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第2話 頭が痛い、ため息がこぼれる
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「いや~、俺って種が強いみたいでさ~、もう1発だったよ。さすが、王族って感じじゃない?」
いけしゃあしゃあと得意げに語るこのお方を、ビンタ出来るくらいの立場にありたかった。仮に今ここで欲望のままにそうしたら、私だけでなく家に迷惑がかかってしまいますから、我慢するしかないのです。理不尽。
「ごめん、シアラ。婚約破棄ってことで良いかな?」
良いかな? じゃないですわよ、このボケナ……何でもありません。
「あの、殿下。王族の婚約ゆえに、いくらご本人でも、そんな簡単におっしゃるなんてことは、ちょっと……」
「ああ、そうだな。本当は父上と母上が直々に詫びに来るみたいだったけど、やっぱり色々と準備が必要でさ。だったら、俺が取り急ぎ伝えてやろうと思って。偉いだろ?」
どこがでしょうか? このおバ……お茶目さん♪
「つまり、国王と王妃もご存じということですね」
「ああ、さすがに子供が出来てしまったら、どうしようもないからな」
どうしようもないのは、あなた様の知性でございます。好き勝手に子種を吐き出して、サルでございますか?
「シアラ、お前は美人で優秀だ。胸も決して小さくない」
「ありがとうございます」
「だから、きっとすぐに次の相手が見つかる。何なら、俺が見繕ってやろうか?」
「あはは、結構でございます」
とりあえず、このバ……を早く、目の前から消し去りたい。
「うむ、分かった。じゃあ、俺はもう行くから」
あっさりと踵を返したバカは……あ、バカって言っちゃった。まあ、もうこの際良いでしょう。あのバカ王太子は、ウッキユキな歩調で去って行く。恐らく、この後、愛しのデカ乳女さんとイチャコラするのでしょう。私はイラッとした。
もちろん、女として嫉妬している訳ではなく、単純に人として苛立っている。なぜ、あんなサルバカ男が王太子なんだと。
「ああ、でもそうか。聞いたことがあるわ」
本当は、もっと優秀な王太子がいた。それはあのサルバカ王太子の兄上なんだそうで。
知力・体力ともに優れていて、おまけにイケメン。次期国王としてふさわしい王太子だったけど、権力に興味が無いからと、放浪の旅に出てしまったそうな……自由奔放な所は、兄弟そっくりね。
「はぁ~、これだから王族は」
とりあえず、両親が帰ったら報告しなければ。妹のエリーはしばらく他の公爵家に居るから、手紙で伝えましょう。
「はぁ~……」
私はもう1度、深くため息を吐いた。
いけしゃあしゃあと得意げに語るこのお方を、ビンタ出来るくらいの立場にありたかった。仮に今ここで欲望のままにそうしたら、私だけでなく家に迷惑がかかってしまいますから、我慢するしかないのです。理不尽。
「ごめん、シアラ。婚約破棄ってことで良いかな?」
良いかな? じゃないですわよ、このボケナ……何でもありません。
「あの、殿下。王族の婚約ゆえに、いくらご本人でも、そんな簡単におっしゃるなんてことは、ちょっと……」
「ああ、そうだな。本当は父上と母上が直々に詫びに来るみたいだったけど、やっぱり色々と準備が必要でさ。だったら、俺が取り急ぎ伝えてやろうと思って。偉いだろ?」
どこがでしょうか? このおバ……お茶目さん♪
「つまり、国王と王妃もご存じということですね」
「ああ、さすがに子供が出来てしまったら、どうしようもないからな」
どうしようもないのは、あなた様の知性でございます。好き勝手に子種を吐き出して、サルでございますか?
「シアラ、お前は美人で優秀だ。胸も決して小さくない」
「ありがとうございます」
「だから、きっとすぐに次の相手が見つかる。何なら、俺が見繕ってやろうか?」
「あはは、結構でございます」
とりあえず、このバ……を早く、目の前から消し去りたい。
「うむ、分かった。じゃあ、俺はもう行くから」
あっさりと踵を返したバカは……あ、バカって言っちゃった。まあ、もうこの際良いでしょう。あのバカ王太子は、ウッキユキな歩調で去って行く。恐らく、この後、愛しのデカ乳女さんとイチャコラするのでしょう。私はイラッとした。
もちろん、女として嫉妬している訳ではなく、単純に人として苛立っている。なぜ、あんなサルバカ男が王太子なんだと。
「ああ、でもそうか。聞いたことがあるわ」
本当は、もっと優秀な王太子がいた。それはあのサルバカ王太子の兄上なんだそうで。
知力・体力ともに優れていて、おまけにイケメン。次期国王としてふさわしい王太子だったけど、権力に興味が無いからと、放浪の旅に出てしまったそうな……自由奔放な所は、兄弟そっくりね。
「はぁ~、これだから王族は」
とりあえず、両親が帰ったら報告しなければ。妹のエリーはしばらく他の公爵家に居るから、手紙で伝えましょう。
「はぁ~……」
私はもう1度、深くため息を吐いた。
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