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突然のサンちゃんの登場に私含め、お二人も驚いたようで固まっており、ルリ様においてはナイフを振り上げたまま止まっています。
その隙を逃すまいと、サンちゃんは光の速さで私の目の前まで来るとルリ様の腕を、おもいっきり蹴り上げました。
「いったぁああ!!」
蹴り上げられた片腕を抑え、ふらりとバランスを崩すと、追い討ちをかける様にサンちゃんがルリ様の額を鷲掴みにして地面に叩きつけます。
「貴様っ!よくも私のベルに傷を付けたな!!死んで詫びろ!!」
サンちゃんっ!!何ですかそのセリフ!王子様みたいで最高にカッコイイです!!
なんて、頬を少し染めかけましたが、これ以上は本当にルリ様が死んでしまいますね。
「あの、サンちゃん。もうその辺で…。」
「いや、まだだ、まだ足りない!!ベルが受けた傷はもっと深いだろ!!ベルもやり返せ!!」
そう言って、倒れているルリ様の頭の横に手をつき、彼女の頬を片手でがっしり掴んで馬乗りの状態になります。
「おい、女。最後に言い残す事はあるか?」
「ぐっ、かはっ!!くっ、くっそ!クソがっ!!離せよ!」
良かった、まだ死んでいないのですね…。
しかし、安心するのもつかの間です。どうしましょう、どうやったらサンちゃんを止められるでしょうか。
「そ、そいつが悪いんだよ!ビリー様に愛想尽かされてる癖に、まだ諦め悪く擦り寄りやがって!恥を知れ!!」
「それだけか…?言い残す事は。」
サンちゃんの目が怪しく光っています。私の事で大分怒ってくれているみたいですが、本当に彼女を殺してしまいそうな勢いです!
「さ、サンちゃん!す、ストップですっ!!私なら全然大丈夫です!それにやり返すなら私がします!!」
サンちゃんを殺人犯にはしませんよ!と、その思いで、えいえいっと彼女を踏みつけます。
「ガハッ!」
「ど、どうですか!!サンちゃん!しっかり私はやり返せていますか??」
どうだとばかりに踏みつけていると、もう反応がありません。
え、死んでないですよね?意識を失っただけですよね…?
心配になり、サンちゃん、と呼びかけようとすると、サンちゃんはふと思い出したように完全に忘れられていたビリー様の方を、首を半回転にぐるりと回しました。
どうやらルリ様からビリー様をロックオン対象に変えた様です。
これは更にやばいと言うやつなのでは…。
「ああ、そうだ。もっと制裁を受けるべき馬鹿がいたな。」
「ヒッ!!」
先程まで、魂が抜けたように固まっていた彼ですが、命の危機が迫っている事を直感的に感じたのか、小さな悲鳴をあげます。
「貴様が元凶だな…?大体お前みたいなドクズが、ベルの婚約者であったこと自体おかしかったんだ。」
サンちゃんは手をパキパキと鳴らし、腰を抜かしかけているビリー様の方に近づいていきます。
「お、俺に危害を加えたらどうなるか分かっているのか!!と、父さんが許しはしないぞ!!」
「はぁ、まさかと思ったが、これ程までのバカとは…。」
ビリー様…。社交界をお遊びの場と、他の貴族の顔も名前も覚えようとなさらなかったのがまずかったですね。
彼女を知らない者は居ないと思っておりましたけれど…。
「俺はビリー・サン・グラハム!侯爵家の者だぞ!!」
本当に知らないのですね。無知とは恐ろしいものです。サンちゃんは…
「よく聞け、ビリー・サン・グラハム!!態度がでかいぞ!私はサンマリア・ルス・ノーツ!!公爵家の跡取りだ!!」
「!!サンマリア・ルス・ノーツ!?ノーツ家の跡取りは男ではないのか??!」
どうやらビリー様、ノーツ家のことは知っていても、跡取りのサンちゃんのことは全く知らず、男と勘違いしていたみたいです。
「くそっ!女の分際でっ!!」
目にも留まらぬ速さで、サンちゃんが投げたナイフがビリー様の頬を掠め壁に刺さりました。
「その女に、してやられる間抜けな男は蛆虫か?」
「ひぃいぃ!!!」
ビリー様は鋭い眼光と、ドスの効いた声に驚いてバタバタと腰を抜かしながらも部屋の出口に駆け寄り扉を乱暴に開きました。
「おっと、逃げようったって無駄だぜ。」
なっ!!どうして彼もここにいるのですか!?
「アレンちゃん!!?」
その隙を逃すまいと、サンちゃんは光の速さで私の目の前まで来るとルリ様の腕を、おもいっきり蹴り上げました。
「いったぁああ!!」
蹴り上げられた片腕を抑え、ふらりとバランスを崩すと、追い討ちをかける様にサンちゃんがルリ様の額を鷲掴みにして地面に叩きつけます。
「貴様っ!よくも私のベルに傷を付けたな!!死んで詫びろ!!」
サンちゃんっ!!何ですかそのセリフ!王子様みたいで最高にカッコイイです!!
なんて、頬を少し染めかけましたが、これ以上は本当にルリ様が死んでしまいますね。
「あの、サンちゃん。もうその辺で…。」
「いや、まだだ、まだ足りない!!ベルが受けた傷はもっと深いだろ!!ベルもやり返せ!!」
そう言って、倒れているルリ様の頭の横に手をつき、彼女の頬を片手でがっしり掴んで馬乗りの状態になります。
「おい、女。最後に言い残す事はあるか?」
「ぐっ、かはっ!!くっ、くっそ!クソがっ!!離せよ!」
良かった、まだ死んでいないのですね…。
しかし、安心するのもつかの間です。どうしましょう、どうやったらサンちゃんを止められるでしょうか。
「そ、そいつが悪いんだよ!ビリー様に愛想尽かされてる癖に、まだ諦め悪く擦り寄りやがって!恥を知れ!!」
「それだけか…?言い残す事は。」
サンちゃんの目が怪しく光っています。私の事で大分怒ってくれているみたいですが、本当に彼女を殺してしまいそうな勢いです!
「さ、サンちゃん!す、ストップですっ!!私なら全然大丈夫です!それにやり返すなら私がします!!」
サンちゃんを殺人犯にはしませんよ!と、その思いで、えいえいっと彼女を踏みつけます。
「ガハッ!」
「ど、どうですか!!サンちゃん!しっかり私はやり返せていますか??」
どうだとばかりに踏みつけていると、もう反応がありません。
え、死んでないですよね?意識を失っただけですよね…?
心配になり、サンちゃん、と呼びかけようとすると、サンちゃんはふと思い出したように完全に忘れられていたビリー様の方を、首を半回転にぐるりと回しました。
どうやらルリ様からビリー様をロックオン対象に変えた様です。
これは更にやばいと言うやつなのでは…。
「ああ、そうだ。もっと制裁を受けるべき馬鹿がいたな。」
「ヒッ!!」
先程まで、魂が抜けたように固まっていた彼ですが、命の危機が迫っている事を直感的に感じたのか、小さな悲鳴をあげます。
「貴様が元凶だな…?大体お前みたいなドクズが、ベルの婚約者であったこと自体おかしかったんだ。」
サンちゃんは手をパキパキと鳴らし、腰を抜かしかけているビリー様の方に近づいていきます。
「お、俺に危害を加えたらどうなるか分かっているのか!!と、父さんが許しはしないぞ!!」
「はぁ、まさかと思ったが、これ程までのバカとは…。」
ビリー様…。社交界をお遊びの場と、他の貴族の顔も名前も覚えようとなさらなかったのがまずかったですね。
彼女を知らない者は居ないと思っておりましたけれど…。
「俺はビリー・サン・グラハム!侯爵家の者だぞ!!」
本当に知らないのですね。無知とは恐ろしいものです。サンちゃんは…
「よく聞け、ビリー・サン・グラハム!!態度がでかいぞ!私はサンマリア・ルス・ノーツ!!公爵家の跡取りだ!!」
「!!サンマリア・ルス・ノーツ!?ノーツ家の跡取りは男ではないのか??!」
どうやらビリー様、ノーツ家のことは知っていても、跡取りのサンちゃんのことは全く知らず、男と勘違いしていたみたいです。
「くそっ!女の分際でっ!!」
目にも留まらぬ速さで、サンちゃんが投げたナイフがビリー様の頬を掠め壁に刺さりました。
「その女に、してやられる間抜けな男は蛆虫か?」
「ひぃいぃ!!!」
ビリー様は鋭い眼光と、ドスの効いた声に驚いてバタバタと腰を抜かしながらも部屋の出口に駆け寄り扉を乱暴に開きました。
「おっと、逃げようったって無駄だぜ。」
なっ!!どうして彼もここにいるのですか!?
「アレンちゃん!!?」
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