5 / 6
#04【裏切りの代償】
しおりを挟む「だから…。」
「だから私が裏切れば殺してくれていい。」
「…。」
「グーちゃんが命がけだから私も命をかけるの。だから私が命をかけない契約は私の望んてたのとは少し違う。」
「…。」
「だからさっき あんな風に言っちゃたのかな。ごめんね。全然怒ってるとかじゃないから。」
「いや。こっちこそ安易に聞いて悪かった。」
これがコイツの望んでる「友達」ってことなのか?
俺は今気づいた…。
彼女は俺が思っていたよりも遥かに度胸のある人間だ。
「分かった。お前がそれを望むならそうしよう。」
「ありがとう。グーちゃん。」
彼女はニコッと笑った。
不思議だ。
彼女の見せるこの笑顔にはとんでもないほどの重みが詰まっている…。
俺はそれを知らなかった。
これからは少しだけ暖かく接しよう。
「なんか湿っぽくなったが。
それじゃ改めてよろしくってことだ…。」
「あれ…ちょっと雰囲気かわった!?」
「何がだよ…。」
「なんでもなーいw」
彼女が手を差し出す。
「私こそよろしくね!」
俺は彼女の手を握った。
その瞬間だった。
俺の脳内になにか走った。
なんだ!?これは。
赤い線が走る。
ドクッ。心臓が揺れたような気がする。
めまいが。
気がつくとと俺は握った手を見ていた。
なんだったんだ今のは。
「えへへ 。結構握るね…。」
「!?」
「わっ悪るい…。」
俺はとっさに手をはなした。
「あっ 今日はグーちゃん行くとこないんでしょ?」
「え?」
「とりあえず今日はここに泊まっていこうよ!」
俺はさっきのことが頭いっぱいでモモカの話が入ってこない。
「あっ あぁ…。」
「わーいw
それじゃ 夜更かしパーティだね!」
いや。一回忘れよう。考えても仕方がない。
「とりあえず一緒になんかテレビ見よ!
今日たしかこのあとの番組で小峠出るんだよ!」
「なぁ テレビってなんだ!?」
俺たちの契約は始まった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドサッ。
私はどこかに落ちた…。
一体どこだここは…。
ピッピー!!
後ろから音がする。
「わっ!?」
機械が走ってきた。
「キャッ!?」
私は必死になって避ける。
「なに …あれ。ていうかここどこなのよ。」
灰色の地面。周りには草の生えた場所もあり
上には青い空が広がっている。
「あの悪魔め!!」
私は転移の鍵を握りしめて言う。
ていうか私これからどうすればいいの!?
どこかも分からないし帰る方法もわからない。
もぉ 一体何なのよ!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちゅんちゅん。
鳥の鳴き声が聞こえる…。
もしかして朝か…。
ん…。
そうだ昨日は病室に泊まっていったんだった。
「スゥ…スゥ」
「!?」
隣で寝息が聞こえる。
俺は横を見た。
するとモモカが横で寝ている。
「え!!なんで!?」
俺は思わず叫んだ。
俺は昨日補助ベッドを使って寝たはずなのに…。何でコイツのベッドにいるんだ。
俺は起き上がった。
いやよく見たら俺は補助ベッドの上にいる。
そしてモモカは床で寝ている。
どういうことだ…。
もしかしてこいつ…夜中ベッドから落ちたのか!?だとしたら寝相悪すぎだろ…。
「スゥ…スゥ」
何食わぬ顔で寝てやがる…。
「おい…起きろ。そんなとこで寝てると風邪引くぞ。」
俺は床で寝てるモモカに言う。
「んぅ…。」
はぁ。色々焦ったぜ。
俺は時計を見る。
7時半か…。
「ぅぅん?なんか…冷たい?」
そりゃそうだろな。床で寝てんだからな。
はぁ…歯磨いてくるか。
俺は床で寝てるモモカをほっといて洗面室に行く。
シャカシャカシャカシャカ。
俺は歯を磨きながら昨日の夜を思い出す。
そういや昨日は夜2時くらいまで起きてたんだっけか。
もともと夜行性の悪魔にとっては起きてるのが普通の時間だが。
昨日は色々ありすぎて2時にはもう寝てしまった。モモカとバラエティ番組とかいうのを見ていた。半分寝かかっていたからほとんど覚えていないが。
しかしこの世界の技術はすごいな。
あのテレビとかいう機械には驚いた…。
そしてこの世界のコメディアンはなかなかに中毒性がある。特にモモカの一押し小峠の笑いは俺にも響いた。
なんて日だ…。
なかなかクセになる言葉だ。
ガラッ
俺は病室に戻る。
するとまだモモカが床で寝ていた…。
なんて朝だ…。
「おい」
「ぅん?」
「いつまでそこで寝てんだよ。せめて寝るならベッドに戻れ。」
「もぉ…いいじゃん別にぃ。」
「よくねーんだよ。また従業員に俺がなんか言われんだろが!!つかこの光景異様なんだよ!」
「ふあぁ…。」
モモカが体を起こし背伸びする。
「おはようグーちゃん。」
「顔洗ってこいよ。ついでに歯磨きもな」
「なんかさぁ…。」
「あぁ?」
「グーちゃんお母さんみたいw」
「意味わかんねーこと言ってねーで早く行ってこい。」
「はーい!」
俺は補助ベッドをベッドの下に片付ける。
お母さん?あいつ今そう言ったか?
