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しおりを挟む僕はずぶ濡れの兄の手首を掴み、
「先生!欠席します!」
堂々と宣言と許可を得、兄を僕のクラスに連れてきた。
タイムリミットは一時間。
僕のクラスはグラウンド、兄のクラスは体育館。
生徒たちが戻るまでに全身ずぶ濡れな兄をどうにかしなきゃ...。
「ごめんな、奏斗。また、やっちゃった、お兄ちゃん...」
お兄ちゃんのこれまでにない困惑した苦笑はとてつもなく可愛い。
「気にしないで、大丈夫だから...」
ふと視線を落とした先。
兄の白いシャツが水で透け、兄のピンク色の乳首が透けている!
これは一大事、もしαの生徒が戻ってきたりでもしたら...
僕は鞄から慌ててタオルを取り出すと兄の首に掛けた。
透けていた乳首がタオルで隠れ、ホッと胸を撫で下ろすのも束の間。
「ありがとう、奏斗」
満面の笑顔で兄、優斗はそのタオルで濡れた髪をわしゃわしゃと拭き始めた。
...違う、違う、そうじゃない!
まあ、髪の毛も乾かさなきゃいけないのは確かではあるんだけど...。
それならば、と、僕は自分のブレザーを兄の肩に掛け、ふう、と冷や汗を拭った。
まずはずぶ濡れになった兄をどうにかしよう、風邪引いてしまう。
案の定、くちゅん!と兄は可愛いくしゃみを連発し始めた。
兄のクラスに行き、ジャージと鞄を取りに行き、それから、コンクリートで出来た噴水の縁に脚を引っ掛けたのだから、兄が怪我していないか、もししていたら、応急処置しなきゃ!
僕は自分の椅子に座る兄の両肩に手を置き、
「お兄ちゃん!そこから一歩も動かないで!すぐに戻るから!」
急いで兄のクラスに行かなくちゃ!
教室を離れる際、
「絶対だからね!動かないで、そこにいて!お兄ちゃん!」
(...ピンクだった)
鮮明に蘇る兄の透けた乳首が脳内で否応なしに再生されるが、今はそれどころじゃない!
と、そこからの僕は忍者の如く、今までにない瞬足で兄のクラスに向かった。
兄のクラスも体育で誰もいない、僕は兄のジャージが入っている巾着袋の中身を確認し、兄の鞄を持つと、再び、大急ぎで兄を待たせている自分のクラスに戻った。
ハアハア息を切らす僕は戻るなり、暫し、呆然とした。
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