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しおりを挟む授業中、秘かにスマホをチェックした。
契約している、恭一さん、大貴さんから、全くLINEが来ない。
今までなかったこと、非常事態だ。
休み時間は変わらず、兄の教室に出向く。
周りを威嚇する元気が出ない。
「....僕、ちょっとトイレ行ってくる」
兄たちが談笑しているのを眺めていた僕は立ち上がり、兄の学年のトイレを借りる為に廊下を歩く。
「待って、待って、僕も行く」
ふと振り返ると、美少年すぎて躊躇い、契約していない、慶太さんが笑顔で駆け寄ってきた。
トイレに着き、便座に並ぶと、華やかな美貌に見蕩れてしまう。
先日の体重測定で、僕が160センチだったから、並んだところ、僅かではあるが慶太さんが高い。
「恭一や大貴と契約、結んでるんでしょ?」
えっ、と僕は目を丸くし、慶太さんを見た。
「優斗は知らないから安心して、でさー」
並んで、手を洗い終わると、慶太さんが、はい、とハンカチを渡してくれた。
「でさー、良かったら、なんだけど、僕とも契約、結ばない?」
チラ、チラ、と慶太さんがまるで媚びるように僕に目配せしてくる。
(好きな力士さんが増えちゃったから、ポスター、欲しいんだよねえ)
慶太さんの内心がこうだとは僕は知る由もない。
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