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第二十二夜 運命の力
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第二十二夜 運命の力
「は、嫁?!」「嫁?!」
ちょ、おま、ドサクサに紛れて何言ってんの?!
「…ああ。彼は俺の大事な嫁なんだ。魔王を倒した後に一生を共にって誓い合ってね。結婚して俺の世界に一緒に帰るところだったんだ。でも、そんな生涯最高の時にあの忌まわしい呪いが…。あのまま呪いが解けなかったら俺は…、俺は愛する嫁をこの手で殺してしまったかもしれない。…勇者、本当に感謝している。ありがとう。」
俺の手に擦り寄り、ニッコリエル。
って、おバカああああああ!!
何、勝手に嫁設定作って盛ってんじゃああああああ!!
そして擦り寄りの意味ちげええええ!!
「は? そちらの至高のエルフ様が、ーーー嫁…? 嫁ってあのヨメ…? あのヨメって奥さん? え、待って、世界の宝であるエルフ様って奥さんにしていい存在…? え、それ許される世界がある…? え? 待って? は?」
「おいっ、大丈夫か?!」
「勇者様?!」
勇者君 は こんらん した!
ヤバい、なんか変な方向に向かってるぞ?!
特に勇者君の嫁に対する何かが!
チラッとエルを見ると何故か笑顔で勝ち誇ったツラをしている。狼尻尾もピンとご機嫌に立っている、ってコラ!勇者ムーブで擦り寄りはどうした?!
「…えっと! あの、こちらの世界の勇者様! よろしかったら、俺達もあなた方のパーティーに参加しても宜しいですか? 魔王と対峙してると聞きます。元勇者の彼と俺では力不足かも知れませんが、むこうの魔王退治の経験が何かの役に立つかもしれません。」
話の方向を無理やり勇者パーティー加入へ向けさせる。もう俺がすり寄るしかない!
「…あ、ええと、そちらの勇者も我々の力に? 確かにそれは戦力的に助かるな。しかし今は…、何というか、何故だかよくわからないがいつの間にか魔王を倒すと言う話が無くなりそうなんだが…。」
嫁ワードのゲシュタルト崩壊を起こしたかけた遠い目の勇者君にかわり、王子が受け答えてくれた。
あー王子、ちゃんと王子してるな…。エロ特化王子じゃなくて良かったよ…。
うん、これならなんとかダブル勇者ストーリーに持ってけそうだ。
俺はゆっくりと立ち上がり王子の元へ歩み寄る。そして王子の前で少し俯きながら胸に手を当てた。
「俺達の世界で魔王は完全な悪でした。俺の国はその悪に滅ばされもうありません。もしこちらでも悪であれば何千のも命が…。俺はそれを許せない。必ずこの手で…。でも、もし、…もし戦わない平和への道があるなら、その未来をこの目で見てみたいのです。」
すっと顔上げ、胸に当てていた手をグッと握り締めちょっとだけ悲し気に笑う。
「俺達も一緒に行かせてください…。」
「エルフ様…。」
数々の後始末現場で鍛えた俺のなりきり演技が火を噴くぜい!!
…そしてちょっとだけフールオブウィズダムのゼオが寝返った時のセリフをパクってみた。この泣かせセリフ…、やっぱゼオは最高であるな!
「…(ゼオ、最高か…。)」
いつの間にか背後に立っていたエルがぼそっと小声で呟く。
さすがナイミリファン。よくぞこのゼオネタに気づいたな…って、いやエル、これ本来ならお前が言うセリフだぞ?
「ううっ、健気エルフ尊いぃ…。健気尊すぎて神ってますぅ…。やはりエルフ様は最高ですぅ…。心のいいね連打がとまりませんん…。俺がエルフ様についていきますぅ…。」
更にいつの間にか復活した勇者君が王子を押し退け、俺の前で跪いてポロポロと泣きながら手を組み祈っていた…。
えええ、この子何故泣きながら祈ってんの…?!
