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第二章 王都と孤児院
#16 目指せ王都
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今日から第二章 王都と孤児院:旅路 開始です。前にも記した通り他に追いつくまでは毎日、追い付いてからは日曜日15:00の週一更新となります。二章全体がとても長くなりそうなのでいくつかのパートに分割、各パートを書き上げ次第投稿とさせていただきます。
第二章の初めでありながらまた短いです。
―――*―――*―――
「おめでとうございます。アオイさんはこの前のスタンピードを抑えた功績で王に謁見することが決まりました」
「は?」
翌日、ギルドで聞いた第一声がこれである。それもギルド中に響くような大きな声で。ちなみに言ったのは僕らの登録をしてくれた受付嬢である。
「いくら何でも早すぎませんか。昨日の今日ですよ。ここから王都まで普通に行ったら15日かかるんですよ」
これは徒歩で言った場合の値であり馬を使えばこの半分ほどの時間で行ける。ちなみに徒歩で15日というのは東海道を日本橋から三条大橋まで歩いたのとほとんど同じである。東海道はkm換算で約492km。こちらはもう少し長いと考えられるから500km強。現代日本ならば半日かからず移動できる距離である。技術が未熟であるというのは何とも言い難いものがある。
「詳細は秘密にさせていただきますがギルドには瞬時に情報をやり取りできるものがございます。今回はそれにて王都のギルド本部に情報を送り王宮にて対応が協議され、その結果が再びここに送られてきたのです」
「なるほど。それで、僕たちはどうしたらいいのでしょうか」
「最初に申し上げました通り、アオイ様方は王都に向かっていただきます。その時に今日から25日以内に王都に到着するようにしてください。これを過ぎてしまうと褒賞を受け取れなくなってしまうのでご注意ください」
ここまで言うと受付嬢は手のひらほどの大きさがあるメダルを取り出した。
「王都の城門につきましたらこれを門番にお見せください。なお、これをなくしても褒賞を受け取れなくなりますので肌身離さずお持ちになるようにお気をつけください」
「分かりました。早めについても問題はないですよね?」
「問題ありません」
「では、本日中に出発します。そう連絡してください」
そうして僕たちはギルドを後にした。
「ねえ、どうして今日中なんて言ったのよ?それに連絡してくれってまるでこれから非常識なことを起こしますって宣言してるようなものじゃない」
ギルドから少し離れたところでザーシャがそう聞いてきた。
「そうだね。これから王都まで半日かからずに到着して見せるよ」
「お兄ちゃん、まさか空をいくつもり?」
「そういうこと」
「それは危険すぎるよ。人に見られたらどうするの?攻撃される危険性もあるし他の魔獣と戦闘になる可能性もある。それに人を乗せて飛ぶのは初めてでしょ。どんなことが起こるのか想像ができないし、時間もあるんだから普通に馬車で行こうよ」
「それでもいいんだけどね。この国で少し不穏な動きをしている者たちがいるからね。その牽制もかねてこうしようと思ったんだ」
「でも・・・」
「大丈夫。確実に三人を王都まで無事に送り届けるから」
最悪、僕だけが王都に行って転移で迎えに来ることもできるからね。
* * * * *
「みんな準備はできた?」
人目につかない草原で僕はエンシェントドラゴンになっていた。他三人は僕の背の上である。
「準備はできたけど、本当に大丈夫なんでしょうね?」
「大丈夫。それじゃ行くよ!」
そう言った僕は翼を大きく羽ばたかせる。独特な浮遊感が襲い、僕たちは地上に別れを告げる。ここから王都のそばの人目につかない着地点まで、およそ30分の空の旅が始まる。
第二章の初めでありながらまた短いです。
―――*―――*―――
「おめでとうございます。アオイさんはこの前のスタンピードを抑えた功績で王に謁見することが決まりました」
「は?」
翌日、ギルドで聞いた第一声がこれである。それもギルド中に響くような大きな声で。ちなみに言ったのは僕らの登録をしてくれた受付嬢である。
「いくら何でも早すぎませんか。昨日の今日ですよ。ここから王都まで普通に行ったら15日かかるんですよ」
これは徒歩で言った場合の値であり馬を使えばこの半分ほどの時間で行ける。ちなみに徒歩で15日というのは東海道を日本橋から三条大橋まで歩いたのとほとんど同じである。東海道はkm換算で約492km。こちらはもう少し長いと考えられるから500km強。現代日本ならば半日かからず移動できる距離である。技術が未熟であるというのは何とも言い難いものがある。
「詳細は秘密にさせていただきますがギルドには瞬時に情報をやり取りできるものがございます。今回はそれにて王都のギルド本部に情報を送り王宮にて対応が協議され、その結果が再びここに送られてきたのです」
「なるほど。それで、僕たちはどうしたらいいのでしょうか」
「最初に申し上げました通り、アオイ様方は王都に向かっていただきます。その時に今日から25日以内に王都に到着するようにしてください。これを過ぎてしまうと褒賞を受け取れなくなってしまうのでご注意ください」
ここまで言うと受付嬢は手のひらほどの大きさがあるメダルを取り出した。
「王都の城門につきましたらこれを門番にお見せください。なお、これをなくしても褒賞を受け取れなくなりますので肌身離さずお持ちになるようにお気をつけください」
「分かりました。早めについても問題はないですよね?」
「問題ありません」
「では、本日中に出発します。そう連絡してください」
そうして僕たちはギルドを後にした。
「ねえ、どうして今日中なんて言ったのよ?それに連絡してくれってまるでこれから非常識なことを起こしますって宣言してるようなものじゃない」
ギルドから少し離れたところでザーシャがそう聞いてきた。
「そうだね。これから王都まで半日かからずに到着して見せるよ」
「お兄ちゃん、まさか空をいくつもり?」
「そういうこと」
「それは危険すぎるよ。人に見られたらどうするの?攻撃される危険性もあるし他の魔獣と戦闘になる可能性もある。それに人を乗せて飛ぶのは初めてでしょ。どんなことが起こるのか想像ができないし、時間もあるんだから普通に馬車で行こうよ」
「それでもいいんだけどね。この国で少し不穏な動きをしている者たちがいるからね。その牽制もかねてこうしようと思ったんだ」
「でも・・・」
「大丈夫。確実に三人を王都まで無事に送り届けるから」
最悪、僕だけが王都に行って転移で迎えに来ることもできるからね。
* * * * *
「みんな準備はできた?」
人目につかない草原で僕はエンシェントドラゴンになっていた。他三人は僕の背の上である。
「準備はできたけど、本当に大丈夫なんでしょうね?」
「大丈夫。それじゃ行くよ!」
そう言った僕は翼を大きく羽ばたかせる。独特な浮遊感が襲い、僕たちは地上に別れを告げる。ここから王都のそばの人目につかない着地点まで、およそ30分の空の旅が始まる。
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