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第22話 誰よりも愛しいお方

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 激動の戴冠式が終わると、私たち家族は宮殿の応接間に案内された。

「改めて、ごあいさつが遅れました。ゼリオル・ストラティスでございます」

 ゼリオル様は、私の家族にあいさつをして下さいます。

「こたびはこのように、唐突に大切な娘さんをいただく形となり、誠に申し訳ありません」

「いえいえ、何をおっしゃいますか。晴天の霹靂でございますが、この上ない幸せでございます」

「私も同感でございます。どうか、娘をお願いします」

「良かったね、お姉さま」

「ええ、ありがとう、みんな」

 私たち家族はみんな笑顔で互いを見合う。

「では、今宵は宴の席を設けましょう」

 ゼリオル様の父、前国王がおっしゃいます。

「今晩は無礼講で、好きなだけ楽しみましょう」




      ◇




 その晩、宴は想像以上に盛り上がった。

 特に、ゼリオル様と私は方々から祝福を受けて、あまりお酒と料理をたしなむ暇もなかった。

 けど、私は無上の幸せを感じていた。

 そして、宴もたけなわ、ようやく落ち着いた頃。

 他のみんなが酔って疲れて寝静まっている時。

「シアラ、俺の部屋に行こう」

 ドキリ、と胸が高鳴る。同時に、子宮も疼いた。

 私はゼリオル様に手を引かれながら、廊下に出た。

「あ、あの、ゼリオル様……」

「あの情けない弟でも、娘1人を一発で妊娠させたんだ」

「へっ?」

「あの晩、お前と愛で結ばれた時、俺は堪らずお前に子種を注いでしまった」

「あっ……」

「だから、今の内に……抱けるだけ、お前を抱いておきたい」

 もう、限界だった。子宮がキュンキュン、ウズウズとして、頭がとろけそうになる。

「私はもう、ゼリオル様のモノです。だから、好きなだけ抱いて下さい。でも……」

「でも?」

「正直、ゼイオル様の……アレは……大変ご立派だったので……手加減して下さい」

 私が激しく赤面しながら言うと、彼は目を丸くしてから、小さく噴き出す。

「そんな風に言われたら、ますますいじめたくなる」

「ひ、ひどいです。この前だって、初めてだったのに、あんないきなり……」

「じゃあ、やめておこうか?」

 ゼリオル様が微笑んだまま言う。

「……これって、初夜みたいなものですか?」

「いや、正式な結婚式はまた今度だから。ちなみに、初夜はこの前の10倍くらい激しくするけど、今日はせいぜい3倍程度だから安心してくれ」

 ゼリオル様はニカッと笑って言う。

「……壊れちゃいます」

「それは困るな。俺はもう、シアラがいないと生きていけない」

「ふふ、大丈夫です。私は強い女なので」

「知っているよ。そして、とても可愛い子だ」

「いやんっ」

 以前は常にクールな令嬢と言われていた私が、こんな風に甘えるような声を……恥ずかしい、けど……決して、嫌な気持ちではない。

 むしろ、女として、無上の幸せを感じている。

「シアラ、今夜は思い切り叫んでも良いぜ? みんな寝ているし」

「そ、それは……じゃあ、遠慮なく」

「お、何かノリが良いじゃん」

「これくらいでないと、あなたの妻は務まらないので」

「俺はそんなに軽い男じゃないぜ。まあ、フットワークは軽いけど」

「またどこかに行くつもりですか? それとも、街に出て他の女を引っ掛けたりするのですか?」

「しない、しないよ。シアラ、美人が怒ると怖いんだから、加減してくれ」

「もう、ゼリオル様ったら……♡」

 こうして、私は誰よりも愛しいお方と、結ばれることが出来た。



 (完)



あとがき


 予想以上の好評にテンション上がっています。

 まさか、念願のHOTランキングに載れるなんて、夢のようです。

 本作の本編はこれにて終了ですが、あと少しだけ後日談というか、番外編を添えさせていただきたいと思います。

 ここまで読んで応援して下さった読者さま、本当にありがとうございます。


 三葉 空


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