「あ、あの、勇者様どうか立ってください! 勇者様に無理なお願いしてるのはこちらですので!」
延々と祈りを捧げる勇者君を立ち上がらせようと、しゃがみ込み手を勇者君の肩に置いた瞬間、
「ピャアアああああッっ?!?!」
「えっ?!」「勇者?!」
勇者君は謎の奇声を発しながら飛び上がり、横にいた王子の後ろに抱きつくように隠れた…。
俺と王子はハトに豆鉄砲レベルで驚いた…。
「…え、あの、何が、」
「勇者、一体…、」
「◎△$♪×¥●&%#?!」
え? なんて?
「サイ、彼は君のあまりの美しさに驚いたんだよ。はは、俺の嫁は世界で一番美しいから仕方ない。そちらの勇者が落ち着くまでその美しい顔はフードで隠しておこうな。」
エルが素早く俺の腰を抱き寄せ、こめかみにチュッとリップ音をたてながらキスをしつつ俺のローブについてるフードを被せた。
ちょっ?! おま、人前で何してくれてんの?!
「ああ、素敵なご夫婦ですねぇ。」
「めっちゃ嫁さん溺愛…。」
「ふふ、見ているこちらが妬けそうだな。」
「グヌヌゥゥゥッ!!」
うああ微笑ましいモノ視線が…さ さ る … !(但し、一部ギラついた何かも含む)
「さて、先程俺の嫁が話した件だが…、俺からも頼みたい。是非君達に同行させてくれ。」
エルがやっと勇者ムーブし始めた。
…つーか遅いし、俺の嫁言い過ぎ!
「ちょっと待って。」
おや、魔法使い君が出てきたぞ?
「あんたら、この前ホテルにいたよな?」
「…(えっとサイ、これどうしたらいい?)」
チラッとエルがこちらに戸惑いの視線を送る。
さすが魔法使い君、頭脳職。よく覚えてたな。
大丈夫、想定内だ。まかせとけ!
「ええ、確かに『あの場』にいました。あの日はあのホテルの温泉があらゆる病いに効くと聞いて、もしや勇者の呪いにも効くかもしれないと思い、たまたま足を運んだ日でした。」
「…へえ、そうなんだ。たまたま、ね。」
魔法使い君は未だ訝しげにこちらの出方を伺っている。ちなみに勇者君は全てを信じて疑わない目で俺を見ている。若干、その狂信者眼怖いよ…。
フードの下でちょっと震えた。
だがしかし、俺は負けん。まだまだ攻めるぞ、魔法使い君。
「全てが偶然のタイミングであの場に居合わせてしまって、まさか魔王と勇者様があんな事になるとは…。一応、戦いになるならコチラもと控えていたんですが…。」
「まあ、アイツが割って入って…、「おやおや、お義母様の事をアイツなんて言ってはいけませんよ?」…、チッ! なんでお前がアイツをお義母様って…!くそっ、コッチみんな! …アレだ、ヘルメーウ卿が無理矢理あいだに入ってきたからな!」
神官君のジットリとした生温かい眼差しに負けた魔法使い君は苦々し気にお義母様のお名前を吐き捨てた。
まあ、自分の母ちゃんが喧嘩の仲裁に来たとかは言えないよな…。
…それにしても神官君、空気ぶち壊しマンすぎてせっかくの魔法使い君のシリアスターンが台無しだよ…。
「ええ、彼のおかげでどちらの矛先も収まって良かったです。彼がいなかったら、あの場と言うかあの一帯が焼野原になっていたかもしれませんね…。」
「ふん…、確かにね。俺達だけなら間違いなく魔王と戦ってた。」
苦々しい表情は変わらないが、少し態度が軟化の気配。よしよし。
「しかし…、せっかく場が落ち着いたのに、こちらも元勇者の運命力でも働いたのか、またこちらでも魔王に目をつけられるなんて…。」
「勇者の、運命力…。」
ぼそっと勇者君が呟いた。
そして目を細めて自分の両手の手のひらを見つめた。
その姿から俺はそっと目を逸らす…。
(シリアスのところ、スマン…。運命力ってのは適当に言った…!)
「勇者、全てが偶然って嘘みたいだけど、多分全てが勇者に繋がってる。前の世界での俺がそうだった。俺と君の出会いは間違いなく俺達勇者の運命だ。ーーーだから勇者、俺は必ず君の力になる。」
「勇者さん…!」
先程までシリアスに飲まれていた勇者君がキリッと決めたエルをキラキラとした目で見つめはじめた。
ナイス、エル!カッコいい先輩勇者セリフだ!
