上 下
41 / 44

41

しおりを挟む

帰り際、恭一たちを見送る奏斗に、

「奏斗、優斗を三日、学校休ませて」

「三日?ですか?」

そうして、優斗と奏斗は共に三日、学校を休んだ。

一歩、遅かったら犯されていただろう、スラックスを脱がされた姿を奏斗から知らされた二人の母も、優斗の好きな、海老フライやハンバーグ、グラタン等で秘かに優斗を励ました。

母がせっかく作ってくれたのだから、とかなりの時間を要して平らげる姿に、やっぱり食欲がないことに奏斗も母も気付かされる。

「学校には言わないで。お兄ちゃん、余計に目立っちゃうから...」

そうして、奏斗は母を通し、学校には内緒にして貰った。

三日が明け。

不意に奏斗にLINEが送られてきた。

優斗と奏斗の代わりに、恭一、大貴、慶太はそれぞれの部活の学年を問わず、Ωの生徒に、さりげなく、優斗を好きな生徒を聞き出し、

「優斗が好きなら正々堂々と告白しろ」

「優斗になにかしたらタダじゃ済まないからね」

「俺の今彼のお父様、警察官だから、優斗を襲ったりしたら、突き出すよ」

一人一人にそう言って回る中、優斗を襲ったりしたら、と、警察官、のワードにどうも、態度がおかしい三年に恭一たちは気がついた。

『優斗に見せたら思い出しかねないから、奏斗にだけ送るね』

慶太から送られた写メ。

色んな角度から土下座する三年の姿が数枚、送られてきた。

「...容赦ないなあ」

自らも容赦のない、見事なジャンプ力を発揮し、飛び蹴りを二発、お見舞いした奏斗なのだが、写メを見つめ、微かに微笑んだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

真柴さんちの野菜は美味い

晦リリ
BL
運命のつがいを探しながら、相手を渡り歩くような夜を繰り返している実業家、阿賀野(α)は野菜を食べない主義。 そんななか、彼が見つけた運命のつがいは人里離れた山奥でひっそりと野菜農家を営む真柴(Ω)だった。 オメガなのだからすぐにアルファに屈すると思うも、人嫌いで会話にすら応じてくれない真柴を落とすべく山奥に通い詰めるが、やがて阿賀野は彼が人嫌いになった理由を知るようになる。 ※一話目のみ、攻めと女性の関係をにおわせる描写があります。 ※2019年に前後編が完結した創作同人誌からの再録です。

甘えた狼

桜子あんこ
BL
オメガバースの世界です。 身長が大きく体格も良いオメガの大神千紘(おおがみ ちひろ)は、いつもひとりぼっち。みんなからは、怖いと恐れられてます。 その彼には裏の顔があり、、 なんと彼は、とても甘えん坊の寂しがり屋。 いつか彼も誰かに愛されることを望んでいます。 そんな日常からある日生徒会に目をつけられます。その彼は、アルファで優等生の大里誠(おおさと まこと)という男です。 またその彼にも裏の顔があり、、 この物語は運命と出会い愛を育むお話です。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

継ぎはぎ模様のアーヤ

霜月 幽
BL
子猫のアーヤが転生したら、ネコ耳の『獣人』族になっていた。そこは毛皮の色で貴賤が決められ、差別される世界だった。幼いアーヤはそこで大っ嫌いな『人間』族に出会う。もと三毛猫のアーヤが成長し、嫌いなはずの人間と幸せになっていくお話。王子×もと猫の獣人少年 幼児からスタートするので、BLのからみはしばらく先のこととなります。R15禁以上18禁未満な感じです。保険でR18指定にしております。 いきなり可哀想な展開から始まります。 もとが猫なので、獣人となってもたどたどしさがなかなか抜けません。 怪我をしたりなどの流血表現があります。 ムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

お世話したいαしか勝たん!

沙耶
BL
神崎斗真はオメガである。総合病院でオメガ科の医師として働くうちに、ヒートが悪化。次のヒートは抑制剤無しで迎えなさいと言われてしまった。 悩んでいるときに相談に乗ってくれたα、立花優翔が、「俺と一緒にヒートを過ごさない?」と言ってくれた…? 優しい彼に乗せられて一緒に過ごすことになったけど、彼はΩをお世話したい系αだった?! ※完結設定にしていますが、番外編を突如として投稿することがございます。ご了承ください。

ハヤトロク

白崎ぼたん
BL
中条隼人、高校二年生。 ぽっちゃりで天然パーマな外見を、クラスの人気者一ノ瀬にからかわれ、孤立してしまっている。 「ようし、今年の俺は悪役令息だ!」 しかし隼人は持ち前の前向きさと、あふれ出る創作力で日々を乗り切っていた。自分を主役にして小説を書くと、気もちが明るくなり、いじめも跳ね返せる気がする。――だから友達がいなくても大丈夫、と。 そんなある日、隼人は同学年の龍堂太一にピンチを救われる。龍堂は、一ノ瀬達ですら一目置く、一匹狼と噂の生徒だ。 「すごい、かっこいいなあ……」 隼人は、龍堂と友達になりたいと思い、彼に近づくが……!? クーデレ一匹狼×マイペースいじめられっこの青春BL!

ド天然アルファの執着はちょっとおかしい

のは
BL
一嶌はそれまで、オメガに興味が持てなかった。彼らには托卵の習慣があり、いつでも男を探しているからだ。だが澄也と名乗るオメガに出会い一嶌は恋に落ちた。その瞬間から一嶌の暴走が始まる。 【アルファ→なんかエリート。ベータ→一般人。オメガ→男女問わず子供産む(この世界では産卵)くらいのゆるいオメガバースなので優しい気持ちで読んでください】

処理中です...