素直になれない僕ですが

ミヒロ

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聖也からの電話相談の翌日、中庭のベンチで1人、パンと牛乳で昼食を摂っている。

あんぱんとカレーパン。

あんぱん、て牛乳によく合うよな、とかぶりついていた。

無言で隣に現れたのは避けられていた筈の聖也だった。

コンタクトレンズだろう裸眼に、見慣れた筈の卵形の小さな顔や筋が通ったツンと尖った鼻や小さな口も、無愛想な表情すらなんだか懐かしい。

「これ」

なにやら小さな白いビニール袋を渡された。

中を開けると...

「...スタミナドリンク」

「...スタミナドリンク?」

手にしたドリンクのラベルにはマカ、精力増強、とあるが...。

...これは遠回しに抱いてくれ、の意思表示か?

「...バイトばっかで疲れてるでしょ、亮」

「え?あ、ま、まあな」

から笑いするも...これはどういう意味だ?

「....早く治るといいけど」

ポツリ、聖也の独り言が聞こえてしまい、聖也から勃起しない可哀想な男と思われていることに気がついた。

...昨夜の電話での無理やりなフォローしたせいだ...自業自得。

「サンキュ、て、てか、3本も...」

「あと、これ」

次に渡されたのは巾着袋。

「....弁当?」

「....昨日、唐揚げ作りすぎちゃったから。一応、冷蔵して、学校来る前に揚げなおした」

遠藤の方の俺に食べさせたい、て言ってたのに、と思わずほっこり。

「あ!でも!不味いから!言っとくけど!期待しないでよね!」

「ああ、はいはい」

自分の手料理を不味い、という聖也が可愛い。

絶対美味しいから、とか自分で褒めちぎっての手料理よりうんと嬉しい。

うさぎや熊やらのポップで可愛らしい弁当箱を開けると唐揚げだけでなく、卵焼きにタコさんウインナー、プチトマトに俵結びのおにぎりが2つ入っていた。

「....すげー」

「...ちっとも凄くないし」

隣に座る聖也も弁当箱を開くと全く同じ弁当だった。

「めちゃくちゃ美味そ!いただきます」

「...いただきます」

食べてる最中、ちらちらと視線を感じる。

「なに?」

「....別に」

「美味いな。唐揚げも俺好み。卵焼きも甘くていいな、タコさんウインナーは懐かしいし。料理上手だったんだな、聖也」

「....は?なに褒めてんの。違うし。し、知り合いに食べさせたかったんだけど渡せなかったから、それだけだし!」

「そ、そっか...でも、ありがとな。また作ってくれたら嬉しい。無理は言わないけどさ」

苦笑する俺に聖也は小さく、うん...と小さく唐揚げを齧っていた。



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