よし、ここでもうひと押し!!
「正式な勇者召喚されてないこの世界で俺達に出来る事は少ないかもしれないです。でも経験と知識はあります。勇者様、俺達の力使ってください。」
勇者君の中途半端に上げた手に俺の手を重ねた。
「~~~ッッッ?!?!」
「「「…勇者?!」」」
バタンと勇者君は後ろに倒れ…。
えええ、マジか…。なんか鼻血垂らして気を失ってるんだが…。
「…すまない。ええと、勇者は少し疲れたみたいだ。私がかわりに…。是非、私達と一緒に来て欲しい。私も勇者を支える身だ。戦力は多いに越した事はない。」
「ちょっと無理やりな話だけど…、まあ二人とも強いっぽいし、面白そうだから信じてもいいか。」
「私はお二人から至高の愛を感じました。愛は世界の礎です。彼もまた勇者で間違いありませんね。」
勇者君を介抱しながら勇者パーティーは俺達を受け入れてくれた。
「ありがとう。」
「ありがとうございます。」
なんとかパーティー加入もまとまって、事務的な事を打ち合わせする。
事務的打ち合わせとは言っても、まだお義母様から連絡がないのでどこに滞在するとかまた集まって話し合いしたいね、くらいだったが。
勇者君が無事意識を取り戻した後、ダンジョン備え付け転移陣で入り口に戻った。
同じ宿に帰るので、今回はみんな仲良く徒歩で移動した。(行きに使ったトカゲ車は来た時に戻りの保証がなく帰したそう)
道中の雑魚退治時、魔法使い君が初めて見る俺の小手先魔法にめちゃめちゃ食いついてきて少々疲れた! これだから魔法職は!(だが気持ちはわかる)
半日くらいで温泉街につき、また明日~と無事解散した。
<次回予告>
例え世界が決めた勇者の運命力だとしても彼らは己の心信じる。望んだ未来に進む為に。
次回、掬い上げるは。『第二十三夜 言の葉に』
お楽しみに!
「ハッピーラッキーみんなに臨時手当と~どけ!」
※次回予告はあんまり本編に関係ありません。
「は、嫁?!」「嫁?!」
ちょ、おま、ドサクサに紛れて何言ってんの?!
「…ああ。彼は俺の大事な嫁なんだ。魔王を倒した後に一生を共にって誓い合ってね。結婚して俺の世界に一緒に帰るところだったんだ。でも、そんな生涯最高の時にあの忌まわしい呪いが…。あのまま呪いが解けなかったら俺は…、俺は愛する嫁をこの手で殺してしまったかもしれない。…勇者、本当に感謝している。ありがとう。」
俺の手に擦り寄り、ニッコリエル。
って、おバカああああああ!!
何、勝手に嫁設定作って盛ってんじゃああああああ!!
そして擦り寄りの意味ちげええええ!!
「は? そちらの至高のエルフ様が、ーーー嫁…? 嫁ってあのヨメ…? あのヨメって奥さん? え、待って、世界の宝であるエルフ様って奥さんにしていい存在…? え、それ許される世界がある…? え? 待って? は?」
「おいっ、大丈夫か?!」
「勇者様?!」
勇者君 は こんらん した!
ヤバい、なんか変な方向に向かってるぞ?!
特に勇者君の嫁に対する何かが!
チラッとエルを見ると何故か笑顔で勝ち誇ったツラをしている。狼尻尾もピンとご機嫌に立っている、ってコラ!勇者ムーブで擦り寄りはどうした?!
「…えっと! あの、こちらの世界の勇者様! よろしかったら、俺達もあなた方のパーティーに参加しても宜しいですか? 魔王と対峙してると聞きます。元勇者の彼と俺では力不足かも知れませんが、むこうの魔王退治の経験が何かの役に立つかもしれません。」
話の方向を無理やり勇者パーティー加入へ向けさせる。もう俺がすり寄るしかない!
