もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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「ねえ、さっきの診断、模範解答はなにー?俺の回答の何処がサイコパスなわけー?」

図書館から本を借り、歩き出したものの、涼太がついてくる。
...ぶっちゃけ、ウザい。

「模範解答なんかねーよ」

「ちゃんと教えてよー、寝れなくなる!」

立ち止まり、涼太を見る。

パッと見、人の良さそうな優しい顔立ち。
丸い目は多分、万人受けしそう、だけど、口元は弧を描いてるのに、目は笑ってない。

「自分が寝坊して遅刻した訳。悪いのは?」

「....寝坊して遅刻した奴」

「事件や事故を作り上げて言い訳を作る、そこがサイコパス」

「あー、なるほど!」

ようやく、涼太は笑顔を見せた。

「ちなみに俊也くんはどうするの?」

「....なんで俺の名前、知ってんの?」

「えーっ、だって有名だし、俊也くんのお父様。良くテレビで見るよ」

思わず、顔を背けた。

「あっ、家族の話しは苦手だった?ごめーん!でさ、俊也くんはどうするの?さっきの診断」

「どうって、電話するかな、寝坊しました、すみません、すぐ向かいますって」

「馬鹿正直すぎない?生きてたらさ、嘘も大事だよ」

「....嘘ばっかついて生きてんの?お前」

「ううん!すっごく正直に生きてる」

満面の笑みにため息が出た。

「あっそ、そりゃ良かったね」 

「ねえねえ、今度、俊也くんの部屋、行ってもいい?」

「は?」

「本、借りたいし。あ、オススメも知りたいし」

「知らね。図書委員にでも頼めよ」

「えーっ、いいじゃん、ちょっとくらい」

なんなの、こいつ...なんで、着いてくるわけ。

「....いい加減、離れてくれる?悪いけど」

「え?なんで?俺、まだ俊也くんと話したい」

「俺はもう話したくない。以上」

それからは大股で歩いた。

懸命に着いてくる涼太に寒気がする。

早く離れてくんねーかな...それでなくても、俺、人付き合い、嫌いだってのに...。
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