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健全黒字経営目指します!
地味だと言ったな?アレは(略
しおりを挟む第24話 地味だと言ったな?アレは(略
おわ、もしかしてウォールとか言う魔法、よくあるあるな魔法だったか?やべ、俺、はしゃぎすぎた?
「…え、えっと、まあ、あの、土魔法にそんな馴染みなくて…。」
「まあそうだな。ウォールみたいな土魔法使うヤツって言ったら土木屋かマーシナリーばっかりだしな。コウみたいな文官じゃあんまり馴染みないのかもな。」
「そ、そうですね。あんまり建築現場には行かない仕事ですから。ははは…。」
よかった、あるある魔法だけど建築現場系だったぜ…。少しは誤魔化せたかな…。
やっぱ、最初に俺の事情説明しとけばよかった。ここ魔法の世界なのに全く魔法知らない使えないって、箱入り設定でも流石にないよな。どう考えても怪しいヤツ一択じゃん。なんかその内モンスターの仲間扱いされて討伐されそうだわ…。
説明するまでは初見魔法にあんまりテンションあげないようにしよう…。
「土魔法は穴掘りとか地味な土木仕事向きだから、大規模工事とかなきゃ、そうそう街じゃ見ないもんだよな。はー、俺も土魔法以外に適正あれば、もっとド派手なヤツ使うんだがな。」
レオさんは苦笑いしながら土壁をポンポン叩く。
ほー、レオさん土魔法適正なんだ。やっぱ異世界セオリー通りの属性あるんだなあ。火の魔法とかちょっと他のも見てみたい!
「さ、次行くか。この先の窪地までウォールはってくぞ。これは目印にもなるから、何かあって迷った時はこのウォールを辿ってここまで戻るんだぞ。その時は俺もここを目指す。だから下手にあの洞穴に戻ろうとするな。この森は深いからコウには危険だ。」
「は、はい!」
うわ、はぐれる可能性考えてなかった。ちょっとビビる。
迷ったらウォールを辿る。ウォールを辿ってここに戻る。よし、大丈夫。俺は出来るサラリーマン!初取引先で道に迷っても、一旦駅まで戻れる子だ!大丈夫!
レオさんの後ろを離れないよう着いて歩く。
レオさんは所々に現れる分岐した大きめの獣道の片方をウォールで塞いでいく。着々と出来ていく誘導路。
チェックポイントの針葉樹から15分くらい進むと、突然プッツリと森がきれた。
切れた森の先にはお椀状に凹んだ不自然な窪地があらわれた。そこは公園程度の広さで、土というよりは石のような地肌が剥き出しになり草も無く、窪地の縁は小さな岩が囲うよう転がっていた。それはまる写真の月のクレーターみたいだった。
「この窪地はどっかのアホが爆炎で吹っ飛ばした後なんだ。無駄に高火力だったから、いまだに草1本生えねんだわ。誰も来ねえ森の中って言ってもやりすぎだよな。おっかねえ。」
クレーターを見ながら顔を顰めるレオさん。
こわっ!何その爆炎って!草生えない高火力とか怖すぎだわ!
「…えげつない威力ですね。出来ればそんな怖い方とはあんまりお近づきになりたくないです。」
ボロが出ないように当たり障りのないコメントにしたぞ!
「確かにえげつねえな!ま、こんなド派手にやる頭のネジ飛んだヤツなんてあんまりいねえよ。」
ワハハと笑い、レオさんは窪地へ降りて行った。俺もその後に続こうとすると、ストップと手で合図を送ってきた。
「ここに穴開けっから、コウはそこで待っててくれ。」
「あ、はい。」
窪地の縁へ戻る。レオさんは三分の一程度まで降りて、地面に片膝をついた。お、穴掘りの魔法か?えーと、レオさんあの時何て言ってたっけ?エクス…、エクス…、
「"エクスケイブ"」
レオさんが地面に拳を叩きつけると同時に、もの凄い衝撃が足元を襲った!!
ドゥゥゥゥンッ!!!!
「うあッ!!」
まるで地面が激しく波打つようなその衝撃に、バランスを崩して地面にしゃがみ込む。
じ、じ、地震、いや、爆発?!ちょ、この衝撃ヤバいんだが?!
気づけば目の前にもうもうと土煙が立ち昇っていた。
…恐る恐る窪地を覗き込む。
「…あ、穴、デカすぎだろ!!!!」
窪地の真ん中にとんでもない大穴が空いていた。それはトラック一台は軽く入る大穴…。
うおおいッ!!エクスケイブ、ただの穴掘り魔法じゃないから、これぇ!!土魔法が地味なんて嘘だからーーーッ!!
「おし、こんなモンか。」
パンパンと服についた土を払いながらレオさんが縁へ戻ってくる。
「はあ、何て言うか、もう、……すごいですね…。」
語彙力が消滅したが、感想なんてすごいしかないだろ、こんなん…。
「まあな。俺は土魔法だけは得意だからな。」
レオさんは俺の呆然顔を見て、ちょっと得意気にニヤリとした。
「さあ、あとは俺が赤足を追い立てるって段だ。流石に赤足と鬼ごっこなんてのはコウには無理だろうから、コウは俺が戻るまでここで待機だぞ。なあに、半タト(※こちらでの時間。半なので30分。)もかからんさ。ロックスで囲い作っとくからそこに居てくれな。」
熊狩り本格開始ってヤツだな!勿論、
「ええ、待ってます。こう言う時は動かないが鉄則ですからね。」
着いてきません。当たり前です。
しかし半タトとは…?ルイヤの仲間かな?いや、ルイヤも未だ何かわからんけどな…。
「ん、えらい、えらい。良い護衛対象だ。」
ワシャワシャと頭を撫でられる。
ゆ、油断した!レオさん、またほのぼの動物動画を眺める人にクラスチェンジしてた!ぐぬぬ!
半眼でついっと頭撫で撫でを回避する。
「じゃあ、そっちの奥、右手側に囲いを作る。獣避けも兼ねて高めには積むが、上は閉じないから赤足が来たら身を低くして隠れてくれ。」
レオさんが指差した縁の右側は腰くらいの低木が茂っていて、確かに紛れて隠れるには良さそうだ。
「"ウォール"」
ドン。ドン。ドン。ドン。
俺の背丈くらいの壁が3つ、穴と逆側に腰より少し高めの壁が1つ、一畳くらいの小さな部屋を作るように生える。
「"ロックス"」
今度は円柱形をした岩が生えた。高さはやはり俺の背丈くらいで、太さも俺くらい。と、思ったらいきなりレオさんが円柱を掴んで、
「ほいっ!!」
ブッ刺した!!!!
ええええ?!それもしかして囲い?!ロックスを積むとか言ってた囲い?!
…その、それ、どう見ても積むってないよね…?めっちゃブッ刺してるよね…?いや、まあ、囲ってるから囲いに間違いないけどさ…。ちょっと言語チートさんのお仕事を疑うぜ…。
そんな俺にお構いなく、ドス!ドス!と力強くブッ刺しながら小部屋の周りを囲っていく。数分で穴側と侵入側の壁周りにすっかり岩壁ができていた。
うーむ、あの岩絶対重いよな。この人どんな筋肉だよ。これが普通だったらやばいな、異世界傭兵パワー。
「ロックスの強度をぼちぼち上げたから斬撃対策にはなるぞ。だが突っ込まれたら…、うん、まあ、突っ込まれる前に後ろから逃げろよ。」
レオさんがひと仕事終わりと言う風に自分の肩をとんとんしながら、とんでもねえ事を言いおった。
「は?」
嘘だろ?!この人、緊急脱出の判断俺任せかよ!?
「ハハハ、冗談だ。赤足はそっちに行く前に穴に落ちるんだよ、なまじ脚が早すぎてな。」
レオさんが近くの石を思いっきり穴に向かって蹴り飛ばすと、石は縁の岩にぶつかって浮いたが勢いは死なず、そのまま放物線を描いて穴に落ちて行った。
おー、なるほど!これ車は急に止まれないだな!
カーアクション映画にある、スピードを落とし切れなかった車がガードレールを突き抜けて崖ダイブするアレだな!
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