「…あ、ええと、そちらの勇者も我々の力に? 確かにそれは戦力的に助かるな。しかし今は…、何というか、何故だかよくわからないがいつの間にか魔王を倒すと言う話が無くなりそうなんだが…。」
嫁ワードのゲシュタルト崩壊を起こしたかけた遠い目の勇者君にかわり、王子が受け答えてくれた。
あー王子、ちゃんと王子してるな…。エロ特化王子じゃなくて良かったよ…。
うん、これならなんとかダブル勇者ストーリーに持ってけそうだ。
俺はゆっくりと立ち上がり王子の元へ歩み寄る。そして王子の前で少し俯きながら胸に手を当てた。
「俺達の世界で魔王は完全な悪でした。俺の国はその悪に滅ばされもうありません。もしこちらでも悪であれば何千のも命が…。俺はそれを許せない。必ずこの手で…。でも、もし、…もし戦わない平和への道があるなら、その未来をこの目で見てみたいのです。」
すっと顔上げ、胸に当てていた手をグッと握り締めちょっとだけ悲し気に笑う。
「俺達も一緒に行かせてください…。」
「エルフ様…。」
数々の後始末現場で鍛えた俺のなりきり演技が火を噴くぜい!!
…そしてちょっとだけフールオブウィズダムのゼオが寝返った時のセリフをパクってみた。この泣かせセリフ…、やっぱゼオは最高であるな!
「…(ゼオ、最高か…。)」
いつの間にか背後に立っていたエルがぼそっと小声で呟く。
さすがナイミリファン。よくぞこのゼオネタに気づいたな…って、いやエル、これ本来ならお前が言うセリフだぞ?
「ううっ、健気エルフ尊いぃ…。健気尊すぎて神ってますぅ…。やはりエルフ様は最高ですぅ…。心のいいね連打がとまりませんん…。俺がエルフ様についていきますぅ…。」
更にいつの間にか復活した勇者君が王子を押し退け、俺の前で跪いてポロポロと泣きながら手を組み祈っていた…。
えええ、この子何故泣きながら祈ってんの…?!
「あ、あの、勇者様どうか立ってください! 勇者様に無理なお願いしてるのはこちらですので!」
延々と祈りを捧げる勇者君を立ち上がらせようと、しゃがみ込み手を勇者君の肩に置いた瞬間、
「ピャアアああああッっ?!?!」
「えっ?!」「勇者?!」
勇者君は謎の奇声を発しながら飛び上がり、横にいた王子の後ろに抱きつくように隠れた…。
俺と王子はハトに豆鉄砲レベルで驚いた…。
「…え、あの、何が、」
「勇者、一体…、」
「◎△$♪×¥●&%#?!」
え? なんて?
「サイ、彼は君のあまりの美しさに驚いたんだよ。はは、俺の嫁は世界で一番美しいから仕方ない。そちらの勇者が落ち着くまでその美しい顔はフードで隠しておこうな。」
エルが素早く俺の腰を抱き寄せ、こめかみにチュッとリップ音をたてながらキスをしつつ俺のローブについてるフードを被せた。
ちょっ?! おま、人前で何してくれてんの?!
「ああ、素敵なご夫婦ですねぇ。」
「めっちゃ嫁さん溺愛…。」
「ふふ、見ているこちらが妬けそうだな。」
「グヌヌゥゥゥッ!!」
うああ微笑ましいモノ視線が…さ さ る … !(但し、一部ギラついた何かも含む)
「さて、先程俺の嫁が話した件だが…、俺からも頼みたい。是非君達に同行させてくれ。」
エルがやっと勇者ムーブし始めた。
…つーか遅いし、俺の嫁言い過ぎ!
「ちょっと待って。」
おや、魔法使い君が出てきたぞ?
「あんたら、この前ホテルにいたよな?」
「…(えっとサイ、これどうしたらいい?)」
チラッとエルがこちらに戸惑いの視線を送る。
さすが魔法使い君、頭脳職。よく覚えてたな。
大丈夫、想定内だ。まかせとけ!
