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友達以上恋人未満
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あれからしばらくして……。
俺とレノアは、港町の南側つまりはセカンド森をユニコーンに跨り通り抜けようとしていた。
が、森が入り組んできた関係で俺達は断念して歩き始めたわけで。
「なあ? よく考えたらさ、ドラゴンに跨って空から行けば楽だったんじゃね?」
レノアの光の精の明かりを頼りに、俺は森の木技をかきわけて進んでいく。
「そうしたんかったんだけどさ、ここの森の中腹だけわね、空からはいけないんだよね」
俺の後ろをついて行きながら、残念そうにため息をつくレノア。
「そりゃまたどうして?」
「え? そりゃ、ここはセカンドの森。通称魔王の呪いの森だからね!」
(あ、なんか前に言っていたなそれ)
「呪いの影響でまず、空に強力な魔族が住み着いているし、仮にそこを飛んで強行しようもんなら魔族以外の生物には強力な呪いが付与される仕組みなんだよね……」
(ああ、だから前ギルド長とここに来た時も陸経由だったわけか……)
納得した。
それにしても……。
俺は後ろを警戒しながら、レノアをチラ見する。
レノアの体が元のダークマギデ族になってしまったからか、その……なんだ木々がよく彼女の体に引っ掛かってですね……。
「……ひゃっ!」
そう、こんな感じでたまに悲鳴まで上げるんですよね。
面積が大きくなると、当然木々に引っ掛かる場所もですね、ええ……。
(まったくけしからん……)
俺は後ろを見ながら、ニコニコ顔で進んでいく。
そして心の中でセカンドの森の魔王の呪いに大感謝する。
(魔王様ナイスな呪い、ありがとうございます! 眼福でございます!)
『①職業チャラ男スキルの内訳 【チャラ男スタイルレベル8】チャラ男道に少し近づく』
『①職業チャラ男スキルの内訳 努力により追加スキル会得 【チャラ男エンジョイ1】777スキルの運が少しアップ! 頑張れチャラ男!』
その時、少し呆れたような女神様の声が、久しぶりに聞こえて来る。
(え? 何か久しぶりにスキルが上がった? しかも、追加スキルまで?)
多分777スキルを使用し開放することがレベル7以上になる鍵だったんだろうなと思うけれど。
更にはスキル8解放にともない新スキルどうぞって流れか。
【チャラ男エンジョイ1】はおそらくギルド長がエウム戦で使っていたスキルだろうなこれ。
内容的に、これから商人をやっていく俺にとっては超有難いスキルだ。
(有難うレノア……)
俺はレノアの胸に手を合わせ、心の中でお礼を言う。
「えっと、杉尾どうしたの?」
「ん? いや、スキルのレベルが上がったのでお祈りしてたとこかな? うん」
ジト目で俺を見ているレノアに、真実のみ正直に話す俺。
何せコイツはダークマギデ族。
膨大な魔力とそれに比例する胸、更には独特の勘の良さを持っている種族だ。
(あとはえっと、浅黒くてやたらとスリムかな?)
それに……。
「うう、また服が木々にひっかかっちゃったよ!」
「仕方ない奴だな……どれ」
というのも、レノアの奴は水魔龍エウムの呪いでつい最近まで子供の姿に変わっていたのだ。
が、最近俺達が水魔龍エウムを討伐し、その呪いを解いた。
で、今は元のボンキュッボンのナイスボディに戻ってしまっていた。
元に戻ってめでたしめでたしだったが、当然こんな不具合もあるわけで。
(まだ、不慣れなのでレノア本人が上手く体を動かせないんだよな)
俺はレノアが羽織っていた風揺らぎのマントに引っ掛かっている木々をとっ払っていく。
(こんな時は服が全身緑だと保護色で境が分かりにくいよな)
俺は機械作業で木々の枝を次々と取っ払っていく。
「……あっ!」
「ん? どした?」
何やら妙に色っぽく、甲高い声に俺は驚く。
「そ、それ、杉尾が持ってるそれ……」
「ん? このでかい木技……?」
……。
(あれ? 何かこれボリューム感と感触が可笑しいな?)
俺はそれを軽く払いのけ気が付いてしまう……。
「……あ、これなんかスッゲー弾力あるね……? 不思議……」
「あう……」
それと連動するように何やら色気ある声を出すレノア嬢。
「す、すまんレノア……」
たゆんたゆん揺れるそれに気が付き、真っ赤になり少し後ずさる俺。
(こ、こりゃ! はつられるかグーパンレベルの罪状もんだぞ!)