まて…そういえばこいつの母親はどこにいるんだ!?
…。
いや…それも気になるとこだがそんなことより自分の心配だ。
この後どうする。
とにかく住居探しからしないといけないな…。
あとは生活資金…。
働きどころを見つけなくちゃな。
まぁとにかくこの街を歩いてみるか。
人間の世界のことも知らなくちゃいけない…。
ガラッ。
モモカが戻ってきた。
「ねぇ!今日一緒にどっか出かけようよ」
いきなり何言ってんだこいつは…。
「馬鹿か。今日は無理に決まってんだろ。また昨日みたいに体調悪くしてもらったら困るんだよ。」
「えぇ…。せっかくこの街のこと教えてあげようと思ったのに…。」
!?
俺はそれに反応する。
確かにそれは俺にとっても都合が良い。
だが発作が起きたのはつい昨日の話だ。
無理に外出させるのは危険だ。
それにこいつがいくら望もうが病院側がそれを許さないはずだ。
「…。」
『僕はあの子が望むのであればそうさせてあげたい』
いやあの男は逆だったか。
俺もできればモモカにやりたい事をさせてやりたい。
「分かった。今日はここに居る…。」
モモカが少し落ち込んだ表情をする。
俺は話題を見つけるためにテレビをつけた。
なにか面白い番組がやってれば励ますことも出来るだろう。
ポチッ。
なんだ。これは天気の番組か?
『そろそろ梅雨の時期ですね。』
『明日以降は傘を持ち歩きましょう』
なに!?明日から雨のマークが連続して続いているのか。
俺は後ろを振り返る。
モモカがむっとした表情をしてる。
そんな顔されてもなぁ…。
晴れは今日が最後か。
あと数日は雨が続く…。
ガラっ
「おはようございます!朝食をお持ちしましたよ」
業務員か。
いいタイミングだな。
「ありがとうございます。」
俺は部屋を出て行こうとする。
「えっ?グーちゃんどっか行くの!?」
「ちょっとな…。お前は飯食ってろ。」
ガラッ。
俺は静かにドアを閉めた。
部屋を出て2階にある受付のような場所に行く。
俺はそこで業務員にあの男と話ができるかを聞いた。すると許可をもらいしばらくすると歩いてきた。
「やぁ…おはよう。どうかしたのかい?」
「ガキを外へ連れ出すと言ったら止めるか?」
「モモカちゃんをかい?うーん…。」
「もしかしてモモカちゃんが外に出たいって言ってたのかい?」
「あぁ。」
「昨日の今日だ。僕の立場上モモカちゃんを外に出させるわけにはいかない。」
「少なくともあと3日は安静にしてほしい。しかもその3日間なにも起こらなければ検討したいところだ。」
「あのガキは1年も生きない。その間好きにさせてやりたいって言ったのはアンタだ。」
「分かっている。君もそう言うと思った。
焦っているのはこの先ずっと雨が続くからだろう?」
「そうだ。明日以降は嫌でも安静になる。」
「分かったよ。元々君に色々言い出したのは僕の方だからね。だが条件つきだ。
それでもいいかい?」
「なんだ。」
「外出は車椅子でだ。そして夕方の4時半には病院へ戻ること。何かあった時にすぐに病院へ戻れるように出歩くのはここ近辺だけ。モモカちゃんが嫌と言えばこの件は無しだ。
「分かった…。それでいい。」
「キミと思いでを作れてあの子もきっと嬉しいだろう。」
「やめろ。元々そんな仲じゃねぇ…。」
俺は後ろを向き病室へ戻ろうとする。
「…。もう戻るのかい?」
「あぁ。10時にはアイツと出かけようとおもってる。」
「それじゃまだ少し時間があるね?」
「あぁ?」
「昨日の続き。聞きたいだろう。」
「!?」
「モモカちゃんの話の続き…。」
【4・裏切りの代償】終
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる