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健全黒字経営目指します!

ゆるキャンライフ

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第54話 ゆるキャンライフ



「これ、こっちの神様なんだ…。知らなかったわ…。あ、マッチョ神殿は作らないけど、この像って神の加護たっぷりらしいよ?霊験あらたかなスゴイ神様像ダンジョンにあります、とか宣伝打てばこのダンジョンのウリになるかも??」 

 あわよくばお布施なんてきたりして!

「…まっちょ神殿?なんだ、そのまっちょって、いや、そうじゃなくてな…、こんな精密で人みたいな複雑な動きの天上神像はこっちじゃねえんだ。街に行ったら教会で見せてやるが、普通の天上神像はただ突っ立った男の像って感じだ。」

 あれ?もしかしてコッチは芸術方面弱い?

「もしかしてコッチはあんまりギリシャ彫刻、じゃなくてあのマッチョ像みたいな人体を精密に再現する美術品って無い感じ?仏像系、いや、ええと…、こんな感じみたいな?」

 スマフォを取り出して突っ立った男系仏像の代表格、茨城のあのデッカい大仏の写真を見せた。山川田の山田から地元茨城土産と称して送られてきたヤツね。山田、土産の意味…。

「…異世界にもあるのか、天上神像…。いや、似てるが違う。コッチは頭に粒はないし、顔はもっと笑ってるな…。」

 こっちは仏像系か…ってレオさん、何故あのマッチョ像が大仏天上神と分かった…?どう見ても全てが全く似てないが…?

「あの、レオさん、つかぬ事をお聞きしますが、何故あのマッチョ像が天上神像ってお気づきに…?」

「ああ、最初は何の像か分からなかったが、よく見たら胸にシンの刻印が彫られてたからな。っと、コウは知らないんだったな。こちらでは神像に各神を表す模様が彫られるんだ。まあ、それぞれ何かしらの意味があるんだが、俺は見た目でわかるようにしただけって思ってる。詳しく知りてえなら教会に行きゃ事細かーく教えてくれるな。」

「いえ、レクチャー結構でございます…。ふーん、神様の刻印ってあるんだ。ありがと、勉強になった!」

「とりあえずコイツはあんまり宣伝すんな。ここまで見事な天上神像があるって教会が聞きつけたら、神官が大量に群がって勝手に神殿扱いされそうだ。」

 それはちょっと…。神殿化なんて宗教色強いとダンジョンへ遊びに来る層が限られてしまうからな…。商売もしたいから困ります…。
 いっそ※宗教勧誘関係お断り!って看板でも立てようかな??
 俺的にはセールスお断りステッカーある事務所には飛び込み営業行かないようにしてたから、結構看板は効果あると思うんだよね…。地球の話だけど…。
 まあ、触らぬマッチョ神に祟りなしか!

「ダンジョン守護神は宣伝しないよう気をつけます。」

 マッチョは宣材に向かないって事で!
 やはりダンジョンはダンジョンをウリにしないとね!

 …はあ、頑張ってダンジョンの構造考えよ…。

 入口に突っ立ったまま話をしてたので、立ち話もなんだからとレオさんを促しリビングに戻ろうとしたら、レオさんはニヤリと笑った。

「おっと、忘れてた。コウ、今日は夜メシに肉食うぞ。」

 夜メシ…。あ!米!
 まだといでもいねえ!!

「ひー!ごめんなさい!まだ米の準備してない!!ちょっとお待ちく、」

「あ、すまん、まだ夜メシ準備しなくていいぞ。さっきエイトールが暴れた場所から帰る途中にシカがいてな、そいつを狩ってきた。血抜きはしたが解体がまだだからこめはそんな急がなくていい。準備できたらシカ焼くぞ。」

 何故か頭をポンポンされた。
 が、ジビエ!!初シカ焼肉!!頭ポンポン許す!!

「おお、レオさんすごい!ヤッター!!シカ焼肉だー!!楽しみ!!」

「あともし薪と塩があったら分けてくれ。」

「オッケー!焼く時出すね!」

 ヒャッホー!巷で噂のジビエ、異世界で食しますぞー!しかもキャンプ飯だー!
 ネット記事で見た時なかなか美味そうに見えたんだよね。一度食ってみたいとは思ったけど、ジビエ料理出す店はお高いトコ多いし、キャンプで鹿料理なんて超アウトドアじゃん…。小学校の行事でしかキャンプした事ない俺にはムリだ…。

 じゃあ解体してくるからなと、とレオさんは外に戻って行った。

「おし、鹿肉!…の前に米といで洗濯干してこよっと。」

 鹿肉テンションでパパッと家事をやっつけた!

「キャンプ飯かー!楽しみだな!…ふむ、肉だけじゃ寂しいから俺も何か出そうかな。デリバリー…、うーん、キャンプっぽくないか。あ、そうだ!レトルトカレーある!キャンプならカレーだよな。あと、おつまみ缶がたしか何個かあったから、ビールと一緒に出しちゃうか!」

 ちょっと楽しくなってきましたよ!
 食材をキッチンに引っ張りだし、

 …お、そうだ!今日は屋上でキャンプ飯しよ!

 テーブルとかソファー準備してグランピング気分とか良くない?お洒落じゃね?
 今日作ったばかりのガラス温室横に、床石をひき竈門かまど、水桶、近くにテーブルセットを準備。あと焚き火オブジェクトも置いてお外焼肉にも対応のシャレオツグランピング風セットだ!とか言いつつもう一気に箱庭で作り上げたぜ!
 さ、食材やら鍋やらをバスケットに詰め準備完了~!あとは炊き立てお米ちゃんとレオさん待ちだね!

「仕事が早いぜ、俺!ふっはっはっはー!」

「確かに早いな。」

 レオさん後ろにいた…。クッ、あなたが仕事早すぎです…。

 仕事チョッパヤなレオさんは石版にこんもり肉を盛って待っていましたな。あれシカ一頭分かな。めっちゃ量ある。

「内臓は捨てたんだが流石にこれ一回で食えねえから、少し保存したいんだが氷室ひむろはあるか?」

 ですよねー。見た感じ、小さい米袋二つくらいの量あるもん。焼肉食い放題すぎるわ。

「えーと、冷蔵庫あるけど…、ちょっと全部は入らないかなあ。あ、そっか、冷蔵庫部屋作るか!」

 キッチンのマイ冷蔵庫が肉しか入らんのはいかんので、横に小部屋作って氷ブロックの水槽置く事にしよう。箱庭の氷、火気がなきゃ溶けないからな。
 ざっと石造の小部屋を作って氷ブロック水槽を配置した。扉は低温をキープできるように二重にした。よし、冷蔵庫部屋完成。

「レオさーん、保存する肉少し小さめにカットして、ラップ…、この透明な紙で包んで。」

 シカ肉ちょっとなまナマしていたから、レオさんにラップ巻いて貰った。血が怖いとかじゃないよ?少しナマ感がお店の肉より凄くてな?

「こんなモンでいいか?」

 最初は初ラップに四苦八苦していたが、最終的にはめっちゃ綺麗にラップを巻かれておられた。…この人、めっちゃ器用だな。

「オッケー、じゃあそこの冷蔵庫部屋の棚に入れて。凍らないけど、低温はキープできるからしばらくは保存できるよ。」

「…かなり冷えてる。氷使いの氷室ひむろよりすげえな…。」

 冷蔵庫部屋からレオさんが少し腕をさすりながら出てきた。うむ、なかなか良い出来のようだ。

チャチャ~チャチャ~チャラリ~♪

「お、ご飯炊けた。じゃあ、キャンプ会場行きますか!」

「キャンプ会場?」

「ふふふ、なんと屋上に作りました。中々の自信作だよ。」

 ハテナ顔のレオさんに肉を持たせて、俺は炊飯器片手に屋上を目指した。洗濯物のカーテンを抜け外にでる。
 ガラス温室の外は夕焼け色の空が広がっていた。


「…すげえな。こんなガラスしかない建物初めてみたぞ…。」

 肉を抱えたレオさんが、夕焼けに照らされたガラス温室を呆然と眺めていた。

「結構綺麗でしょ?タブレットで作ったんだ。」

「…ああ、綺麗だ。」

 洗濯物めっちゃ干してるけどな!
 さあさあ、焼肉始めますぞー!

「レオさん、そこのテーブルに肉置いて。俺、鍋とか取ってくるから、この火打石でそこの焚き火セットに火をつけといて。そこで肉焼くから。」

 ほい、と火打石をテーブルに置き、階下へバスケットを取りに戻った。
 食材やらが詰まったバスケットを抱えて戻ってくると、レオさんが焚き火セットを土魔法?で改造して石版でバーベキュー台みたいなのを作っていた。いや、マジで器用だな。
 よし、俺も準備しちゃうかな!
 竈門かまどに鍋をかけ、レトルトカレーをあっためる。これはいつでも温め直せるから放置しててもオッケー。
 バスケットからおつまみ缶、缶ビールなどを取り出してテーブル並べる。ちょっとラインナップが宅飲み感あるけど、外なのでキャンプです!

「コウ、シカは焼けるまで半タトは掛かるが大丈夫か?」

 シカ肉を焼きながらレオさんが声をかけてきた。

「ん?半タト?よくわからないけど大丈夫!あ、もし良かったら、焼けるまで酒でもいかが?ビールって酒なんだけど、コーラみたいにシュワシュワしてるけど味はホロ苦いの。」

 ビール缶を掲げ、飲みのお誘いだ。

「お、いいな。」

 ビール缶をレオさんに手渡し、

「では、…うーん、そうだな、ダンジョン守護神像設置を記念しまして、ダンジョン守護神にカンパーイ!」

「ぶは、なんだそれ。まあいいか。乾杯!」

 コンとビールをぶつけて乾杯した。

「プハーッ、きくー!」
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