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第二十七話 オーガ

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「──!」

 ルリが戻ってきた道を、人より遥かに大きいなにかが歩いて来る。

「オーク……? いや、あれは──」

 徐々に露わになる2体の姿は、俺たちより巨大。
 影にさえ俺たちが隠れそうなほどの魔物には、角が生えている。

「チッ。オーガですか」

 ゴブリンよりも大きいオーク。そのオークより更に巨大なオーガ。
 前世で言えば西洋風の鬼、ってところか。
 だが、元々凶暴で凶悪な種とはいえ、その眼が異様な狂気に満ちている。
 ……魔力残滓の影響、か?

「っ、ゼヤ!?」

 やつらが近づくにつれ、ゼヤの具合はわるそうになる。
 とうとう俺の肩にもたれかかってしまった。

「……大丈夫だ」
「んなわけっ」

 肩に込める力は強いものの、ふだんは研ぎ澄まされているゼヤの魔力が、どこか散乱しているように思う。

「ウォレス、対オーガの経験は?」
「一度あります。……ですが、ここまで戦意が強い者は初めてですね」

 オーガは1体であればC、2体以上はBランク相当の魔物だ。
 基本的に群れることは少ないが、今回の様に弱いゴブリンたちがリーダーとして祭り上げることもある。
 そのためパーティ討伐推奨の魔物。

 目の前の2体は俺たちが少ない人数だからか。はたまた魔力残滓の影響なのか。
 不気味な笑みを浮かべたまま、ゆっくり、真っ直ぐと歩いて来る。

「ルリ、ウォレスをサポートしてあげてくれ」
『任せてでしっ、ムンッ!』

 ゼヤの正体を知らない以上、ルリに着いてもらう方がいいだろう。

「ウォレス! ルリは氷魔法も使える。指示をしてあげてくれ」
「──! 助かります」

 ウォレスが剣をすらりと抜いて構えると、オーガたちはやっと雄叫びをあげた。

「くっ」
「うるさいな……」

 まるでホラ貝の号令のように、戦闘の意志を雄叫びで示したオーガは大きな木の丸太を手に向かってきた。

「やるぞっ」
「はいっ!」

 ウォレスは左、俺は右にいる奴に狙いを定め距離を詰めに行った。

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