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しおりを挟む「樹に約束しててさ。美味しいミルクティー作りに挑戦する、て」
「美味しいミルクティー?」
俊也は小さなビニール袋を掲げ、涼太に微笑んだ。
「へー!俺も飲んでみたい!」
「いいよ。樹も涼太もそれ飲み干したらカップ貸して。作ってみるからさ」
「えー!楽しみ!ちなみにどんなの?」
「んー?バニラエッセンスやシナモンとか生クリームとか買ってきた。味に保証はないけど」
「凄ーい!俊也くん、器用なんだね!」
「そんな事ないよ、チャレンジしてみるだけだし。涼太も器用そう」
「えーっ、そんな事ないよ!料理もあんまり出来ないし」
「あんまり、て事は多少、出来るんだろ?」
「うん、まあね、でも、レパートリーも少ないし」
仲良く話す二人に面食らう....。
俊也、涼太を見て笑顔だし、涼太もそう。
なんだか、俺、邪魔者みたい...俺の部屋なのに、涼太の部屋にいるみたいに感じる....。
「俺はもう飲んだよー!樹は?」
「えっ、あ、あとちょっと」
涼太に突然、ふられ、慌ててカップを持ち上げ、飲み干した。
俺と涼太の空になったカップを笑顔で受け取った俊也はキッチンで背中を向け、鼻歌を歌いながらミルクティーを作ってる。
「....なんか、俊也くん、雰囲気、変わったね」
頬杖をついたまま、涼太が俊也の背中を見たまま、微かに微笑んだ。
口元は綻んでいるけど、涼太の丸い瞳は俊也に釘付けなまま。
「う、うん、だね」
俺にはいつも通りの俊也なんだけど...涼太には違うのかな。
「お待たせ」
俊也が二つのカップを持ち、同時に涼太と俺の前に置いた。
すぐさま、涼太はカップを持ち上げ、
「わー!いい香り!」
続けて、俺もカップを持ち上げた。
....本当だ。
仄かに甘く、上品な香り。
「なにを入れたの?俊也くん」
コロコロとした笑顔で両手でカップを持ち、嬉しそうに尋ねる正面の涼太。
「生クリームとバニラエッセンスとシナモンを少しと蜂蜜」
「へー!凝ってる!いただきます!ほら、樹も飲みなよ」
「う、うん」
遅ればせながら俊也の淹れてくれた俊也特製のミルクティーを飲んだ。
「....美味しい」
あの三ツ星ホテルのレストランのミルクティーとはまた違う。
本当に上品な甘いミルクティー。
「すっごい、美味しい!俊也くん、天才だね!」
涼太は満面の笑みで俊也を褒め、俊也も頬を緩ませ、俺は二人から目を逸らし、静かにミルクティーをまた一口飲んだ。
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