

だけど、俺が豊と長話ししてたり、二人きりで遊んでるのを見かけると、

「僕も仲間に入れて!」

しばらくはそうして、涼太も一緒に三人で遊ぶ。

でも....

「ちょっといい?樹」

と、涼太は俺の手を引いて....

「あんまり豊と喋らないで!」
「豊とくっつきすぎ!」
「いつまで豊がいるの!?」
「また豊いるじゃん!豊が好きなの!?」

豊にも誰にも見つからない場所で怒鳴られる。
俺より涼太は背丈もあるし、怒ってるときの顔も声も怖くって....。

「......ごめんなさい、涼太」

その度、いつも、涼太が気が済むまで謝った。たまに泣きながら....。

「ようやく、思い出した?」

「うん」

「....でも、本当はわかってる。諦めなきゃなのかな、て。中1のバース判定で、俺、オメガだったから....諦めなきゃいけないのかな、て。小1のときのあの約束、嬉しかったのに....」

肩を落とし、泣きそうな涼太を見つめた。
小1のときの....約束....。

「ねえ、樹」

「どうしたの?涼太」

「あのね」

「うん」

公園に生えていた草花の花束。

「大人になったらね、僕と結婚してくれる....?樹とならきっと温かくて優しい家庭が作れそうだから」

照れくさそうに、真っ赤な顔で、涼太はプロポーズしてくれた。

「うん、いいよ」

「本当に!?良かったー!」

嬉しそうな涼太の笑顔....。

「ごめん、涼太....」

俺は豊と知り合って、涼太が怖くなり、その記憶を消し去った。

ぽろぽろと涙が零れた。

「....樹」

俊也が声を掛けた。

「理想の家庭が、優しくていい子な樹となら作れるかな、て勝手に期待してたんだ」

「涼太。豊に聞いた。第二志望の高校は全寮制じゃないのに、寮、希望してた、て...」

「うん。幼い頃から虐待、受けてきたの。父親から。オメガの判定がわかってからは性的虐待に変わったけどね」

切なく笑う涼太に釘付けになった。
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