1 / 101
1.転職!転勤!→異世界
朝イチにそれはどうかと思う
しおりを挟むこの小説はゲームやアプリを使うシーンが多々出てきますが、あくまでも小説内の架空のゲーム又架空のアプリですので詳細等を配信元へ問い合わせるなどのアクションはご遠慮下さい。
ーーーーーーーーー
第1話 朝イチからそれはどうかと思う
「じゃ、今日から君がダンジョンマスターだ。良い結果を期待してるよ! 頑張ってね!」
皆さんはじめまして、こんにちは!
つい数時間程前に面接?でこのダンジョンの管理人=ダンジョンマスター、略してダンマスへの異世界転職を果たした俺ちゃんこと鈴木航(31)です!
食品加工業の管理営業部出身で些か畑違いではありますが、はじめての業務 (ダンマス)張り切って頑張っちゃうぞ~⭐︎
「……なぁぁぁーーーんてッ!!!! 言うかぁぁぁーーーッ!!!! 畑違いどころか世界違いだわーーーッ!!!! つーか、ここもう異世界だったわーーーッ!!!! あーあーあーあーッ!!!!」
俺の魂の叫びと愛用の通勤カバンが足元に叩きつけられる音が洞窟の岩壁(多分新しい職場)に滅茶滅茶反響した。
(正直、ちょっと響きすぎてビックリした…)
「はあ、これからどうしよ…。」
叫んでも呟いても一人きりの洞窟内では返事もなく、俺は先程地面に叩きつけたカバンを座布団に座りこんだのだった…。
ーーーこの話は、転職先は新天地ともよく言うが、本当に転職で『新天地』に来てしまった俺の異世界転職よもやま話である。
よかったらダンジョンマスターに転職する時の足しにでも聞いていってくれ!
…いや、普通ダンジョンマスターにならねーから!!(セルフツッコミ強打)
§
事の始まりは、朝。
ピヨピヨピヨーッピヨピヨピヨーッ
「………うぅ、」(ポチッ)
しがない社畜サラリーマンな俺は毎朝定時の小鳥の囀り(スマフォのアラーム音)に起こされ、寝起きの冴えない身だしなみを洗面やらなにやらでなんとかし、テレビから流れる朝のニュースを脇目に昨日買っておいたコンビニパンをもそもそと食して、詰まらないよう買い置きの缶コーヒーで適当に流し込む。
『………今朝の関東地方は青空がひろがり、このまま夜まで久しぶりによい天気と………』
優雅の"ゆ"の字も何もない独身貴族の朝の時間は短く、お天気お姉さんの天気予報をBGMにまあまあ草臥れ気味スーツに身を包み、スーツ同様まあまあ草臥れ気味通勤バックを肩に掛け、本日も馬車馬の如くこき使われにアパートのドアを出たのだ。
数年住んで手に馴染んだドアノブをガチャリと回して…。
ーーーが、外に出た筈なのに気づいたらガラス張りの外資系謎オフィスに入室していた。
そこは落ち着いたグレーベースの内装、天板が木目の高級感溢れるオフィスデスク、机上にスタイリッシュなノーパソと多分家族の写真がはまった写真立て。壁には前衛的なモノクロのデザイン画がかかり、飾り棚にはモダンな天球儀のような金属オブジェと、まるで外国映画のセットのようなセレブオフィスだった。
そう、日本よくある、事務デスクを詰め込み、机上は絶妙なバランスの資料ファイルタワー、壁に地味な弊社ポスターな安狭いオフィスでは決してなかった。
「…えっ、は??」
俺はドアノブを押し開けた微妙なポーズで固まっていたようだ。わかりやすく例えると非常口のピクトグラムのポーズである。
姿勢を正しバッとあたりを見渡したが、先程出た筈の安アパートのドアなんてなく、俺の現在地はどう見ても知らないシャレオツオフィスのど真ん中だった…。
「………。」
思考停止から無意識にケツポケットのスマフォを取り出していた。
画面を見れば時刻は7時45分、ホーム画像はネットで見つけたネコチャンだ。あは、やっぱ香箱座りネコチャン可愛いなぁ………、
「って、いやいや! ここどこぉぉぉ?!?!」
癒しのネコチャン画像を持ってしても現状を受け入れる事は度し難かった。
だってアパートの外がシャレオツオフィスってどう言う事象?
