幼馴染から離れたい。

離れたい

起きたら俺は病院にいて、腕に点滴を打っていた。


近くには親がいて深刻そうな顔をしてこちらを見つめている。


だがその顔が今にも泣き出しそうだ。


俺は部屋で息荒くしているところを親が病院に連れて行ったようだ。


でもそれは熱でも風邪でもなかった。


そのあと来た医師に話を聞けば、信じられない事実が判明した。










＊＊＊










病院から帰った後、部屋にこもった。


判明した事実が信じられなくて、信じたくなかった。





後天性Ω。





俺はΩになったと。そう医師は言った。


最近のだるさも体の変化が原因だったようだ。




これを朔に知られたら。


βからΩになった、と知られたら幼馴染として側にはいられないだろうか。


αの側には運命の番相応しい人がいるべきだから。


βじゃなくなった俺は朔の側にいてはダメだ。










＊＊＊










俺は学校を今日から1週間ほど休むことにした。


そして両親は俺を心配して渋々だったが仕事で二日ほど家に空けた。


忙しいのに病院まで付き添ってもらってしまった。


こんなはずじゃなかったのに。


俺はβのままで、幼馴染でありたかった。


それ以上の関係も求めるつもりもなかった。


Ωなった今も。


自分を番になんて、おこがましすぎて吐き気がしそうだ。


朔は幼馴染としての俺を求めるのだろうか。





あいつから簡単に離れることができたらいいのに。