俺はレノアに向かって必死にペコペコ頭を下げる。
(だ、だって、嫌われたくねーだもん! 俺達キスだってまだだしさあ……)
「い、いや、僕が頼んだんだし……仕方ないよ……」
レノアも照れくさそうに下をうつむき顔を真っ赤にしている。
「あ、うん……」
……それからしばらく無言で進んでいく俺達。
薄暗い瘴気が漂う中、フクロウや、か細い虫の鳴き声だけがやたら耳に入って来る感じがするが……。
(き、気まずい……)
……なんだろうか? 前まではアホみたいなやり取りの会話しかしていなかったんだけど、今は何かお互い意識してしまってて、何か非常にやりずらい。
俺とレノアは、港町の南側つまりはセカンド森をユニコーンに跨り通り抜けようとしていた。
が、森が入り組んできた関係で俺達は断念して歩き始めたわけで。
「なあ? よく考えたらさ、ドラゴンに跨って空から行けば楽だったんじゃね?」
レノアの光の精の明かりを頼りに、俺は森の木技をかきわけて進んでいく。
「そうしたんかったんだけどさ、ここの森の中腹だけわね、空からはいけないんだよね」
俺の後ろをついて行きながら、残念そうにため息をつくレノア。
「そりゃまたどうして?」
「え? そりゃ、ここはセカンドの森。通称魔王の呪いの森だからね!」
(あ、なんか前に言っていたなそれ)
「呪いの影響でまず、空に強力な魔族が住み着いているし、仮にそこを飛んで強行しようもんなら魔族以外の生物には強力な呪いが付与される仕組みなんだよね……」
(ああ、だから前ギルド長とここに来た時も陸経由だったわけか……)
納得した。
それにしても……。
俺は後ろを警戒しながら、レノアをチラ見する。
レノアの体が元のダークマギデ族になってしまったからか、その……なんだ木々がよく彼女の体に引っ掛かってですね……。
「……ひゃっ!」
そう、こんな感じでたまに悲鳴まで上げるんですよね。
面積が大きくなると、当然木々に引っ掛かる場所もですね、ええ……。
(まったくけしからん……)
俺は後ろを見ながら、ニコニコ顔で進んでいく。
そして心の中でセカンドの森の魔王の呪いに大感謝する。
(魔王様ナイスな呪い、ありがとうございます! 眼福でございます!)
『①職業チャラ男スキルの内訳 【チャラ男スタイルレベル8】チャラ男道に少し近づく』
『①職業チャラ男スキルの内訳 努力により追加スキル会得 【チャラ男エンジョイ1】777スキルの運が少しアップ! 頑張れチャラ男!』
その時、少し呆れたような女神様の声が、久しぶりに聞こえて来る。
(え? 何か久しぶりにスキルが上がった? しかも、追加スキルまで?)
多分777スキルを使用し開放することがレベル7以上になる鍵だったんだろうなと思うけれど。
更にはスキル8解放にともない新スキルどうぞって流れか。
【チャラ男エンジョイ1】はおそらくギルド長がエウム戦で使っていたスキルだろうなこれ。
内容的に、これから商人をやっていく俺にとっては超有難いスキルだ。
(有難うレノア……)
俺はレノアの胸に手を合わせ、心の中でお礼を言う。
「えっと、杉尾どうしたの?」
「ん? いや、スキルのレベルが上がったのでお祈りしてたとこかな? うん」
ジト目で俺を見ているレノアに、真実のみ正直に話す俺。
何せコイツはダークマギデ族。
膨大な魔力とそれに比例する胸、更には独特の勘の良さを持っている種族だ。
(あとはえっと、浅黒くてやたらとスリムかな?)
それに……。
「うう、また服が木々にひっかかっちゃったよ!」
「仕方ない奴だな……どれ」
というのも、レノアの奴は水魔龍エウムの呪いでつい最近まで子供の姿に変わっていたのだ。
が、最近俺達が水魔龍エウムを討伐し、その呪いを解いた。
で、今は元のボンキュッボンのナイスボディに戻ってしまっていた。
元に戻ってめでたしめでたしだったが、当然こんな不具合もあるわけで。
(まだ、不慣れなのでレノア本人が上手く体を動かせないんだよな)
俺はレノアが羽織っていた風揺らぎのマントに引っ掛かっている木々をとっ払っていく。
(こんな時は服が全身緑だと保護色で境が分かりにくいよな)
俺は機械作業で木々の枝を次々と取っ払っていく。
「……あっ!」
「ん? どした?」
何やら妙に色っぽく、甲高い声に俺は驚く。
「そ、それ、杉尾が持ってるそれ……」
「ん? このでかい木技……?」
……。
(あれ? 何かこれボリューム感と感触が可笑しいな?)
俺はそれを軽く払いのけ気が付いてしまう……。
「……あ、これなんかスッゲー弾力あるね……? 不思議……」
「あう……」
それと連動するように何やら色気ある声を出すレノア嬢。
「す、すまんレノア……」
たゆんたゆん揺れるそれに気が付き、真っ赤になり少し後ずさる俺。
(こ、こりゃ! はつられるかグーパンレベルの罪状もんだぞ!)
俺はレノアに向かって必死にペコペコ頭を下げる。
(だ、だって、嫌われたくねーだもん! 俺達キスだってまだだしさあ……)
「い、いや、僕が頼んだんだし……仕方ないよ……」
レノアも照れくさそうに下をうつむき顔を真っ赤にしている。
「あ、うん……」
……それからしばらく無言で進んでいく俺達。
薄暗い瘴気が漂う中、フクロウや、か細い虫の鳴き声だけがやたら耳に入って来る感じがするが……。
(き、気まずい……)
……なんだろうか? 前まではアホみたいなやり取りの会話しかしていなかったんだけど、今は何かお互い意識してしまってて、何か非常にやりずらい。
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