え、夢? 実はまだ寝てて起きてない感じ? って言うか会社行く夢とか俺、社畜すぎん? でもシャレオツオフィスに出社とかそろそろ弊社社畜卒業の時……ついに来たる?!
なんて色々考えてみたが流石にちょっと変な夢すぎる。ので、自発的に起きようと決心した。
切り替えの早さには定評がある俺、よし、ここは一発セルフビンタ!を決めようと空いた片手を振り上げた、
その時ーーー、
「あははは、君面白いね! 実に面白いよ。なんでセルフビンタなの? 頬抓るとかじゃないの? そしてその猫ちゃんホームいいね!」
背後から突然楽し気なイケオジボイスをかけられた。
「ひぃわっ?!」
気づけばいつの間にか何者かに背後を取られていた! しかも覗き込まれる近さで背後を取られていた!
あまりの近さに驚き情けない悲鳴をあげながら、パーソナルスペース以上の距離へ飛び退いたのだが…、
「おやおや、そんな驚かなくてもいいじゃないか。」
「っうぐッ!!」
完全に飛び退く前にグッと通勤バックの紐を後ろから掴まれ、引かれた紐が胸に食い込んだ。そのまま前のめりに膝から崩れ落ちる。
「ああ、すまない。ちょっと引き過ぎたようだ。大丈夫かな?」
見上げた目線の先には、こちらへ片手を差し出す少し困った笑顔を浮かべたイケオジがいた。
ぱっと見でも仕立ての良さそうな黒スーツ黒ネクタイを纏った180センチ越えの長身に、少しウェーブがかった金髪を後ろに流した彫りの深い顔は明らかに日本人ではなかった。
少し目尻などに皺があり年齢は40代半ばくらいに見えるが、所謂黄金比的な配置の整った目鼻だちから顔面偏差値はハリウッド級男前激高値である。
まさに文字通りのイケメンオジ様だ。
「い、イエスッ! イエス! ノープロブレム!」
俺は何を血迷ったか片言英語?と大きく手振りをして無事をアピールしたが、イケオジ様がブッと吹き出した事により先程からずっと彼が日本語で話しかけていた事に気づいた…。
外国人苦手日本人あるあるをやらかしてしまった…。顔から火が烈火の如く噴き出しそうである…。
脳内で似非外国人風にオーマイガッ! しながら、目を合わせず急いで立ち上がった。切り替えの早さには定評が(略
「…大丈夫です…。どうもお騒がせしました。では失礼いたします。」
平静を装い速やかに退室!
と、出口らしきガラス戸へクルリと踵を返し向かおうとしたが、そうは問屋が卸さなかった。
「おっと、君、お帰りはまだだよ。」
「!?!?」
後ろにいた筈のイケオジ様は俺の前に瞬間移動?し退路を阻み、そのままガッチリと肩を組んで窓際のソファーまで(シャレオツオフィスなので定番の応接セットもあるよ!)連行の澱みない流れをキめられる。
勢いに流されるままにソファーに腰掛けさせられると、目の前のローテーブルに湯気がたつコーヒーが入ったにゃんこ柄の可愛いマグカップがセットされていた。
「サーバーのコーヒーだけど味は悪くないよ。あ、勿論君好みのミルク砂糖アリアリだから。」
向かいに座ったイケオジ様がウィンクしながら、どうぞと言うように自分用のにゃんこ柄マグカップをくいっと持ち上げた。
「………。」
なんで俺が甘党だって知ってるのだろうか…?
…いやそれよりまず、あのコーヒー…。この部屋、見た感じコーヒーサーバーのような物はないし、さっきまでコーヒーの香りなんかも一切しなかった。
…そしてイケオジ様は今の今まで俺と一緒で部屋から出なかった。
いまこのコーヒーどこから出てきた…?
10
お気に入りに追加
265
あなたにおすすめの小説
気まぐれ店主ののんびり?生活
朝比奈和花
BL
週に3日だけ開くカフェ。
周りには気まぐれカフェとして知られている。
メニューも1種類だけでシェフの気まぐれでメニューが決まってしまう。
のんびり生活することを目指す店主がいつの間にかあれやこれやと過ごしていく、オチなしヤマなしのほのぼの話です。
薄幸系オメガ君、夜の蝶になる
Q.➽
BL
見た目は繊細な薄幸"風"美青年なのに、天然で雑な性格ゆえに大事なとこで突っ走る危うい系主人公・白川 蛍(しらかわ けい Ω)。
中学で父を亡くした蛍は、体の弱い母が倒れた事を機に、経済的困窮を理由に高校進学を断念して製菓会社の工場に就職する事を決めた。青春を謳歌する同世代達を尻目に、大人ばかりの職場で頑張る蛍。
だが勤続5年目のある日、不況による業績悪化を理由とした人員削減の憂き目に遭ってしまう。しかし、落ち込む暇もなく再就職先を探す日々が始まった。が、学歴とバース性を理由に、なかなか採用にならない。
(このままでは母子2人、食い詰めてしまう)
思い詰めた蛍は、とうとう目に止まった怪しげな夜の店の募集広告に応募。面会で即採用となり働き始めるが、そこは男性客が男性客を接待する高級クラブだった。
営業が始まり、蛍はαのイケメンVIP客・羽黒の個室席に行くよう言われるのだが、部屋のドアを開けた途端に空腹と貧血で倒れてしまう。幸か不幸か、それを機に羽黒のお気に入りとなった蛍だったが...。
◆白川 蛍(しらかわ けい)20歳 Ω 受け
色素薄い系。天然ウェーブの茶髪、茶目。
容姿は母親似の線の細い美形。しかし性格は何かと大雑把だった父親似。
ただ、基本的には良い子なので、母を支えなければとの責任感から突っ走りがち。
◆羽黒 慧生(はぐろ えいせい)28歳 α 攻め
黒髪黒目長身筋肉質、眉目秀麗にして性格は温和で優しくスーツが超絶似合うという、おおかたの女子とオメガが大好物な物件。誰にでも人当たりが良いのだが、実は好みが超絶うるっさい。何かとおもしれー男が好き。
※更新頻度はゆっくりです。
とある腰痛持ちと整体師の話
つむぎみか
BL
酷い腰痛を患った26歳男性の、あまり公言したくない秘密とは?
ちょっとしたコンプレックスを持った腰痛持ちの会社員が、ゴッドハンドと噂される整体師の施術を受けて、ガチガチになった心と身体を解きほぐされるお話。
生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています
根古川ゆい
BL
転移した異世界でアキトが出会ったのは、ハルという名の幽霊だった。優しいハルに異世界事情を教えてもらいながら領都を目指し、何とか無事に冒険者になることができた。この世界でも異質な幽霊が見える力は誰にも内緒――の筈だったのに、何でこうなった。
この世界にはかつて精霊がいて、今では誰も見ることはできず話すこともできない。うっかりハルに話しかけているのを見られてから、精霊が見える人認定されたアキトの異世界生活。
※幽霊は出てきますが、オカルト要素は強くないです
※恋愛要素が出てくるまでは長いです
王様ゲームで弄ばれる話
ミツミチ
BL
飲み会のあとに立ち寄った後輩の家で、後輩らに王様ゲームで弄ばれるチョロ先輩の話
(冗長没カットのおまけの初夜 https://mitsumichi.fanbox.cc/)
俺はモブなので。
バニラアイス
BL
冷酷な第二王子×悪役令息の取り巻きモブの話です!
ちなみにモブが溺愛されます!
初めて書くので誤字脱字お許しください💦
似ている作品があるかもですが先に謝っておきますごめんなさい🙏💦
職場では怖いと噂の旦那さまに溺愛されてます♡
おもち
BL
旦那さま×ハニーの新婚バカップルのあほえろ
タイトルが『♡』のものがスケベです。
こういうのだけを摂取して生きていたい…
旦那さま⇨スパダリ、無自覚に束縛をしている厄介、お仕事はちゃんとできる有能
ハニー⇨聖母、ぴゅあぴゅあだったのに旦那さま色に染められている、束縛されている自覚は無い、太陽
なんとなく名前は出さないようにしたい気持ち
断罪希望の令息は何故か断罪から遠ざかる
kozzy
BL
病魔に倒れ命を散らした僕。あんなこともこんなこともしたかったのに…。
と思ったら、あるBLノベルゲー内の邪魔者キャラに転生しちゃってた。
断罪不可避。って、あれ?追い出された方が自由…だと?
よーし!あのキャラにもこのキャラにも嫌われて、頑張って一日も早く断罪されるぞ!
と思ったのに上手くいかないのは…何故?
すこしおバカなシャノンの断罪希望奮闘記。
いつものごとくR18は保険です。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』書籍化となりました。
7.10発売予定です。
お手に取って頂けたらとっても嬉しいです(。>ㅅ<)✩⡱
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる