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しおりを挟む拓磨の家族と楽しい夕飯の時間を過ごした。
お喋りで盛り上がる拓磨の家族との夕飯、会話はない、ひたすら無言な我が家の夕飯。
史哉はまだ少し戸惑いながら、拓磨の母の手料理を食べた。
史哉の複雑な心境は史哉のちょっした表情で拓磨の母は汲み取った。
「お口に合うといいんだけど」
「美味しいです、凄く」
「うちは賑やかだし、少々、騒々しいところもあるけど、みんな仲良くやってるの。少しずつ、慣れていってくれたらいいからね」
拓磨の母も思いがけないセリフに史哉は視線を上げると暖かく見守るような拓磨の母の優しい眼差しがあった。
「うん!なんなら、ずーっと、うちに居て欲しいくらい!」
「それじゃ、2人があんまりよ、美希。せっかくの新婚生活を楽しめないじゃない。それに、一番、騒々しいのは美希、あなたよ」
美希に拓磨の母が笑いながら指摘した。
「えっ!私!?私かあ、まあ、元気で明るい、て捉えてて!史哉さん」
史哉は笑顔になった。
そうして、風呂も済み、2人は拓磨の部屋にいる。
「あー、明日のショッピング。穂高と結月も誘うかー?結月は特に子供が産まれたら、出かけるのも大変だろうしなあ」
ベッドに腰掛けた拓磨がスマホを操作する中、隣の史哉は拓磨を見つめた。
「....ねえ、拓磨」
「ん?」
「相当、モテててた、て本当?」
思いもよらない史哉からの質問に、え?と拓磨は隣の史哉を見る。
「あれは美希が大袈裟に言っただけだよ」
「....嘘だ」
「ほんとだよ。て、なんで、今更、そんなこと」
「知りたいんだもん!拓磨のこと!僕、穂高ばかり見てて、拓磨のこと、見ていなかった。だから、知りたいの、全部」
真剣な史哉だが、拓磨は頭を抱えた。
「....知りたい、てなにを」
「今まで何人に告白された?どんな人だった?付き合った人の数は?どんな人?僕も知ってる人?」
史哉は拓磨を質問責めにし、拓磨はため息をついた。
「ねえ、教えてよ。すっきりしないままじゃ嫌だ」
仕方なく、拓磨は切り出した。
「....告られた数は覚えてない。付き合ったのは4、5人くらい。普通の子。....お前が知ってるかどうかまで、俺もわからない、中学の同級生とか」
「中学の同級生....誰?教えて。僕、知ってるかも」
「知って、どうするよ」
拓磨は史哉を抱き寄せた。
「最終的に選んだのはお前なんだ。俺の過去とかどうでもいい。自分に自信、持て」
拓磨の言う通りだった。
史哉は周りから脚光を浴びる美青年ながら、自分に自信がある訳じゃない。
子供の頃の親から気に入られなかった過去、穂高に恋愛対象に見られなかった過去が邪魔していた。
「.....浮気しないでね」
拓磨の胸の中で史哉は俯き、小さく呟いた。
拓磨がモテてていたのは確実なのは史哉自身も本当はわかっていた。
「する訳ねーだろ。お前がいるのに」
拓磨は史哉の後頭部を優しく手のひらで包むように抱き、額にキスをした。
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