「ええ、確かに『あの場』にいました。あの日はあのホテルの温泉があらゆる病いに効くと聞いて、もしや勇者の呪いにも効くかもしれないと思い、たまたま足を運んだ日でした。」
「…へえ、そうなんだ。たまたま、ね。」
魔法使い君は未だ訝しげにこちらの出方を伺っている。ちなみに勇者君は全てを信じて疑わない目で俺を見ている。若干、その狂信者眼怖いよ…。
フードの下でちょっと震えた。
だがしかし、俺は負けん。まだまだ攻めるぞ、魔法使い君。
「全てが偶然のタイミングであの場に居合わせてしまって、まさか魔王と勇者様があんな事になるとは…。一応、戦いになるならコチラもと控えていたんですが…。」
「まあ、アイツが割って入って…、「おやおや、お義母様の事をアイツなんて言ってはいけませんよ?」…、チッ! なんでお前がアイツをお義母様って…!くそっ、コッチみんな! …アレだ、ヘルメーウ卿が無理矢理あいだに入ってきたからな!」
神官君のジットリとした生温かい眼差しに負けた魔法使い君は苦々し気にお義母様のお名前を吐き捨てた。
まあ、自分の母ちゃんが喧嘩の仲裁に来たとかは言えないよな…。
…それにしても神官君、空気ぶち壊しマンすぎてせっかくの魔法使い君のシリアスターンが台無しだよ…。
「ええ、彼のおかげでどちらの矛先も収まって良かったです。彼がいなかったら、あの場と言うかあの一帯が焼野原になっていたかもしれませんね…。」
「ふん…、確かにね。俺達だけなら間違いなく魔王と戦ってた。」
苦々しい表情は変わらないが、少し態度が軟化の気配。よしよし。
「しかし…、せっかく場が落ち着いたのに、こちらも元勇者の運命力でも働いたのか、またこちらでも魔王に目をつけられるなんて…。」
「勇者の、運命力…。」
ぼそっと勇者君が呟いた。
そして目を細めて自分の両手の手のひらを見つめた。
その姿から俺はそっと目を逸らす…。
(シリアスのところ、スマン…。運命力ってのは適当に言った…!)
「勇者、全てが偶然って嘘みたいだけど、多分全てが勇者に繋がってる。前の世界での俺がそうだった。俺と君の出会いは間違いなく俺達勇者の運命だ。ーーーだから勇者、俺は必ず君の力になる。」
「勇者さん…!」
先程までシリアスに飲まれていた勇者君がキリッと決めたエルをキラキラとした目で見つめはじめた。
ナイス、エル!カッコいい先輩勇者セリフだ!
よし、ここでもうひと押し!!
「正式な勇者召喚されてないこの世界で俺達に出来る事は少ないかもしれないです。でも経験と知識はあります。勇者様、俺達の力使ってください。」
勇者君の中途半端に上げた手に俺の手を重ねた。
「~~~ッッッ?!?!」
「「「…勇者?!」」」
バタンと勇者君は後ろに倒れ…。
えええ、マジか…。なんか鼻血垂らして気を失ってるんだが…。
「…すまない。ええと、勇者は少し疲れたみたいだ。私がかわりに…。是非、私達と一緒に来て欲しい。私も勇者を支える身だ。戦力は多いに越した事はない。」
「ちょっと無理やりな話だけど…、まあ二人とも強いっぽいし、面白そうだから信じてもいいか。」
「私はお二人から至高の愛を感じました。愛は世界の礎です。彼もまた勇者で間違いありませんね。」
勇者君を介抱しながら勇者パーティーは俺達を受け入れてくれた。
「ありがとう。」
「ありがとうございます。」
なんとかパーティー加入もまとまって、事務的な事を打ち合わせする。
事務的打ち合わせとは言っても、まだお義母様から連絡がないのでどこに滞在するとかまた集まって話し合いしたいね、くらいだったが。
勇者君が無事意識を取り戻した後、ダンジョン備え付け転移陣で入り口に戻った。
同じ宿に帰るので、今回はみんな仲良く徒歩で移動した。(行きに使ったトカゲ車は来た時に戻りの保証がなく帰したそう)
道中の雑魚退治時、魔法使い君が初めて見る俺の小手先魔法にめちゃめちゃ食いついてきて少々疲れた! これだから魔法職は!(だが気持ちはわかる)
半日くらいで温泉街につき、また明日~と無事解散した。
<次回予告>
例え世界が決めた勇者の運命力だとしても彼らは己の心信じる。望んだ未来に進む為に。
次回、掬い上げるは。『第二十三夜 言の葉に』
お楽しみに!
「ハッピーラッキーみんなに臨時手当と~どけ!」
※次回予告はあんまり本編に関係ありません。
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