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過ちと謝罪
しおりを挟む「....最近さ、樹とよく一緒にいる、あの金髪」
「うん....」
膝を抱え、豊を見ずに答えた。
「樹、あいつといるといつも笑ってて、安心した」
豊を見ると、豊の優しい微笑みがあった。
「....涼太から聞いた。涼太の嘘でないなら...樹も俺が好きだったって」
「....うん、あの日まで....」
「俺もさ、樹が好きだったのに、馬鹿だよな。樹に嫌な思いさせちゃったよな....ごめん。ずっと謝りたかった」
「....謝っても、もう戻れないよ、俺たち....」
「だな、なんでこうなるかな...まださ、恋心とか知る前の頃は単純に楽しかったのに。3人でよく遊んだよな、秘密基地、作ったり、ケイドロしたり」
「俺もそう思う...楽しかった、でも、もう戻れない」
「うん...俺、涼太を殴ったよ、こないだ」
思わず顔を上げ、豊を見上げた。
遠い目をした豊がいた。
「俺ももちろん悪いんだけどさ....あいつ、あんな感じだったっけ」
「....あんな、て?」
「なんだろ....なに考えてるかわからない。平気で嘘つくし、前はああじゃなかった気がしてさ」
俺は膝に顎を置き、考えた。
昔の涼太...いつもよく笑ってた。
俺の手を引いて。
いつも、樹、て声をかけてきて...。
「俺もだいぶ残念な奴だけど、あいつもなんか変わった気したり。悪く言うつもりはないけどさ....」
「....俺のせい、なのかな」
「樹の?なんで」
と、突然、勢いよく、部屋のドアが開いた。
「樹!」
思わず、立ち上がった。
「俊也、どうして...実家は?」
「LINEしても既読つかないわ、人来たから、ていきなりLINE止まったままだわ、心配するわ、アホ!」
チビ、の次はアホか、と俊也らしいな、と口元が綻んだ。
「じゃ、俺、おじゃま虫かな?じゃ、ありがと、樹。そして、ごめんな」
切ない表情から背中を向け、部屋を出る後ろ姿を無言で見守った。
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