14 / 24
第14話 ひどい男
しおりを挟む
柔らかいまどろみの中にいた私は、小鳥のさえずりで目を覚ます。
「んぅ……」
数秒、ボーっとしてから、自分が裸であることを思い出し、急激に恥ずかしくなって来た。
「そうだ、私……」
昨晩は、人生で初めての経験をした。最初はとても不安で、けど実際にすると……ダメ、これ以上は恥ずかしくて言えない。
ちなみに、彼も初めてと言ったけど、どうだか疑わしい。だって、本当に色々とすごかったから……
「……あれ、オルさんは?」
私はハッとして、室内を見渡す。けど、どこにも彼の姿はない。まさか、勝手に部屋を出てシャワーを浴びに行くことはないだろうし……
「……あっ」
テーブルの上に、手紙が置いてあることに気が付く。私は少し嫌な予感を抱きつつ、その手紙を手に取った。
もしかしたら、私たちの関係はこの一晩で終わりで、彼はまた旅だってしまったのかもしれない。
そう考えると、また暗い気持ちが押し寄せて来て、そのまま己の闇に飲まれてしまいそうになる。
嫌だ、そんなの……
『愛している』
手紙の内容は、その一言だけだった。
私はその手紙を持ったまま、しばらく動けないでいた。
けど、すぐに内から熱い感情が湧いて来る。同時に、涙がこぼれて来た。
コンコン、とノックがされる。
「シアラお嬢様、お目覚めでしょうか? 具合の方は大丈夫ですか?」
侍女が声をかけてくれる。私は涙を拭いながら、
「ごめんなさい、もう平気よ。すぐに行きますので。あ、朝食の前にシャワーを浴びても良いかしら?」
「かしこまりました。その間に、朝食の準備をしておきます」
「ありがとう」
侍女が立ち去って行くと、私は再び手紙に目を落とす。
「本当に、ひどいお方」
私はまた瞳に涙を浮かべながら、にこりと微笑んだ。
「んぅ……」
数秒、ボーっとしてから、自分が裸であることを思い出し、急激に恥ずかしくなって来た。
「そうだ、私……」
昨晩は、人生で初めての経験をした。最初はとても不安で、けど実際にすると……ダメ、これ以上は恥ずかしくて言えない。
ちなみに、彼も初めてと言ったけど、どうだか疑わしい。だって、本当に色々とすごかったから……
「……あれ、オルさんは?」
私はハッとして、室内を見渡す。けど、どこにも彼の姿はない。まさか、勝手に部屋を出てシャワーを浴びに行くことはないだろうし……
「……あっ」
テーブルの上に、手紙が置いてあることに気が付く。私は少し嫌な予感を抱きつつ、その手紙を手に取った。
もしかしたら、私たちの関係はこの一晩で終わりで、彼はまた旅だってしまったのかもしれない。
そう考えると、また暗い気持ちが押し寄せて来て、そのまま己の闇に飲まれてしまいそうになる。
嫌だ、そんなの……
『愛している』
手紙の内容は、その一言だけだった。
私はその手紙を持ったまま、しばらく動けないでいた。
けど、すぐに内から熱い感情が湧いて来る。同時に、涙がこぼれて来た。
コンコン、とノックがされる。
「シアラお嬢様、お目覚めでしょうか? 具合の方は大丈夫ですか?」
侍女が声をかけてくれる。私は涙を拭いながら、
「ごめんなさい、もう平気よ。すぐに行きますので。あ、朝食の前にシャワーを浴びても良いかしら?」
「かしこまりました。その間に、朝食の準備をしておきます」
「ありがとう」
侍女が立ち去って行くと、私は再び手紙に目を落とす。
「本当に、ひどいお方」
私はまた瞳に涙を浮かべながら、にこりと微笑んだ。
0
お気に入りに追加
1,216
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜
高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。
フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。
湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。
夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。
【完結】浮気者と婚約破棄をして幼馴染と白い結婚をしたはずなのに溺愛してくる
ユユ
恋愛
私の婚約者と幼馴染の婚約者が浮気をしていた。
私も幼馴染も婚約破棄をして、醜聞付きの売れ残り状態に。
浮気された者同士の婚姻が決まり直ぐに夫婦に。
白い結婚という条件だったのに幼馴染が変わっていく。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~
日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました!
小説家になろうにて先行公開中
https://ncode.syosetu.com/n5925iz/
残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。
だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。
そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。
実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく!
ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう!
彼女はむしろ喜んだ。
物語のようにはいかない
わらびもち
恋愛
転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。
そう、言われる方ではなく『言う』方。
しかも言ってしまってから一年は経過している。
そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。
え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?
いや、そもそも修復可能なの?
発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?
せめて失言『前』に転生していればよかったのに!
自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。
夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。
欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします
ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、
王太子からは拒絶されてしまった。
欲情しない?
ならば白い結婚で。
同伴公務も拒否します。
だけど王太子が何故か付き纏い出す。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる