もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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「ねえ、なんで、そんなに怒ってんの?樹」

俺は久しぶりに涼太の部屋にいた。

とはいっても、この高校は全寮制。

まさか、全寮制なのに、涼太と豊が入学してくるなんて...。

「....どうしてなの?」

「なにが?」

テーブルを挟み、本題だ。

「どうして、俺の進学に着いてくるの?涼太も豊も....」

「....さあ、なんでだと思う?」

「わからないから聞いてる」

暫く無言が続いた。
切り出したのは涼太だった。

「前さ、俺に豊が好きだって教えてくれたじゃん?」

「うん」

「....気に食わなかったの」

そう言うと拗ねたように視線を外した。

「....なにに?」

「....なんで、俺じゃないの、て。でもさ、俺も樹もオメガじゃん。俺を選んでくれる確率はまず無いな、て思った」

変わらず視線を逸らしたままの涼太の瞳を見つめた。

「....ずっとお前のこと、好きだったのに....」

「えっ....」

どうしてこうも俺の頭ん中、真っ白にしてくるんだろ....。

「じゃあ、なんで。なんで、豊と....してたの、セックス....」

ようやく、涼太が俺を見据えた。

「....知ってたんだ」

「うん、3人で勉強してるとき...寝つけなくて見てしまって....」

「....そっか。実はね、豊にも相談されたんだ。樹が好きだって。樹が俺に相談した頃。2人がくっついて欲しくなくって、樹には好きな人いるから無駄だよ、て豊に嘘ついた」

愕然とした。
豊も同じ頃、俺が好きだった....?

「邪魔したかったから。俺の樹なのに、て。てかさ、弱ってるとこ誘ったら、豊、俺を抱いたよ?それまでの気持ちだったんだよ」

「...どういうこと?」

「樹じゃなくても抱けるってこと。本気で好きなら抱かないし、抱けないよ。幾ら辛いときに誘惑されたってさ」

「....誘惑したの?涼太」

「したよ。楽になるかも、抱いてみる?って」

涼太の真っ直ぐな瞳が俺を釘付けにした。
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